亀山早苗の恋愛コラム/連載:アラフォーの“傷跡”

「母が死んでも…」人生の理不尽さを噛みしめる38歳(2ページ目)

【連載:アラフォーの“傷跡”。ずっと誰かに言いたかった】アラフォー女性に背負ってきた人生の事情や悩みごとを聞く連載企画。大手企業に勤務していたが、両親が交通事故を起こしたために仕事を辞めざるを得なくなった、カオリさん。結婚はおろか、恋愛さえできない日々。パートと母の介護に明け暮れ、先が見えない彼女の今の夢とはーー。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

  • Comment Page Icon

ときどき、すべてから逃げ出したくなる

――先が見えないのがつらいですよね。
カオリ:ええ。すべて捨てて逃げ出したくなることもあります。去年だったかなあ、一度、新幹線に乗ってしまったことがあるんです。東京から静岡まで行って1泊して、母をひとりきりにして……。

だけどやっぱり気になって、すべてを捨てることはできなかった。帰ってきたら、家の中はめちゃくちゃ。母が手当たり次第に物を投げていて。
すべてを捨てて逃げ出したい

すべてを捨てて逃げ出したい

――お母さんは、話ができない?
カオリ:事故で脳をやられたみたいで、こっちが言っていることはわかるんですが、自分が言いたいことがうまく整理できないみたい。ちゃんとリハビリすればよかったけど、父とふたりだったので、私もなかなかそこまで手が回らなくて。支えれば歩けるんですが、私を頼るから、なかなかひとりで歩けるようにならない。

――日々、何を考えて生活していますか?
カオリ:日常生活を送るだけ手一杯。体が重くてもだるくても、仕事に行かなければ食べられない。頼る人もいないし、息抜きできるほどのお金もない。

自分が辞めたくて仕事を辞めたわけじゃないけど、もしこの先、母が死んでひとりになっても、おそらく正社員の道なんてないわけですよ。今度は私が生活保護を受けなくてはいけない。お先、真っ暗です。

――理不尽な人生だと思ったりします?

カオリ:思いますよ。結婚はおろか、恋愛すらできないんですから。私はもともと母とはあまり折り合いがよくなかった。それなのに、こんな人生を送るはめになるなんて。

ーーそれでも、なにか先に夢は抱けませんか。
カオリ:先に希望が見えたら、もう少しがんばれるような気もしますけどね、具体的に何がしたいとか思わない。今は、本音を言うと、母に早く死んでほしいと思う。そして、そう思うそばから、私は人間として終わってるとも思います……。


人間、どこでどうなるかわからない。ここでカオリさんが倒れたら、母娘共倒れである。大学を出て、意気揚々と社会人になり、生き生きと働いていた10年前の自分を、カオリさんは「もう忘れた。思い出したくもない」と吐き捨てるように言った。
励ます言葉も、慰める言葉もない。

■短期集中連載【アラフォーの“傷跡”。ずっと誰かに言いたかった】
次回は、自身の「性的願望」を持て余す女性のお話です。
これまでの連載記事はコチラ

■アラフォー女性は「bliss」をチェック!
美しく最高な毎日を手に入れる。いつだって、答えは私のなかに――。ダイエット、ファッション、恋愛、グルメ……大人の女性に向けて、日々の生活や仕事をより輝かせるための情報をお届けしているFacebookページです。
https://www.facebook.com/bliss.allabout
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます