チーズ/季節・シーン別おすすめチーズ

美味なる国産チーズ!日本を代表する職人チーズ7選

近年、急激に美味しくなっている国産チーズ。実は、世界的なチーズコンクールで賞を獲得しているものもたくさんあります。今回ご紹介したものは、比較的小規模な工房のチーズ職人達が、こだわり抜いて作り上げた逸品。ひと口食べると、“えっ、日本でこんなに美味しい本格チーズを作ってるの!?”と、びっくりするような、日本を代表するアルチザン(職人)チーズをピックアップしてみました。

小笠原 由貴

執筆者:小笠原 由貴

チーズガイド

近年、急激に美味しくなっている国産チーズ!

恥ずかしながらほんの4~5年前まで、“数千年の歴史を持つヨーロッパに敵うワケがない”と思い込み、全く注目していなかった「日本のチーズ」。でも実は、国際コンクールで最優秀賞を獲得していたり、入賞を果たしている国際レベルのチーズがたくさんあったのです。実際食べてみると、その美味しさにびっくり!“日本でこんなに美味しい本格チーズを作ってるの!?”と目からウロコの経験!

今回は、比較的小規模な工房で作られている、チーズ職人達の作品とも言うべき美味なる国産アルチザン(職人)チーズをご紹介いたします。


1.白糠酪恵舎のモッツァレラ (北海道/牛乳製/フレッシュタイプ)

イタリア産を超える国産モッツァレラの登場まで、あと数年は掛かると思っていました。が、しかし!すでにあったのです。とびきり美味しいモッツァレラが。

“日本で一番おいしいモッツァレラを作る職人”と言われ、知る人ぞ知る白糠酪恵舎の井ノ口氏。私もその噂を聞いてはいましたが、食べる機会に恵まれたのはつい最近。そして、びっくりしました!本当にものすご~く美味しいんです!白くてぷるんと柔らかい生地、でもちゃんとコシも繊維感もあります。ひと口たべるとモッツァレラのジュースがじゅわっとほとばしって、あぁシアワセ。濃厚なミルクの風味が口いっぱいに広がります。塩味もきちん決まっていて、とにかく非の打ちどころ無し!思わず目を閉じてう~ん!と唸る美味しさ。

ぜひお試しいただきたい、日本を代表するモッツァレラです。
白糠酪恵舎、モッツァレラのパッケージ

白糠酪恵舎、モッツァレラのパッケージ

白糠酪恵舎の「モッツァレッラ」

白糠酪恵舎の「モッツァレッラ」。カットすると、ジュースがじゅわわ~っと溢れます。

<工房データ>
チーズ工房 白糠酪恵舎
〒088-0342 北海道白糠郡白糠町中茶路
Tel: 01547-2-5818
Fax: 01547-2-5819
email: g-cheese@hkg.odn.ne.jp


2.共働学舎新得農場の「さくら」 (北海道/牛乳製/ソフトタイプ)

春になるとどうしても食べたくなるのが、季節限定、共働学舎新得農場の「さくら」。うっすらと白い酵母をまとった柔らかなチーズに桜の葉を巻き、桜の花の塩漬けをのせて仕上げている、日本らしいチーズです。

パッケージを開けるとふわりと桜の香りが広がり、あぁ、春だ!今年もこの季節がやって来た!と心躍ります。口に含むと、ほっくりしたチーズのなめらかな口どけ、やさしい味と香りとが相まって、至福のひととき。優しい風味で誰でも食べやすいので、人が集まるパーティーやお花見にもぴったり!もちろん、かわいいルックスも魅力です。

なお、こちらの「さくら」は、チーズの本場ヨーロッパで開催されていた「山のチーズオリンピック」でほぼ毎回賞を獲得。また、フランスで開催されたチーズの国際コンクール、“モンディアル・デュ・フロマージュ2015”では金賞をも受賞している、日本が誇る銘チーズです。小さいけれども極めて本格的な「さくら」。ヨーロッパの人も認めた美味しさを、桜の季節にぜひお試し下さい。
共働学舎新得農場の「さくら」

共働学舎新得農場の「さくら」。ふわっと桜が香る、日本らしいチーズです。

<工房データ>
共働学舎新得農場
〒081-0038 北海道上川郡新得町字新得9-1
Tel: 0156-69-5600


3.三良坂フロマージュの「フロマージュ・ド・みらさか」 (広島県/牛乳製/ソフトタイプ)

“山地(やまち)酪農”--まだまだ聞き慣れない言葉ですが、一般的な放牧が、広大で平坦な牧草地に家畜を放すのに対し、山地酪農は、あるがままの山地に家畜を放す自然放牧。そんな山地酪農を広島県の三良坂町で実践しているのが“三良坂フロマージュ”さん。家畜たちは、そこここに生えている自然の草花や木の実を食み、自由に動き回って日々過ごしています。

ストレスなく健康に生きる家畜たちの出すミルクは、質が良く風味豊か。春は筍、夏はクローバー、秋は栗や柿、冬は笹等…と季節によって食べる植物が違うため、ミルクの味、そしてチーズの味も四季折々で変化します。そんな自然の恵みをぎゅっと凝縮させたチーズはもちろん美味!

自然放牧のブラウンスイス牛のミルクを100%使い、6週間の熟成を経た「フロマージュ・ド・みらさか」は、香りの良い柏の葉に包まれた姿も素敵。葉を開くと、中にはうっすらと白かびをまとった優しいクリームイエローのチーズが。熟成と共にとろりと成長した姿は、いかにも美味しそう!ひとくち食べると口の中でなめらかに溶け、クリーミーでしっかりした味と充実したミルクの風味が広がり、最後に心地よい後味が残ります。塩加減もチーズの持ち味とのバランスが取れていて、美味しさにうっとり。チーズって人を幸せな気持ちにする事を実感させてくれます。

柏の香り移った日本ならではのチーズ、フロマージュ・ド・みらさか。抜群の味はもちろん、センスの良いルックスも魅力的な、ぜひ一度はお試しいただきたい逸品です。
三良坂フロマージュの「フロマージュ・ド・みらさか」

柏の葉に包まれた姿も素敵な、三良坂フロマージュの「フロマージュ・ド・みらさか」。

三良坂フロマージュの「フロマージュ・ド・みらさか」

柏の葉を広げると、白くてふっくら柔らかいチーズが。カットするととろりとしていて見るからに美味しそう!

なお、この「フロマージュ・ド・みらさか」は、国産チーズコンクールの“オールジャパンナチュラルチーズコンテスト”で金賞を受賞。そして先の“モンディアル・デュ・フロマージュ2013”では銀賞も受賞している、日本を代表する国際レベルのチーズです。

<工房データ>
三良坂フロマージュ
〒729-4302 広島県三次市三良坂町仁賀1617-1 
Tel: 0824-44-2773
Fax: 082-553-0752
email: info@m-fromage.com 


4.今牧場の「茶臼岳」 (栃木県/山羊乳製/シェーヴル)

毎年春になると、“そろそろかな?”と楽しみにしているのが、「茶臼岳」。那須高原、今牧場さんが丹精込めて作っている本格シェーヴル(山羊乳製チーズ)です。シェーヴルの生産は、4月頃~11月頃の季節限定。というのも、早春に子山羊を出産して初めて、お母さん山羊のミルクを分けてもらえるようになるからです。そして晩秋になるとミルクが出なくなり、そこでシェーヴルの生産は終了となります。

茶臼岳は、四角錐の上部を切り取ったような形で、表皮は少し皺の寄ったグレー。ナイフを入れると表れるのは、眩しいくらいに真っ白で目の詰まったチーズの生地。食べると上品な酸味とコクがあり、口どけなめらか。時折シェーヴルに見られる獣臭も無く、シェーヴルが苦手な人でも食べやすい優しい味です。

ちなみに表皮が灰色なのは、食用の灰をまぶしているから。この灰は、チーズの酸味を柔らかくしてくれると言われ、フランス産シェーヴルでもよく見られます。
今牧場の「茶臼岳」。

今牧場の「茶臼岳」。

山羊の親子

春は出産シーズン。お母さん山羊たちは、出産を経て初めてミルクが出るようになります。(画像提供:今牧場)

  <工房データ>
那須高原今牧場 チーズ工房
〒325-0304 栃木県那須郡那須町高久甲5898 
Tel: 0287-74-2580
Fax: 0287-74-2585


