他を圧倒する燃費34.0km/Lを実現した「新型プリウスE-Four」
新型プリウスで最も大きなトピックスが4WD車をラインアップしてきたことである。今までプリウスはFF車しか選べなかったため、4WDを必要とする降雪地域に住んでいる人からすれば購入の対象になりにくかった。トヨタも3代目の開発当時から「4WDを作りたい」と思っていたそうな。しかしプリウスがここまで売れるようになると、もはや4WDから逃げるワケにいかない。かといってプリウスというモデルで出すなら、燃費だって追求しなければならないだろう。努力の成果が、JC08モードで34.0km/Lという4WDとしては他を圧倒する素晴らしい数字になった。
ちなみに37.2km/LというFFの燃費にこそ届いていないものの、先代プリウスの30.4km/Lを凌ぐのだから立派な数字である。プリウスの実用燃費は激しい渋滞など悪条件でJC08の60%。一般的な交通状況だと70%程度。したがってプリウス4WDの実用燃費は20.4~23.8km/L程度だと思う。
4WDシステムだが、一般的なタイプと違う。前輪側はFFのプリウスと全く同じ。それに後輪側だけ駆動するモーターを加えている。意外なのは後輪用モーターの出力で、7.2馬力しかない。実際、カタログを見て「一桁、間違っているのでは?」と思う人も少なくないようだ。この数字、合ってます。
出力と併記されている最大トルクを見ると55Nmとある。500ccエンジンと同等なのだった。もう少し詳しく説明しよう。モーターの出力特性はエンジンと全く違い、回転数ゼロの時に最大トルクを出す。そして回転の上昇と共にトルクが少なくなっていく。発進加速の時だけ500ccなのだ。
停止状態からアクセル踏んだと考えて欲しい。前輪には1600ccエンジンと同等の駆動力を掛け、同時に後輪へも500cc分の駆動力を掛けにいく。これだけ後輪に駆動力を伝えてやれば、ほとんどの状況でスリップなどを起こさない。むしろモーターはジンワリと駆動力が掛けられるため、エンジンより有利。
つまりプリウスの4WDは動き出しに500ccエンジン分のトルクを掛けた後、ドンドン駆動力を減らしていく。巡航状態だとFFと全く同じだと考えていいだろう。通常の加速程度であれば雪道でのスリップは基本的に発進時のみ発生するため、動き出したらFFだって問題なし。
数年後の中古試乗で人気になることは確実!
参考までに書いておくと、大半の車種が採用している電子制御4WDも、駆動力の伝え方はプリウスとほとんど同じ。エンジンパワーで後輪を駆動するか、モーターで駆動するかの差だと思っていただければよかろう。雪の降る地域で燃費の良いクルマに乗りたいなら、新型プリウスを有力候補にしていい。気になる価格は売れ筋の『S』グレードで19万4400円差。4WDの価格として考えれば平均的だと思う。ただプリウスの4WDは数年後の中古車市場で人気になること確実。19万4400円高くても、3~5年後に手放す時は、その金額以上に高い査定が付くと予想しておく。
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