ゲーム業界ニュース/ゲームとビジネスニュース

ビッグタイトルが無くてもスクエニが好調な理由(3ページ目)

2016年5月12日、スクウェア・エニックス・ホールディングスは2016年3月期の決算報告を発表しました。内容はというと、売上高が約2,141億円で、前年度比27.5%増。本業の儲けを示す営業利益は260億円で、58.4%増となっています。絶好調のスクウェア・エニックスですが、その背景には収益構造の大きな変化が見られます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

HD事業でIPを確立し、オンラインゲームで稼ぐ

FF15 、ドラクエ11の図

ファイナルファンタジーXV、ドラゴンクエストXIといった大型タイトルによって、ブランド価値を高めていきます(イラスト 橋本モチチ)

スマートデバイス・PCブラウザゲーム事業とMMO事業の共通点を言えば、長期運営によって、アイテム課金や月額利用料によって収益を得ていくことが可能なオンラインゲームである、ということです。これによって、何年かに一度登場するビッグタイトルが無くても、収益が安定し、成長が目指せる構造を作っています。では、もうHD事業のビッグタイトルはあまり重要ではないのでしょうか?

スクウェア・エニックスでは、実はそうは考えていないんですね。1つには、スマートデバイス・PCブラウザゲーム事業に抜かれたとはいえ、以前としてHD事業の売り上げが大きいことには変わりありません。そしてもう1つ、こちらの方がより重要かもしれませんが、事業分野で区別していくと、大きな変化が見られるんですが、タイトル別で考えると、結局のところドラゴンクエストシリーズとファイナルファンタジーシリーズで稼いでいる、ということは昔からずっと変わっていないんですね。

そして、このドラゴンクエストシリーズとファイナルファンタジーシリーズのブランド価値を大きく高めているのは、やっぱりHD事業のコンシューマー向けの本編最新作ということになるでしょう。スクウェア・エニックスは決算説明でも、ブランドの価値を高めていくために、今後もHD事業でビッグタイトルを発売していく、としています。

事実、2016年9月30日には、ファイナルファンタジーシリーズ本編最新作となる「ファイナルファンタジーXV」が発売予定ですし、ドラゴンクエストシリーズ本編最新作となる「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」はドラゴンクエスト30周年となる2016年5月27日から1年以内に発売したい、ということが発表されています。

ゲーム業界が大きく変化していく中で、既存のメーカーもその変化への対応が求められています。そんな中で、スクウェア・エニックスは、オンラインゲームで安定的な収益を確保しながら、HD事業への大胆な投資をすることで、タイトルのブランド価値を高めていく、というスタイルを確立しつつあります。そして、このスタイルを中長期的に続けていくためには、売上的な意味以上に、フラグシップとなるファイナルファンタジーXVやドラゴンクエスト11の質が重要になりそうです。

【関連記事】
ドラクエXがたった40万本でも大成功な理由(AllAboutゲーム業界ニュース)
超ゲーム初心者のためのドラクエってなあに?(AllAboutゲーム業界ニュース)
全ては精霊ルビスの導きのままに ドラクエビルダーズ(AllAboutゲーム業界ニュース)

【関連ページ】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)


【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気のゲームソフトを見るAmazon で人気のゲームソフトを見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます