その豊富な源泉は、足湯や蒸し風呂、地熱浴場を含めると16ヶ所もの個性溢れる浴場で浴用に利用される他、蒸し料理や温泉玉子の作成、さらには暖房にまで利用されているのです。多くの源泉が見学可能で、まさに温泉の博物館、美術館にも例えられる壮大さです!
その魅力の全てを存分に堪能するには、一泊はもちろん、二泊でも到底足りない規模。また、一度では到底紹介し切れません。よって、今回は多数ある浴場の中から、一泊でも必ず浸かって欲しい浴場を厳選して紹介します!
なお、食事と客室については、温泉好きが気軽に宿泊する事を想定して、今回は一万円以下で泊まれるお手軽な本館(旧館)を紹介していますが、本格的な旅館部である招仙閣や別館竹については、別記事「中房温泉」を参照願います。
- 中房温泉を代表する木造浴室不老泉
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中房温泉を代表する木造浴室不老泉
不老泉は伝統的木造浴室の風格が素晴らしい。お湯のすべすべ感もかなりのもの。 |
中房温泉に前回宿泊したのは、既に十年程前になります。当時はこの不老泉が最新の浴場で一番人気でした。木造建築の風情も良い上に、お湯が素晴らしく滑らかな不老泉を、私は心底気に入ってしまいました。
温泉が気に入った時、もう帰りたく無いと思うことがあります。それは「自宅」に帰りたくないという意味です。しかし、ここでは「部屋」にも帰りたく無くなってしまいました。この浴室から出たく無くなったのです。
さらに驚いたことに、その時一緒に浸かっていた知らない方も、「ここで寝たい!」と叫んで居ました。そうです、その方も私と同様に「部屋」に帰らないで、不老泉に浸かったまま、眠りたいと思っていたのです!
長いこと温泉巡りをしているガイドですが、こんなことは最初で最後でした。見ず知らずの二人に、同時に同じ感想を抱かせた不老泉。当時の私は不老泉こそ、中房温泉で最高の浴場であると確信しました。
夕暮れ時の不老泉は一層雰囲気を増す。比較的穴場になったのも良い。 |
前回の経験から最高の浴場と思っていた不老泉に、今回真っ先に浸かりました。前回以降、多数の浴場がリニューアルし、最新の浴場ではなくなった為か、昔と違って一番人気ではなくなり、比較的穴場という雰囲気でした。これは、温泉に静かに浸かりたい人にとっては嬉しいことです。風情も昔のままの素晴らしさで安心しました。
過去五年程の間に、加水を止めて、水冷や空冷によって温度調節をするようになったとのことで、猛烈にすべすべする湯になっており、浸かってみて驚きました。泉質は単純硫黄泉ですが、強アルカリの重曹泉ではないかと思う程の感触に驚愕!非加水になったので、多少湯が良くなっているとは期待していましたが、これ程までに泉質が向上しているとは、全くの想定外でした。
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