炊飯器の取り扱い説明書を必ず事前に確認する
最近の炊飯器は高機能で選べるメニューも多種多様。取扱説明書をしっかり読んでから使いましょう
我が家には現在、5台の炊飯器があります。家にはないその他の機種も、数台使用したことがあります。いずれも、「さまざまな料理が作れます!」と謳った最新式の炊飯器ではなく、一般的な米炊き専用の炊飯器です。パワーに差はあるものの、ケーキが焼けない炊飯器は1つもありませんでした。また、7年以上料理し続けていますが、故障したこともありません。
それでも、発売されてる全ての炊飯器を試した訳ではありません。数ある炊飯器の中には、お米以外の調理はできないものもあります。最近の炊飯器は高機能で選べるメニューも多種多様。取扱説明書をしっかり読んでから使いましょう。くれぐれも無理はしないでください。
ケーキを焼いてる途中でスイッチが切れてしまうとか、全く火が通らないといった場合は、その炊飯器はケーキ作りには向いていないということなので、潔く諦めましょう。途中になってしまったケーキ生地は、容器を替えて電子レンジで加熱するか、フライパンで焼くなどして、無駄にしないでください。少しの生焼けなら、数分再加熱して取り合えず乗り切り、次回からは材料を少し減らしましょう。続けての再加熱ができない炊飯器でも、蓋を開けて熱源を冷まし、内釜の底を濡れ布巾で冷ませばスイッチが入ります。
圧力式炊飯器は特に危険性があるので扱い方に注意を!
炊飯器の種類を問わず、炊飯器クッキングを始める前には、必ず使う炊飯器の取り扱い説明書をじっくり読んでいただきたいのですが、特に圧力式炊飯器については注意が必要です。実際に、圧力式炊飯器で大豆を茹でている最中、圧力によって舞い上がった豆の皮が調圧孔を塞いだために蓋が開き、飛び散った熱湯で火傷をした、ポリ袋や瓶に材料を入れて密閉したものをお米の上に置いて炊飯し、密閉袋や瓶の中の空気が膨張して爆発したなどの事故が発生しています。禁止事項を必ずご確認ください。
しかし、圧力式炊飯器には、圧力がかからないメニュー(すしめし、カレー用ご飯など)があるはずです。新しいものでは、調圧孔が目詰まりしないように工夫されている圧力式炊飯器もあります。説明書をよく読んで、炊飯器を熟知して、作る料理によってコースを選び、上手に使い分けましょう。その前に、危険な使い方は絶対に止めましょう。
その他の炊飯器の注意点
おかずなどの料理作りに関しては、炊飯器によって、得意不得意なメニューがあるようです。過去に試したある炊飯器の場合は、焼き豚などの煮汁が極端に少なくて釜の底が材料で埋まらない調理法には向かないようで、スイッチは入るものの、いつまで経っても生の状態でした。なのに、その他の料理やケーキは、問題なく作ることが出来ました。また、炊飯器でケーキを焼く場合は生焼けの心配があるのに対して、おかずを作る場合は、炊きすぎに注意しなくてはいけません。 水分がなくなるまで炊き続ける炊飯器があるからです。炊飯器の使用法に関する読者からの質問で多かったものを紹介
■臭い残りについて調理後は内蓋を外して洗う。なお、この圧力式炊飯器は、調圧孔の目詰まり防止の工夫がなされている |
Q:炊飯器に臭いは残りませんか?ごはんに臭いが移ることはないのでしょうか…
A:ケーキの匂いは殆ど残りません。和風の煮物類は、炊き込みご飯を炊いた後と同じ程度に残ります。五穀ご飯を炊いた後の匂いも結構強いものですが、私は、それよりは気になりません。
ただ、にんにくや香辛料の入った料理のあとは、どうしても残りがちです。使用後は、内蓋を綺麗に洗い、外釜の内側や、蒸気口の汚れもしっかりふき取り、しばらく蓋を開けっぱなしにしておくと、匂いが早く消えます。クリーニング機能がついていれば、それを利用するといいです。
■炊飯器の容量の違いと分量の関係
1升炊きで焼いたマーラーガオ。分量は5合炊きも同じ |
Q:家の炊飯器は1升炊きなのですが、ケーキレシピの分量をどう変えたらいいですか?
A:5合炊きの分量で焼いてみて、確実に焼けるのが分った上で、もう少し大きく焼きたいなと思ったら、1.5倍、2倍と増やしてみてはいかがでしょう。また、3合炊き炊飯器の場合は、パワーが小さい炊飯器もありますので、まずは5合炊き用レシピの半分の量で焼いてみて、焼け具合を見て、次回からの分量を加減するといいです。
■ケーキは普通炊きか早炊きか
高速炊きで焼いたカステラ。カステラやスポンジは高速炊きの方が良く出来る |
Q:早炊きコースを選びカステラを試しましたが、 全く火が通ってない状態でした。もう一度スイッチを入れ直して 10分間炊き直すとうまく出来上がりました。早炊きと普通炊き、どちらがいいのでしょうか…
A:我が家の5台の炊飯器に関して言えば、早炊き機能があるのは古いタイプの炊飯器で、炊飯スイッチを二回押せば早炊きスイッチが入ります。でも、そんなに早くは炊けません。せいぜい5分ほど短縮なる程度です。これならケーキが焼けます。高速炊き機能がついてるのは新しい炊飯器だけで、こちらはすごく早く炊けます(1合なら15分位で炊き上がる)。15分では普通のケーキは焼けません。 メーカーによって、呼び方と機能が違うようですので、「普通に炊く」と書いてあるレシピは、まずは、普通コースで炊いてみてください。
また、私がいろいろ試した結果では、スポンジやカステラなどのような、泡立てタイプで生地が軽いものは、高速炊きの方が良くできます。が、釜底にフルーツを敷いて焼くケーキは、高速炊きだと焦げ色が強く出過ぎるので、普通炊きの方がいいです。
■炊飯器の選び方
30年ほど前に購入した古い炊飯器で焼いたヨーグルトケーキ。炊いたご飯の味は新しい炊飯器に負けるが、ケーキは負けない |
Q:調理用の炊飯器を新調したいのですが、マイコン炊飯器ジャー、電子炊飯ジャー、IH炊飯器ジャー、圧力式炊飯器とさまざまな種類があるようです。手広く使えるのはどれですか?
A:私が提案する炊飯器クッキングにおいては、高性能な炊飯器である必要はありません。40分間ほど無条件に炊き続けてくれさえすれば、殆どの料理は作れます。なので、古い炊飯器の方が向いてるかもしれません。「かも」を付けたのは、新しい炊飯器の方がケーキの表面が綺麗に焼けるからです。その炊飯器が向いてるかどうかは、試してみるしかありません。また、 炊飯器クッキングは、お手持ちの古い炊飯器でやった方がいいです。そのためにわざわざ新しく買うには及びません。
■生地が内釜にくっつく
この炊飯器はくっつきやすいタイプなので、ゴムベラで内釜に沿ってこそげてはがし、スポンジに貼り付けた写真。粉糖をかけて仕上げれば問題なし |
Q:内釜にケーキがこびりついて綺麗に取り出せないのですが…
A:こびりつき易い内釜はどんなことをしてもこびりつき、つかない釜は何もしなくてもつきません。こびりつかない内釜も、使い古すとこびりつき易くなります。 カステラが釜にくっつくのは、その内釜の材質(或いは性質) ですので、作り方のせいではありません。 我が家の炊飯器も、どうしてもくっついてしまう釜と、 何もしなくても、全くくっつかない釜とに分かれます。 材質が軽いものの方がくっつきやすいです。
また、くっつき易い釜は何でもくっついてしまうかといえばそうでもなくて、ベーキングパウダー使用のケーキはくっつかなかったりします。くっつき易い釜の長所はシフォンケーキが作れることです。
■カステラが膨らまない
内釜に流し入れたカステラ生地。自然に平らにはならないほどぽってりしている |
Q:お釜でカステラを作ってみたら、膨らみが悪い気がするのですが…
A:卵の泡立てが足りないか、粉を混ぜる際 にかき混ぜすぎてしまったかの2つが考えられます。 たぶん、泡立てが足りなかったのだと思います。 内釜に流し入れた生地は、自然には平らにならないくらい、 もったりしています。 今一度、「これでもか!」ってくらい、しっかり泡立てて作ってみてください。
■作るたびに違う出来上がりになるのは何故?
写真は表面が水っぽくて膨らみ切れていないシフォンケーキ。10分追加炊きして、釜いっぱいに膨らんで完成 |
Q:いつも同じように作っているつもりなのに、キレイに焼けている時と、 生焼け状態の時があります。生焼けのときはまたスイッチを入れるのですが、3分ごとにチェックして再加熱をくり返しているうちに、焼けすぎてパサパサになります。また、試し串の他に焼け具合をチェックする方法はないですか?
A:何度もスイッチを入れるのは止めましょう。分量を少し減らしたらいかがでしょうか。ちゃんと焼ける場合もあるという点から、ほんの少しの量の違いと想像できます。卵の大きさの違いかもしれません。それと、再加熱の回数を増やすよりは、時間を増やした方がいいです。オーブンで焼くのと違って、炊飯器で焼く場合は、こちらが炊飯器に合わせなくてはいけません。5合しか炊けない炊飯器に、6合の米を無理やり押し込んでも、 上手くは炊けないように、ケーキ作りも、その炊飯器のパワーを理解して合わせてあげなくてはいけません。それと、試し串ですが、焼けた生地が串に少しまとわり付いてるのを、生焼けだと勘違いしてるということはないでしょうか。目だけでなく、指で触って湿ってるかどうかも確かめましょう。
■ケーキが焼けない
「両面焼き小豆パン」パンの焼きが足りない時は、裏返して焼く |
Q:パウンドケーキを焼いたのですが、何度、炊きなおしてもベチャベチャで、うまく焼けませんでした。せっかく材料をそろえたのに残念です。原因は何でしょうか…
A:分量通りに作ったのだとすれば、考えられる原因はただひとつ、その炊飯器がケーキ作りには向いてないということです。初めて作るときは、ホットケーキのような、材料と手間がかからず、物心ともどもあまり痛手の伴わないものを焼きましょう。焼けなかったときは、フライパンに移して焼く、耐熱容器に移して電子レンジでチンする、蒸し器で蒸すといった方法で加熱しましょう。それでもベチャベチャのままだったとしたら、材料の量り間違いが考えられます。
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