お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

42歳貯金80万円。老後に1000万円あれば安心できる?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、妻が家計管理に協力をしてくれないということで悩み、老後資金が足りるかどうかを教えてほしいという42歳の男性会社員の方。妻が家計に危機を感じず、子どもの教育費にお金を使いすぎという悩みも抱えているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 80歳で「貯蓄1000万円」は安心できる範囲

このままの家計管理で老後資金は大丈夫なのか、というご相談ですが、実際にご自身が試算されたキャッシュフロー表も拝見しました。まず、その試算がほぼ正確で、ご相談者80歳のとき、結果どおり貯蓄が1000万円あった場合、老後資金としては十分がどうか。

あくまで、毎月の生活費が想定された月25万円で、公的年金の手取額が23万円(ただし、もしも額面が23万円だと、税金や社会保険料を差し引かれ、手取額は月20万円ほどですから、この試算そのものが誤りとなります)ならば、毎月の赤字は2万円。年間24万円ですから、ともにその後10年間生きたとして240万円。残りの760万円を80歳以降の老後生活の予備費と考えれば、「絶対足ります」とは断言できませんが、一般的な長生きリスクや想定される突発的な支出への備えにはなっていると思います。では、この試算に訂正すべき箇所があるとしたら、どのあたりでしょうか。

気になる点として、まず、収入は微増ながらアップしていきますが、支出が同額で推移していること。とくに、食費や水道光熱費などは、物価上昇の可能性が当然あります。お子さんが成長するにしたがって、食べる量も増えるはず。また、部活動の費用など、お子さんにかかる費用が何かと増えていくのが一般的な世帯の支出傾向でもあります。

さらに、老後生活になって、65歳以降は「夏の旅費20万円」が削られています。もちろん、老後資金を減らさないために、ときに「生活を楽しむ」部分を削ることも必要でしょう。しかし、おそらく平均以上の支出してきた世帯が、いきなり質素倹約の生活に切り替えられるかどうか。そのあたりの不安はあります。加えて、80歳までに病気や介護になった場合のコストも考慮しておくことも、試算としては追加しておきたい要素です。
 

アドバイス2 リスクへの対策は貯蓄ペースのアップ

試算はあくまで試算です。80歳のときに1000万円貯蓄があるという結果となったとのことですが、もっと額が増えている可能性もあります。同時に、試算内容を見る限り、支出増により、もっと減ってしまう可能性も否定できません。さらに、奥様が65歳まで途切れることなく収入を得られるか。相談文を見る限り、そういった不安もあります。

では、老後資金の不足というリスクの対策として、ご相談者のケースでは何ができるか。世帯収入は十分高いのですから、貯蓄ペースをもっと高める。これがもっとも現実的かつ効果的。逆に言えば、普段からもっと貯蓄できる家計であるということです。

奥様のパート収入10万円が加算されても、現在の貯蓄ペースが毎月1万円。学資保険で月2万35000円、保険料を支払っているのですから、実質貯蓄は3万3500円となりますが、さらに毎月の家計から2万~3万円は、その気になれば苦もなく貯蓄できる範囲だと思います。ボーナスも同様。手取額138万円に対して、貯蓄額が11万円。少なくとも年間50万円は貯蓄に回したいところです。これで少なくとも年間70万~80万円ほど貯蓄が増えることになります。10年間で700~800万円。これだけの貯蓄の上積みは、決して小さくありません。
 

アドバイス3 倹約、貯蓄の意識は家族全員に必要

そもそも、最初にご相談者が感じた「使い過ぎている」という観点に戻って、再度見直してはどうでしょう。それについては、奥様と意見が食い違い、これまで実践できなかったわけですが、見方を変えれば可能という気がします。

「教育費に妻は資金を掛けすぎる」とあります。確かに多いとは思いますが、教育が最優先事項なら、他を削ればいいということです。家計支出の内容から、多いのは教育費だけではありません。おしなべて、すべての支出費目が高めという印象です。

ドラスティックに何かを削る、例えば、一時的に家族旅行を中止する、クルマを軽自動車に切り替えるといったことができれば、それは十分即効性があります。しかし、それが難しいなら、旅行の予算を3分の2にする。あるいは、ビールを飲む回数を半分に減らす、お正月の福袋購入をあきらめる、忘年会を3回から2回にする。そういうことの積み重ねだと思います。

さらに言えば、住宅についてもクルマについても、自分たちの自己資金の範囲内で購入できたかもしれません。しかし、プロセスはどうであれ、結果的に親御さんからの資金援助という恩恵を「受けた」という結果が、奥様だけでなく、世帯として「使い過ぎ」の環境、習慣を生んでいるとも思えます。その意味で、お子さんも含めて、家族全員に倹約や貯蓄の意識が必要になってくるはずです。

先述しましたが、現状のままでも、言い換えれば、貯蓄を意識しなくても教育費も老後資金も準備できる可能性はあります。それは世帯収入が高いからです。しかし、リスクが払拭されないなら、備えはしておく必要があります。例えば、教育費についても、仮に不足してもお子さんに返済を背負わせることは、避けるべきです。したがって、今後、貯蓄ペースを上げていく努力をしていくことが賢明だと考えます。
 

相談者「ひろしりが」さんから寄せられた感想

「全ての支出費目が高い」ということ、「世帯年収が高め」ということに、驚いております。昨年に、妻が働き始めるまでの10年以上は、本当に毎日の食費にも困るような状況がありました。現在のように旅行や子供の長期休みの遊興費なども、とてもではないですが出せる状況にありませんでした。総じて支出費目が高いのは、余裕を持っておきたい気持ちが強いためです。高めに設定してあるので、少しづつ資金があまり、書いたよりももう少し貯金に回せている状況があります。何はともあれプロの方に見ていただき、とりあえず健康に過ごしていきさえすれば、子供の教育も老後もなんとかなるということで、一安心です。ありがとうございました。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

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