スコットランド独立機運を加速させたものとは
独立かイギリスにとどまるかは現地時間の9月18日に行われる住民投票で決定されるが、もし独立となればその影響はスコットランドとイギリスとの関係だけにとどまらず、分離独立問題を抱えるスペインなど他国に飛び火する可能性もある。
イギリス、つまりグレートブリテン及び北アイルランド連合王国は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドで構成されている。これらは元々別の国であったものが、紆余曲折を経て一つの国(連合王国)となった。スペースの都合上、詳細は割愛するが、その歴史は必ずしも常に調和が取れたものだったとはいえない。
独立の機運の高まり
スコットランド独立の機運が高まるきっかけとなったのは、1960年代にスコットランド沖で北海油田の開発が本格化したことだ。油田の大部分がスコットランド沖にあることから、これを財源にすれば経済的に自立できるのではないかという期待が高まった。
くすぶる住民の不満
そのベースには小さからぬ被害者意識がある。スコットランド社会にはイギリスに不当に搾取されているという意識や自分たちの意見が政治に反映されないという不満がくすぶっていた。その緩和の意味もあり、イギリス政府は地方分権を推進。約300年ぶりに議会が復活すると、2007年には、独立を掲げるスコットランド民族党(スコットランド国民党と訳す人もいる)が最多議席を獲得。2014年9月18日、ついに住民投票が実施されることとなった。
なぜ今なのか
ごく簡単な経緯は以上の通りだが、問題はそれがなぜ「今」起きているかだ。スコットランドにおける前述の不満は長い歴史を持つものだし、北海油田の件も以前からわかっていたことである。独立の機運を急速に後押ししたのは、今世界で高まりを見せているナショナリズムと見るのが自然だろう。
台頭するナショナリズム
ナショナリズムの高まりについては日本の人は肌で感じているはずだ。国民から高い支持を集めている安倍政権がナショナリズムを旗印にしているのは誰でも知っている通り。さらに日本の目と鼻の先の国では凄まじいナショナリズムが台頭している。
韓国や中国における「反日運動」だ。それらは表向きは反日という形をとっているが、その実態はナショナリズムの爆発に他ならない。
溜まり溜まったナショナリズムのエネルギーが自国政府に向かわないよう、反日に矛先を変えさせ、ガス抜きさせていると見るのが妥当だ。