ゲーム業界ニュース/ゲームニュース講座

スペースチャンネル5の世界であらかた踊ってきた

スペースチャンネル5の世界に行ってウララと踊れるゲーム、その名も『スペースチャンネル 5 VR あらかた★ダンシングショー』。東京ゲームショウ2018に出展されたPSVR版について、あらかたご紹介したいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

スペースチャンネル5がVRであらかた蘇る!

スペチャンVRの図

「あらかた」は、ほとんど、おおむね、といった意味です。

はじまりはドリームキャスト。1999年12月にセガから発売された『スペースチャンネル5』という、大作とまでは言えない、しかし名作と言えるゲームがありました。そのゲームは全てが少しずつ変でした。レトロなディスコ風の音楽、鮮やかにもほどがある色が溢れた画面、突如襲撃してきたモロ星人なる謎のちょっとかわいい奴らから、踊りで宇宙を救うテレビリポーター。

その次のパーツは『Wii』です。Wiiはモーションコントローラーを家庭用ゲーム機の世界へ一気に広めました。モーションセンサーを使った遊びは大流行し、『Xbox360』のKinectやPlayStation3の『PlayStation Move モーションコントローラ(以下 PS Move)』が後を追うように発売されました。体を動かして遊ぶゲームの中で人気のあったジャンルの1つに、ダンスゲームがありました。有名なところでは『Just Dance』シリーズは世界的にヒットしましたね。画面に映るお手本通りに踊るゲームは、モーションセンサーと相性が大変に良かったのです。

モーションコントローラーはその後機能として残るものの、方向キーやボタンと完全に入れ替わることはありませんでした。依然として、家庭用ゲームの多くはスティックとボタンで大半の操作をこなします。しかし、モーションコントローラーが大活躍するジャンルが現れました。VRです。ヘッドマウントディスプレイをかぶって、視界を全てゲームの世界に置き換え、ゲームの世界に行って遊べるゲーム。PS3で登場したPS Moveは、PlayStation VR(以下PSVR)のコントローラーとして使わることになります。PS Moveを2つ持てば、右手のコントローラーは右手そのもの、左手のコントローラーは左手そのものとして、ゲームの世界の自分の両手を表現してくれるのです。

スペースチャンネル5が約20年前に発売され、その後モーションコントローラーが世に出て、VRが広まり、そして、今、現代において、これらを組み合わせれば何ができるのか。勘のいい皆さんはお気づきのことでしょう。とうとうスペースチャンネル5の世界で踊りを踊るところまで、人類は到達してしまいました。というわけで、ウララと一緒にほんとに踊れるゲーム『スペースチャンネル 5 VR あらかた★ダンシングショー(以下スペチャンVR)』をご紹介してみたいと思います。

スペチャンVRはもともとはHTC Viveで開発されていましたが、この度PSVR版が発表され、2018年9月20日~23日に幕張メッセにて開催された『東京ゲームショウ2018』で、PSVR版がプレイアブル出展されました。ガイドもあらかた踊って参りましたので、詳しくお伝えしたいと思います。
 

あらかた真似して踊るだけ

スペースチャンネル5の図

これまでHTC Vive版のみ発表されてましたが、今回PSVR版が加わりました

ゲームの世界に入ると、そこには自分と、横にもう1人。プレイヤーキャラクターの双子姉妹、新人レポーターのルーちゃん、キーちゃんです。双子姉妹……そう、東京ゲームショウで公開されたスペチャンVRの試遊はなんと2人同時プレイでした。オンライン対戦のゲームであればともかく、2人が横に並んでPSVRでダンスを踊るというのは、なかなか珍しい体験でした。

新人レポーターということで、ウララが現れてチュートリアルとなります。そもそも、スペースチャンネル5がどういうゲームか知らない人も少なくないと思いますが、スペースチャンネル5はいわゆる音ゲーです。敵となるモロ星人がリズムにあわせてライト、レフト、アップ、ダウン、などと言ってくるので、自分の番になったら同じリズムで、ライトなら右を、レフトなら左を入力する、といった具合です。チューといったらAボタン、なんていう操作もありました。

スペチャンVRでは、これをボタン入力の代わりに実際に踊って表現します。ライトなら右手を右へ、レフトなら左手を左へ。チューと言ったら前に出します。とりあえず相手を真似して踊ればプレイできちゃいます。また、かつてのスペースチャンネル5シリーズにはなかった「ポーズ」という掛け声もあり、ポーズと言われたら、目の前のキャラクターがとっているポーズを真似します。モーションコントローラーならではの部分ですね。
 

抑えきれない衝動

PS4の図

PS4でも遊べるのは嬉しいですね!

