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『花子とアン』と『おしん』で学ぶ鼻濁音

気になる人は使われないのが許せないけど、存在することすらしらない人もいる鼻濁音。消滅の危機になることがニュースになりましたが、ドラマの中でも意外に重要な役割を果たしています。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

国立国語研究所の調査で「鼻濁音」の衰退が進んでいるという発表がニュースになりました。来世紀には東北地方にわずかに残りそれ以外では消滅している可能性が高いとか。

「かがみ」←どう読んでた? 衰退進む「鼻濁音」来世紀にはほぼ消滅か

鼻濁音にもいろいろあって「来世紀には東北地方にわずかに残り」というのはたぶん東北の方言としての鼻濁音。このニュースで一般に強くリアクションされているのはアナウンサーなどが使う「ガ行」の鼻濁音についてでしょう。文節の頭以外につくガ行音は鼻に抜けるように発音する場合があるというものです。


ごきげんよう

鼻濁音がこのニュースの直前に話題になったのは『花子とアン』において。
毎回最後を締めくくる美輪明宏のナレーション「ごきげんよう、さようなら」。これが「心が和む」「癒される」と好評でした。

この理由として美輪明宏があかしたのが鼻濁音の使用。「ごきげんよう」を「ごきンげんよう」と発音することで角張らずやわらかくなると説明しています。

美輪明宏は長崎の出身。鼻濁音が使用されているのは主に東日本で、九州はほとんどないはず。だからネイティブの鼻濁音ではない。声楽では厳しく指導されるそうなので、そこで身につけたんでしょう。

 

鼻濁音づくし

ガイドも鼻濁音の使われない地域の出身なので昔はあまり認識していませんでした。初めて鼻濁音を強烈に意識したのはこれも朝ドラ『おしん』。

山形出身のおしんなので東北地方の鼻濁音が多用されます。さらに語り手の奈良岡朋子はさすが劇団民藝の重鎮、お手本のようにガ行鼻濁音を発音し「これが鼻濁音か」と納得しました。

橋田壽賀子脚本で奈良岡朋子ナレーションはおなじみ。他に朝ドラでは『おんなは度胸』『春よ、来い』、大河ドラマでは『いのち』『春日局』。女優としてはテレビドラマでは東芝日曜劇場内の『おんなの家』シリーズが最も印象的です。杉村春子、山岡久乃と三姉妹で炉端焼きを営むホームドラマで、1974年から1993年まで20年、16作続いた人気シリーズ。単発ドラマとしての東芝日曜劇場、最後の作品でもありました。

次は「日本三大?

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