5.吉田牧場の「カチョカバロ」 (岡山県/牛乳製/パスタフィラータタイプ)

密かに“日本一、いや世界一のカチョカヴァッロだ!”と個人的に思っている吉田牧場さんの「カチョカバロ」。1年を通して放牧されているブラウンスイス牛のミルクから作られるこのチーズには、食べた草花の風味、その土地の栄養が溶け込み反映されているからか、何度食べても飽きる事がなく、いつも美味しい。たまに見つけて購入しても、美味しすぎてあっという間に家族の胃袋に消えてしまう、山盛り食べたいチーズです。

普通、カチョカヴァッロは焼いて食べるとより美味しいのですが、こちらのカチョカバロは、焼かなくても絶品!スライスをそのままおやつやおつまみにいただくと、しっとりとした舌触り、厚みのあるミルクのコク、甘み、香り、ほのかな酸味と塩味のバランス……もう、とにかく素晴らしく美味!また、1~2cmの厚切りにしてフライパンで両面をこんがり焼いたチーズのステーキは、アツアツとろりとして、チーズの濃厚なコクと旨みを楽しめるご馳走です。「どうしてこんなに美味しいんだろう!」と食べるたびに何度も感動しています。

ただ、吉田牧場さんのカチョカバロはファンが多いのに生産量が限られていてとにかく入手が困難。見かけたラッキーな方は、チャンスを逃さずにぜひ試していただきたい絶品チーズです。
吉田牧場のカチョカバロ

吉田牧場の「カチョカバロ」。ひょうたん形を1/4にカットした一切れです。

<工房データ>
〒709-2411 岡山県加賀郡吉備中央町上田東2390-3
Tel: 0867-34-1189
Fax: 0867-34-1449


6.清水牧場の「バッカス・ダルパージュ」 (長野県/牛乳製/ハードタイプ)

北アルプスの標高1400~1800mの山岳地帯に位置する清水牧場さんのまきば。そこで5~11月の間放牧されているブラウンスイス牛たちは、澄んだ気持ちの良い空気の中、自由に動き回り思い思いに青草を食んでいます。こうした、日本における本当の“アルパージュ(高地山岳地帯での放牧)”と、10か月以上もの熟成によって生まれたのが、“バッカス・ダルパージュ”です。

山の恵みと栄養をぎゅっと凝縮したかのようなこのチーズ、ナッツの様な香ばしい香りと複雑な旨みが広がり、上品で美味しい余韻が続きます。ミルクの質の良さ、熟成の力を感じさせてくれる、高品質チーズです。
清水牧場の「バッカス・ダルパージュ」

清水牧場の「バッカス・ダルパージュ」。牧場の草花を食べた牛のミルクから作られます。

<工房データ>
清水牧場
〒390-1611 長野県松本市奈川51
Tel: 0263-79-2800 
Fax: 0263-79-2801


7.アトリエ・ド・フロマージュの「ブルーチーズ」 (長野県/牛乳製/青かびタイプ)

初めてこの“ブルーチーズ”を食べた時、本当にびっくりしました!あまりにも美味しくて。そして、日本でこんなに本格的で美味しいブルーを作っているのか、と衝撃を受けたのを覚えています。

舌触りは滑らかで口どけ良く、しっかりとした青かびの風味を感じる本格派だけれども不快なクセや臭いはありません。そして何より旨みが濃い!いつまでも味わっていたくなるチーズです。“日本人にとって食べやすいけれども、本格的な上質チーズを目指した”というその言葉に大きく頷かされる仕上がりです。
アトリエ・ド・フロマージュの「ブルーチーズ」

アトリエ・ド・フロマージュの「ブルーチーズ」

ちなみにこの「ブルーチーズ」、先程の「ジャパンチーズアワード2014」では、金賞と最高賞のグランプリをダブルで受賞。さらに「モンディアル・デュ・フロマージュ2015」でも、最高賞のスーパーゴールドを獲得という快挙を成し遂げている、まさに世界最高レベルのチーズです。国内外のチーズのプロを唸らせたブルーチーズ。ぜひ皆さまも試してその美味しさに驚いていただけたらと思います。

<工房データ>
アトリエ・ド・フロマージュ
〒389-0501 長野県東御市新張504-6
Tel: 0268-64-2767


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