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スゴイとオシイの間のラシイにDIVE IN(3ページ目)

スクウェア・エニックスが2014年12月3日に開始した、ストリーミングゲームサービス、「DIVE IN」。スマートフォンで「ファイナルファンタジーXIII」などが遊べてしまうということで、ちょっとスゴイサービスです。でも、快適に遊べるかというと、ちょっとオシイところがあるのも事実なんです。スゴイけどちょっとオシイ、しかしそのスゴイとオシイの間に未来が垣間見えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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スゴイとオシイの間にあるラシイを見つけて

スマートフォンで遊ぶモンスターの図

クラウドゲームに相応しいタイトルが登場すると、大きな変化が訪れるかもしれません(イラスト 橋本モチチ)

フィールド移動がもたつく理由としてすぐに思いつくのは、1つはアナログスティックの操作をスワイプに置き換えていること、それに加えて、若干の遅延があることが挙げられそうです。

そもそも3Dフィールドは移動の方向が分かりにくいですから、普段ゲームをしない人だと、ゲーム専用機でコントローラーを使ってもまっすぐ走れないという人もいます。それがスワイプに変換されて、アナログスティックのような微妙なタッチも再現できず、多少なりとも遅延があるとなれば、どうしても操作がビシッと決まりません。

これがRPGだから違和感はありつつ成立するものの、繊細な操作とシビアなタイミングを要求するアクションゲームやシューティングだったらどうだろうと思うと、それなりに困難な結果がまっていることは想像に難くありません。

じゃあ、だからクラウドゲームに未来はないかと言うと、おそらくそうではありません。そもそも、今DIVE INに配信されているタイトルはスマートフォンで遊ぶクラウドゲームに最適化されていないのです。というよりも、むしろクラウドゲームによって無理やりスマートフォンで遊べるようにした、ぐらいの印象です。

遅延があれば、押している間だけ自由な方向に即座に進んでいく、というのはあまり相性が良くありません。上を押せば1マス上に行く、なら大分改善されるかもしれません、行きたい地点をタッチすればそこにオートで進む、もいいかもしれません。そもそも、プレイヤーキャラクターを操作して自由自在に3Dフィールドを歩く、という、アナログスティックにマッチした遊びをわざわざスマートフォンでする必要もないかもしれません。

苦手なことがある一方で、クラウドゲームの方が得意な分野もあります。サーバー側でプログラムを処理するので、端末側の能力に関わらず、すごく複雑で大規模なプログラムを実行することも可能です。大容量のデータを要するゲームでも、ダウンロードする必要なく快適に遊べます。ここには、これまでのゲームを凌駕するような可能性が秘められてもいます。スマートフォンでFF13が遊べるだけでも十分スゴイんですが、もっともっとスゴイことができる可能性があるんですね。

既存のゲームをそのまま再現すると、得意でスゴイところと、苦手でオシイところが露わになります。しかし、どんなプラットフォームでも、得意と苦手があるのは当たり前で、マッチしないソフトコンテンツを搭載すると苦手が目立つものです。しかし、そのプラットフォームの為に得意を伸ばしたコンテンツが登場すると、状況が一気に変わる、そういう場面をゲーム業界では何度も繰り返してきました。

DIVE INはスゴイんですけど、オシイサービスです。でも、そのスゴイとオシイの間に、クラウドゲームならではの何か、「クラウドゲームらしい」コンテンツというものがあるように思います。そのラシイが見つかれば、未来が見えてくるかもしれません。

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