マツダ アクセラに1500ccのディーゼルエンジン搭載モデルが登場
アクセラがマイナーチェンジをし、今まで設定が無かった1500ccのディーゼルエンジン搭載モデルを追加してきた。このエンジン搭載のモデルは、価格や燃料コストでハイブリッドのプリウスと真正面から勝負出来るスペックを持つ。果たして、実際にプリウスと比較したら勝てるだろうか?
ディーゼルエンジンとは思えないほど上質なエンジンフィール
試乗して驚いたのが、ディーゼルエンジンと思えないほど静かで上質なエンジンフィールだった。今回アクセラに搭載したのは、細かい改良を加えた新バージョン。燃料噴射のタイミングや、カリカリ音を防ぐためのバランサーなどを採用している。これらが抜群に効いているようだ。エンジンをかけた時から止めるまで、ディーゼルの“特徴”であるキンキンとかカリカリというノッキング音が無し! 同時に振動も全く気にならないレベルに抑えている。ウソ偽り誇張無く、何のアナウンスもしなければディーゼルエンジンだと解らないと思う。このクラスで世界一の仕上がりと言って良い。
日本車の中で最もカタログ燃費に近い実燃費のクルマ
燃費も良好。カタログに記載されているJC08は21.6km/Lで、意外なことに1500ccガソリンエンジン車の20.6km/Lと大差なし。けれど実際に走ってみると、無理なくカタログ燃費くらい出てしまう。日本車の中で最もカタログ燃費に近い実燃費のクルマだと言いきってよい。加えて燃料はガソリンより20%くらい安価な軽油を使うため、25km/L走るプリウスと同じくらいの燃料コストで済む。となると気になるのが走りの味だけれど、これまた十分。最高出力こそ105馬力しかないものの、最大トルクは2500ccガソリン車に匹敵する270Nmもある。
発進加速は余裕タップリだし、街中で走っている時の動力性能だって不満なし。強いて言えば登り坂や高速域での加速感ながら、プリウスに搭載されるエンジンは98馬力/142Nmしかない。バッテリーを使い切ってしまった時の走りの性能は(アクセル全開だと数分間で使い切る)アクセラの勝ち。
乗り心地はイマイチだが、大きな入力や高い速度域の安定感は高い
足回りはどうか? 上質な乗り心地で評判の良いプリウスながら、路面の段差に代表される少し大きな入力を与えるとバランスを崩す。かたやアクセラと言えば、乗り心地という点でイマイチ。路面の細かいデコボコを拾ってしまう。けれど大きな入力や高い速度域の安定感は高い。引き分けか。
今やニーズの高い自動ブレーキは新しいシステムを採用してきたけれど、プリウスに届かなかった。プリウスの場合、停車している車両に対し50km/hまでなら追突せずに停止すると言われている。実際JNCAPの公的な試験で実証された。アクセラの性能を聞くと「40km/hなら止まれますが……」。
実力はJNCAPのテストまで解らないけれど、あまり自信なさそうでした。また、歩行者を認識した自動ブレーキ機能も持っているが「10km/hなら止まれますが、それ以上は解りません」と歯切れ悪い。いずれにしろ自動ブレーキのベンチマークであるスバルのアイサイト3に遠く及ばず。
プリウスと比較した際のアドバンテージは?
そろそろまとめよう。プリウスと比べた時のアドバンテージは、プライスレスのデザインを除けば(プリウスのデザイン、評判イマイチです)、動力性能の高さと、速度域が高い時のハンドリング、装備内容を考えた時の価格といったあたり。プリウスの購入を考えてるならアクセラも検討したらいい。
ただし、ディーゼルエンジンは暖気さえ終わらないようなチョイ乗りを繰り返すと、ススを燃やす装置が十分稼働しない。結果、ススが貯まり調子出なくなってしまう。チョイ乗りの多い人は、プリウスを買うか、アクセラでも普通のガソリンエンジン搭載グレードを選ぶといい。