先輩リポーターであるウララからチュートリアル的な手ほどきを受けていると、急きょ通信が入り、即座に現場に転送、という流れになります。忘れないでいただきたいんですが、VRですからね、本当に転送される感じで景色が変わります。

転送先は……ファンにはたまらない、初代スペースチャンネル5の『Report1 うらら登場!の巻』に登場するスペースポートに飛ばされます。もうひと目みて、あそこだ! とワクワク。そして目の前にはモロ星人、そして踊らされている人! これを踊りで助けるんです。自分で踊って!

実はそんなにきちんと踊らなくても、左右や上下に腕を振れば大丈夫なんですが、完全にスペースチャンネル5の世界に行って、目の前にモロ星人、ノリノリの音楽、すごく、すごく踊りたくなります。実のところを言うと、東京ゲームショウでは、自分からは見えないものの、周りにはギャラリーがいっぱいいるわけで。かなり恥ずかしく、思いっきり踊るか、控えめにプレイするかの葛藤がありました。

どうしても、ただ淡々と腕を振るだけでは気持ちが抑えられず、体でリズムをとりながら踊ります。スペースチャンネル5をプレイした人は分かると思うんでですが、1フレーズクリアすると、みんなが叫びながら片手をあげて飛び上がる場面が毎回あります。ここはゲーム上、同じポーズを取るように指示はされないんですが、どうしてもやりたくなります。しかしさすがに、そこは自分を抑えました。家で遊んでたら絶対ジャンプしてますね。プレイが終わると、係員の方に「ノリノリでしたね」なんて言われてしまいました。
 

VRならではの避けるアクション

PS VRの図

避ける時は本当に避けなくてはいけません

さて、スペースチャンネル5のファンであれば、VRであの世界に行けてしまうだけでかなり嬉しいかもしれませんが、ゲーム的に面白いのは、避けるアクションです。元々のスペースチャンネル5でも、踊りを真似するだけでなく、ライトと言われたら右を入力することで、敵の攻撃を避ける、というような演出がありました。ビームだったり、パンチだったりをウララがサッとかわします。

スペチャンVRでは、これをボタン操作ではなく、実際に体を使ってかわします。ライトと言われたら体ごと右にかわすと、モロ星人の撃つビームが飛んでいきます。ゲーム的な話をすると、踊りを真似している時は、PS Moveの動きを判定しているんですが、攻撃を避ける時は、ヘッドマウントディスプレイの動きを判定しています。そこで、左右によけたり、あるいはしゃがむことで、攻撃を避けることができるのです。

しかも、VRですから、攻撃が実際自分の顔のすぐ近くをかすめるわけです。試遊では「ココ★タピオカ」というずんぐりむっくりした巨大ロボがあらわれます。こいつの巨大パンチをリズムにあわせて避けていくというのは、なかなかスリリングです。本当に避けている、本当に避けているよ!
 

踊りで宇宙を救おう!

ドリームキャストの図

ドリームキャストの思い出がよみがえりますね(イラスト 橋本モチチ)

スペチャンVRは2019年発売予定ということで、初代が発売された1999年から20年の時を経て大復活ということになります。スペースチャンネル5のデザインや音楽は、1999年当時から、レトロでありつつ、それが逆に新しいという雰囲気だったためか、20年経っても古臭さは全く感じられません。20年前のスペースチャンネル5をプレイしていない人も、その頃ゲームをしていなかったような若い人でも、きっと新しいゲームの感覚で遊べるでしょう。

スティックによる移動も必要ないことから、VRにありがちな酔いの心配もさほど必要なく、操作は本当にただただ踊ればいいので、元のゲームよりもよっぽどシンプルなぐらいです。また、東京ゲームショウではギャラリーがいるので恥ずかしい気持ちもありますが、家でなら、完全にゲームの中にひたって思いっきり踊れるのではないでしょうか。なにしろ、現実に踊っている自分を客観視することはないのです、踊っているのはルーちゃんとキーちゃんなのですから。

ちなみに、手を振り上げて踊るので、それなりのスペース確保は必要です。ただし、プレイしている場所から離れると、ゲーム内でプレイエリアに戻るように教えてくれるので、遊んでいるうちにテレビと激突、なんてことはなさそうです。そして、そんなに激しく踊る必要はないんですが、思わず踊りたくなって、15分くらいのプレイでもやや汗ばむ程度に疲れます。なんだか痩せそうですね。

もともとスペースチャンネル5というゲームは、複雑なゲーム性を楽しむというより、比較的シンプルな音ゲーを、音楽と演出で楽しむゲームでしたが、ココ★タピオカのパンチがスリリングに感じられた通り、演出部分がVRで大幅にアップしそうです。というわけで、2019年、あらかた踊れるのを楽しみにしたいと思います。チャンネル、そのまま!

【関連記事】
PS VRが高い理由と、安い理由(AllAbooutゲーム業界ニュース)
記事では伝わらない、PS VRのすごさ(AllAbooutゲーム業界ニュース)
指がすくむ VRモードのバイオ7(AllAbooutゲーム業界ニュース)

【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気のゲームソフトを見るAmazon で人気のゲームソフトを見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます