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スローフード運動その2「私にもできるスローフード」 スローフードに帰りましょう

「時間に追い立てられず、ゆっくり食べることが理想なのは分かるけれど。」家族が1日に1度顔を合わせる時間さえ作ることは難しいのが現実。忙しい私たちにもできる「スローフード」とは。

執筆者:桜 美香

スローフード運動が始まったイタリアの家庭料理は、長い時間をかけてそれぞれの地方風土に根付いた伝統的な料理です。
例えば、数百年も前に建てられた石造りの建物に人々が生活しているフィレンツェでは、その地方で採れる新鮮な素材を納得のいく値段で買い、おいしいものを作ることはとてもたやすいことです。中央市場に一歩入れば、野菜や果物が色とりどりにそろい、山のように積まれたハーブや乾物の香りに包まれます。鶏は頭のついたままの状態で吊されているし、豚や牛の肉は数10キロから100キロ単位の大きさの塊で並べられていて、その場で切り売りしてくれます。製麺屋さんには生パスタ、チーズ屋さんでは両腕で抱えるほどの大きさの塊のものが切り売りされるなど、昔からの専門店ががんばっています。

家を守る主婦は毎日料理に腕をふるい、共働き夫婦でも週末や日曜のお昼には友人を食事に招き、招かれるのが日常茶飯事。平日にしたところで、夜遅くまで仕事に捧げる人は稀で、何はさておき家族みんなでの食事を大切にします。
前菜、パスタやリゾット、肉か魚のメインディッシュに野菜のつけあわせ、最後にドルチェとエスプレッソ。人によってはチーズに食後酒までいただくものだから、ちょっとのんびりしていると2、3時間はかかります。 ワインを飲みながらゆっくり時間をかけて食べ、結果的にたくさんの種類の食材を摂る、そして肉や魚を摂る前に、消化吸収がおだやかなパスタをしっかり食べることによって、急激な血糖値の上昇をおさえたり、食べ過ぎを予防している、というおまけもついています。 人間本来の特質にあった、からだにやさしい食べ方で、時間に追い立てられずゆっくり時間をかけて食べるということが、精神衛生上の理にもかなっているのです。

このように、「マンジャーレ(食べること)」を大切にするお国柄のイタリアでは、食事というのは家族・友人が団らんしながらゆっくりと楽しむもの。 しかし近年、旅行者の殺到する主要都市を中心に、外国産のファーストフードが急速に浸透してきています。味覚が衰え、ハーブの香りの区別もつかない若者が増えてきているそうです。

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