株価が500倍になったアマゾンドットコム、何が凄いのか?
上場来で株価が500倍以上になり、ウォルマートを抜き、時価総額ベースで世界最大の小売企業となったアマゾン・ドット・コム(米国ナスダック上場 AMZN)ですが、最初はオンラインの本屋に過ぎませんでした。その頃、まさか将来、アマゾンから野菜や電気製品、ベッド、日用品まで、何から何まで買うようになるとは誰も思っていなかったでしょう。米国に6,000万人以上居ると推測される「アマゾン・プライム会員(年99ドル、即日配達と無料動画サービス付き)」は、一人あたり年間30万円近く平均購入しており、コンビニのようにアマゾンは人々の「エブリデイ・ライフ」に組み込まれつつあります。また、紙の本だけを売っていた初期に、将来同社があらゆる本を電子化し、「キンドル」で紙の本より格段に安く販売するようになるとも思っていなかったでしょう。企業は将来本屋であるアマゾンからクラウドコンピューティングを格安の月極プライスで利用し(AWS、アマゾン・ウェブ・サービス)、自社のオンラインサイトを運営することになるなど思ってもいなかったでしょう。
莫大な投資の継続が飛躍的発展につながった
積極的で莫大な投資の継続が極大の成長に繋がっている
売上の安定高成長に比べ、利益が激しく上下しているのはこのせいです。利益は費用をどれだけ使うか次第ですので、アマゾンのさじ加減で当期に残る利益が全然違ってくるのです。毎期、一定の率だけ経費を使い、一定の利益成長を果たすこともできたでしょう。そういう方針なら利益も売上カーブと同様に綺麗に伸びてきたはずです。しかし、それでは売上20兆円に向かってこれてなかったでしょう。
巨体になってなお20%超の成長を続ける驚異的な企業
売上は極めて安定的に成長推移しています。創業から22年後にあたる昨年15年度に同社売上は初めて1,000億ドルを突破しました。過去のあらゆる企業の中で最速となる記録です。このような巨体になってなお20%超の成長を続けている事は驚きです。世界には売上1,000億ドル超の企業が44社あります。トヨタは第4位です。これらの今年の平均売上成長率は▼0.4%減であり、この規模で+10%を超える企業など僅かしかありません。20%を超えるのはアマゾンとイタリアの投資集団大手のみですが、アマゾンが断トツ1位です。直近でも+31%、+29%増と続いているところであり、ここにアマゾンの秘密、強さがあります。売上1,000億ドルを超えたのは去年のことですが、早くも18年には2,000億ドルを超えると予想されています。このような企業は過去に例がありません。
通常このクラスになると冒険をせず、事業投資には慎重になります。勿論大手石油会社でもトヨタでも兆円単位で設備投資は行いますが、徐々に成長の為というよりも、現状維持のため、最低限の事業投資という感じに変わってくるものです。しかしアマゾンは違います。創業当初から利益度外視で、絶えず大改革をするために惜しみなくお金を投じ、異次元の世界へと自己の壁を破って成長してきたのです。同じような心意気を持つ企業は他にあっても実際同じように何兆円も注げる企業はありません。
イノベーションに貪欲なベゾスCEOに期待
そして、アマゾンは失望決算となった2016年下半期より、再び攻めの投資に向かう予定です。つまり利益は減り、株価は一旦下がることになりそうです。しかし、同社のベゾスCEOはイノベーションに貪欲であり、大胆な投資を今後も続けて行くでしょう。決して守りに入らず、失敗を恐れず巨額の事業投資を続けて行くと思われます。過去もその姿勢が一貫されていたからこそ、単なる「本屋」から次々に脱皮を重ね、2017年には「全米最大のアパレル小売店」にもなれる見込みです。その後は野菜・食品配送にも進出し、世界最大の小売店になって行くでしょう。朝起きると、月々数百円の利用料を払っている「Echo」に話しかけ、今日の天気、ニュース、予定を読み上げさせ、クラウドから音楽をかけさせながらアマゾン配送の朝食をとり、なかなか手に入りにくい特殊な歯磨き粉のほか、出勤に使うカバンもアマゾンで・・・というようなエブリデイ・ライフへの関わりを目指しているものと思います。何でもアマゾンで買ってもらうには顧客満足度で最強になる必要あります。
その為の過剰な投資が再スタートされ、トランプラリーのテーマからも外れるため、しばらく株価は調整に入ると思います。しかし、最終的には目標株価を1,000ドル以上に置き、長期投資を続けて行けると思います。
参考:米国株通信
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