給料がアップする仕組みを解説します
ベアで生涯賃金上積みへ
今年度に続き来年度もベアがアツい
給料アップには、定期昇給とベアがあります。定期昇給とは、年齢や勤続年数に応じて、給料がアップすることを意味します。年齢をかさみ、役職が付けば給料はアップしますよね。これが定期昇給です。一方、ベアとは、ベースアップの略であり、各年齢階層の賃金水準を一律に引き上げることを意味します。つまり、ベアが実施されれば、生涯で稼げる給料の合計が増加することになります。これにより、自由に使えるお金(可処分所得)が増えるため、消費も活性化する可能性があります。実はバブル崩壊以降、ベアはなかなか実施されてきませんでした。ベアは、労働者からみればあった方が良いわけですが、一方で企業にとっては人件費の総額が増加することになり、業績悪化時でも人件費を削ることが難しくなるため、なかなか実施されにくかったのです。
2015年度も期待してよい?
今年度、久しぶりにベアが復活した企業が多く、来年度も期待できそうです。ベアや定期昇給は、春闘により決定します。春闘とは、賃金や労働時間等の労働条件を労働組合と経営者の間で協議するものです。来年度においても、政府による賃金上昇によるデフレ脱却を目指す方針が背景にあり、大手企業を中心にその要請に応えていくといえます。その結果、自動車大手を中心にベア実施する企業が多く出てきそうであり、自動車大手メーカーの労働組合などでつくる自動車総連月6000円以上のベアを求めていく方針です。こうしてみると、毎月の給料が定期昇給とベアにより毎月数千円ぐらいはアップするのかな?と思えますが、問題はこの金額は大手企業がメインであること。中小企業までベアが波及するのかどうかは、分かりません。必ずしも全体として給料が大幅にアップとまではいかない可能性もあります。
しかしながら、デフレ脱却を進めるためにも、中小企業の多くにもベアが広がる動きが見られる必要があるといえます。また、パート労働者など非正規雇用者の賃上げも行われる必要があるでしょう。今のところ、大企業で見れば、パート労働者にも時給の引き上げが起きている模様です。
今後は2014年度、2015年度の春闘だけではなく、ベアが毎年行われること、大手だけではなく中小にもベアが広がること、その一方で、雇用政策という観点からは、定年退職後の継続雇用や女性の出産後の社会復帰をしやすくすることなども同時に対策を練る必要があります。こうすることで、雇用者の手取り賃金は増加し、生涯賃金も増加します。それがひいては消費拡大にもつながり、日本経済の底上げにもつながるのではないでしょうか。