不妊症

新型コロナで妊娠数が減少?ウィズ・コロナの最適な産み時はいつか

【産婦人科医が解説】新型コロナウイルス感染症の影響で、妊娠・出産を控えている方も少なくないようです。産婦人科領域は「積極的な不妊治療は控える」方針から、「不妊治療を控える必要はない」という見解に移行していますが、実質的な「妊娠控え」傾向は現場でも見られます。ウィズ・コロナの今、「最適な産み時」はどう考えていけばよいのでしょうか。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

「ウィズ・コロナ」の妊活・不妊治療……体外受精などの不妊治療も再開

コロナと不妊治療・妊活

新型コロナの影響を考え、不妊治療を延期するカップルも少なくありません

「アフター・コロナ」「ウィズ・コロナ」と、各業界でコロナと今後「どう付き合うのか?」という議論がなされていますが、医療業界も大きな変革を求められています。遠隔診療の適応拡大など、「従来のやり方」が通用しなくなったり、新しい医療の形を考えなければならない局面に来ていると言えるでしょう。

産婦人科領域も例外ではありません。緊急事態宣言が発令された時期には、一時的に「積極的な不妊治療は控える」という方針が打ち出され、実際に不妊治療を一時期中止していた病院もありました。現在は、「コロナを理由に不妊治療を控える必要はない」という見解に移行してきており、体外受精などの不妊治療も再開されています。
 

新型コロナによる「妊娠控え」傾向……妊娠届2~3割減の自治体も

そのような環境の中、「妊娠を希望していたけれど今はやめておこう」という選択をする方が増えているというデータが集まってきているようです。民間が行ったアンケート調査では、第2子を希望していたカップルの3割以上が「妊活開始を延期」と回答しています。当院の外来でも、「そろそろ妊活のためにピルをやめようかな」とおっしゃっていた方が、「やっぱり妊活は延期するので年末まではピルを続けます」といったケースが散見されます。また、妊活中だったけれどいったん中止します、妊娠の相談のために受診したけれどやっぱり妊活開始は延期します、といったケースも少なくなく、実際の臨床現場の印象でも「妊娠控え」の傾向は色濃く出ていると感じています。

厚生労働省もコロナの影響での全市区町村の妊娠数の推移について緊急調査を始めるようですが、東京都港区では「5~7月の妊娠届の受理件数が、前年同月比で2~3割減した」という報道もされています。

実際に、コロナが落ち着くまで妊娠を「控えるべき」なのかどうかは、個人の感染リスクとそれに対する考え方によって異なります。医学的には、まだ妊娠中にコロナに感染したという症例の数そのものが非常に少なく、エビデンスと呼べるほどのデータが集まっていません。「現時点で」わかる範囲で分析すると、妊娠している人がそうでない人より重症化するというエビデンスはなく、また、母体の感染によって胎児に何らかの先天的異常が出るリスクも上がらないということが指摘されています。

ただ、万が一分娩時にコロナに感染していることが判明した場合、現時点では周囲への感染拡大を最小限に食い止めるために、分娩方法は帝王切開となり、新生児とも直接接触できないまま数週間隔離されてしまう可能性が高いのが現状です。たとえ、コロナに感染していなくても、里帰り分娩を断られたり、里帰りしても2~3週間の自宅待機期間が過ぎなければ産科に受診ができなかったり、立ち合い分娩はできず産後の面会も断られたり人数制限があったり、といった様々な不便さは発生する可能性があります。

さらに、患者様の中にも今後の「経済的不安」から体調不良を引き起こしている方もいらっしゃるくらい、コロナの経済への影響も無視できないものになっています。「妊娠を控える」「妊娠をあきらめる」といった判断の背景に、経済的不安も大きく関係してきているでしょう。
 

妊活延期のデメリットは? 総合的に考え個々に「最適な産み時」の判断を

そして、コロナを理由に妊娠時期を「延期」するデメリットは、「加齢による妊娠率の低下」に集約されます。そのため、現時点で妊娠を控えた方がいいのかどうかは、母体の年齢的リスクと、妊娠した場合に起こりうる不具合を総合的に考えて、個々に判断するしかないでしょう。

あと何カ月待てばコロナが落ち着く、という予測はほぼ不可能です。場合によっては年単位で影響が出る可能性もあります。もちろん、その間に、医療機関の体制が整ったり、陰圧換気ができる分娩室が完備されたりといった、現在よりは医療リソースも改善する可能性は考えられます。それらを総合的に判断して、自分にとっての「最適な産み時」をうまく読み取っていけるとよいでしょう。判断に迷ったら、まずは婦人科で相談してみるのもお勧めです。
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