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中古マンションと新築マンションどっちがお買い得?

東日本不動産流通機構発表の2016年の首都圏中古マンション成約件数は、過去最高の37,189件。一方、新築分譲マンションの供給戸数は、35,772戸。新築マンションの供給戸数が減る一方、中古マンションの成約数が伸びています。新築と中古を並行して検討する人が増える中、どちらがお買い得なのかは判断の迷うところでしょう。新築マンションと中古マンションの違いを整理して考えてみましょう。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

2016年のマンション成約件数で、中古が新築を上回る

新築分譲マンションの価格上昇トレンドの中、中古マンションの流通が活性化しています。東日本不動産流通機構発表の2016年の首都圏中古マンション成約件数は、過去最高の37,189件。不動産経済研究所発表の2016年の首都圏新築マンションの発売戸数が、35,772戸なので成約件数ベースでも、中古マンションが新築マンションを上回ったことになります。

新築マンションと中古マンションを並行して検討する方も随分と目立つようになってきました。一方、新築マンションと中古マンションは、築年数以外にも違いがあります。まずは、新築マンションと中古マンションの違いを考えてみましょう。

築浅物件の少ない中古マンション。築5年以内の新規登録シェアは、わずか7%

「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)」

「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)」築年数別の新規登録物件シェア


まず、新築と中古の大きな違いは、築年数にあります。リーマンショック以降は新築分譲マンションの供給戸数が大きく減少しているため、築年数が浅いマンションの流通件数も限られています。

東日本不動産流通機構発表の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)」によれば、2015年に新規登録された築5年以内の物件のシェアは、全体の7%にすぎません。築6年~10年が16.7%。築10年未満の売出し割合は、4分の1未満。一方で、築31年を超える新規登録が28.7%。築21年以上のマンションが5割を超えています。

耐震性を含めた住宅の基本性能は、年代によっては大きく変わってくるので、中古マンションを選ぶ際には、立地だけでなくどの程度の性能水準のマンションを検討するのかも考えておくことが必要になります。

同レポートの築年数別の成約シェアを見ると築5年未満が8.7%と新規登録シェアを上回っている一方で、築31年超の中古マンションの成約シェアは24.3%と登録シェアを大きく下回っており、築浅いマンションに注目が集まっていることを示しています。

築年数が31年を超えるマンションでも、管理状態が良く割安感から流動性の高いマンションもあります。大規模修繕の必要も出てくる年代ですので、マンションごとの状態が大きいのもこの年代のマンションと言えるでしょう。

中古と新築の大きな違いは物件価格。中古は状態を見極める選別眼が必要

イメージ写真

新築と中古の選択は、多くの人の悩みどころ(写真はイメージ)


中古マンションと新築マンションで大きく異なるのは、価格です。東日本不動産流通機構発表の2016年中古マンション成約物件価格は、前年比5.4%の3,049万円。上昇しているとはいえ、新築マンションの平均価格5,490万円(不動産経済研究所発表)と比べると随分と価格面では安くなります。

しかし、共用部の修繕状況とともに専有部も傷みますので、この点は留意すべきポイントです。クロスの状態や床の傷み、給湯器やキッチン・浴室などの設備機器も年数が経過すると劣化や故障する場合もあるので個別の修繕履歴の有無で状態が大きく異なります。状態によっては、リフォームも前提で購入を検討することが必要になります。

最近は、中古マンションを購入して自分好みにカスタマイズする人も増えてきています。マンションリフォームに取り組む企業のホームページを見ると、標準的な設備機器を採用した場合おおよそ1平米あたり10万円前後(税別)で価格設定している企業が多いようです。仮に平米10万円の料金で70平米の中古マンションをフルリフォームすると700万円(税別)が別途かかる計算になります。

また、購入後の保証内容も新築と中古では異なります。例えば、建物の構造に関しては10年保証が義務付けられており、雨漏りがあった際なども10年以内であれば売主の費用負担で補修がされます。最近は、取引の上で設備に瑕疵保証を付けるケースもありますが、新規交換するわけではないのでいずれは交換が必要なことは覚悟しておきましょう。

築年数だけでなく、どのマンションのどの部屋でどの状態のものを購入するのかで中古マンションの価格も変わってきます。それなりの選別眼が、中古マンション選びには必要でしょう。

新築と中古は購入の流れも大きく違う

購入の流れも新築マンションと中古マンションの大きな違いです。新築マンションを購入する場合、資料請求から事前案内会への参加、住戸の要望書の提出、申し込み・抽選といった、一定期間物件選びや住戸選びをする時間的な余裕があります。さらに複数の物件の比較検討や予算を踏まえた住戸選びなどを行うことも可能です。モデルルームの見学や物件のプレゼンテーションなども丁寧で、決断にあたっての判断材料も多いです。

一方、中古マンションの場合は、同じマンションで複数の住戸が売り出されるケースは稀で、場合によっては早い決断が求められます。対象エリアや候補物件をあらかじめ決めておくなど事前の準備が欠かせません。価格が適正かどうかの判断も必要になるので、中古マンション探しの場合は、マンション市場や実務に精通している良いパートナー(仲介会社)を選ぶことが大切です。

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都心と比べ郊外エリアは、新築マンションの選択肢も豊富(イメージ写真)


新築マンションも中古マンションも早めの決断が必要なのは同じです。しかし、似たような住戸が同時期に売りに出ることが少ない築浅の中古マンションよりも、新築マンションの方が初めてマンションを購入する人には向いているかも知れません。過去にマンション購入の経験がある方で、希望条件が明確な方は中古マンション選びもスムーズでしょう。

新築・中古がお互いに影響し合う市場になっている

新築マンションと中古マンション、どちらがお買い得なのかは実際に具体的な物件で比較検討してみないとわかりません。地域ごとに新築・中古マンションの供給動向や流通動向も異なります。長年両方の市場を見ていますが、「新築の方が割安だなあ」と感じる時と「中古の方がお買い得だなあ」と思える時があります。

不動産に関わる情報量も増えていますから、新築・中古それぞれがお互いに影響しあってマーケットを形成しているので、より納得感あるマンション購入を目指すなら両方の情報を入手することが大切だと思います。

さらに重要なのが、「家族にとっての価値」を考えて選ぶこと。最終的な目的は、そのマンションの購入によって家族が幸せになることですから、お買い得だったかどうかを決めるのは、自分自身であるという点は、新築・中古でどちらを選択しても確かなことだと思います。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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