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安全資産とリスク資産の配分を決めよう

ポートフォリオを組む場合、もうひとつ重要な点があります。それは、リスク資産と安全資産の比率をどうするか、ということです。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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安全資産のみでは、将来のインフレリスクに対応できなくなる

老後資産運用の注意点

老後資産運用の注意点

なぜ、ポートフォリオにリスク資産を組み入れる必要があるのでしょうか。理由は、安全資産のみでは、将来のインフレリスクに対応できなくなる恐れがあるからです。

世界的に、現状よりも人口が増加し、食糧や資源、エネルギーに対する需要が高まって、インフレ圧力が強まることを前提にして、資産運用の戦略を考えると、ポートフォリオの一部にリスク資産を組み入れるのは必定といっても良いでしょう。

リスク資産を選ぶ際の3つの条件

では、持っている全資産のうち、どの程度の比率でリスク資産に資金を配分すれば良いのでしょうか。「100マイナス年齢方式」といって、たとえば50歳の人なら、「100−0=50」つまり50%をリスク資産にすれば良いという考え方もありますし、「値下がりしても夜、熟睡できる程度でリスク資産を持つ」、あるいは「3カ月程度の生活に必要な資金を安全資産にして、残りはリスク資産にする」など、さまざまな考え方があります。

ただ、このようにさまざまな見解に分かれるのは、この問に対する正解がないからです。つまり「人それぞれ」です。

どういう種類の資産を、どのように持つかにもよりますが、私は保有資産のほぼ全額近くをリスク資産に充てても良いのではないかと考えています。安全資産は、緊急の用に必要な程度の額を持っておけば良いでしょう。あえて基準を設けるなら、給与1カ月分程度でしょうか。

で、残りは全額をリスク資産に配分するわけですが、条件が3つあります。
第一に、流動性が高いものであること。いつでも一部を取り崩し、すぐに現金化できるものに投資しましょう。

第二に、集中投資しないこと。株式の個別銘柄のように、特定企業の浮沈によって資産価値が大きく増減するようなものは望ましくありません。

第三に、長期で保有すること。
上記の3つの条件をクリアできるなら、保有資産のほぼ全額をリスク資産に充てて良いと思います。

全額リスク資産でも良い?

リスク資産は、確かに値下がりするケースもありますが、それに投資するという判断は、将来、投資したものが値上がりすることを前提にしているはずです。値下がりするという前提なら、わざわざ投資したりはしません。長期的に値上がりするという前提でリスク資産に投資するのですから、その配分比率を抑える必要はありません。

ただ、長期にわたって投資する過程で、どうしても高額のキャッシュが必要になる場合が生じてきます。子供の教育費や住宅購入の頭金などが、その代表的なところですが、その場合は、リスク資産の一部を取り崩します。だからこそ、流動性の高いものが望ましいのです。

また、リスク資産といっても、特定の要因で資産価値が大きく増減するものは避けた方が無難です。たとえば東京電力や東芝、三菱自動車の株式などは、事故や不祥事で資産価値が大幅に目減りしました。同じ観点で考えれば、特定の新興国に投資することも避けるべきです。逆に、世界全体の株式市場に投資すれば、特定の要因で資産価値が大きくブレることもありません。

そう考えていくと、MSCIコクサイなど世界先進国の株式市場に分散投資するのと同様の効果が期待できるインデックスファンドは、流動性、分散度合いなどから考えても、適した投資対象のひとつと言えます。

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