富山の魅力溢れる前衛的地方料理
ふわふわ柔らかな自家製パン。これがまた美味しく、料理にもよく合うのです。
・prologue
プロローグ
ケーキのような鮮やかでガーリーなアミューズは見ているだけでも愉しいですが、その完成度の高さも、また見事なもの。5種類の料理は左から「ビーツのマカロン(中にはサツマイモ!)」「ホワイトアスパラガスを使ったギモーブ」「立山の生姜と木苺のジュレ」「清水牧場のチーズを使ったグジェール」「胡麻を練り込んだ最中の皮の中にシロエビのペースト」という内容。
色・形・構成(組み合わせ)・テクスチャ・テイスト、そのどれもが高次元で構築された一口料理となっており、特にアスパラガスを使ったギモーブがケーキのような超柔らか食感(舌触り)で、「糠鰯(こんかいわし)」を使ったパウダーとの相性も良く、特筆物。しかも、使われている器は富山在住の作家さんによるもので、使われている食材のほとんども「富山」産という、谷口シェフの明確なコンセプトの上で成り立っているのです。
地産地消はもちろん、「富山」の魅力を食を通じて発信するという、まさに世界基準(地の食材&前衛的表現)の料理世界ですね。
・鮎
庄川の「鮎」
それに今の時期の鮎は骨ごと(頭ごと)いただく料理が多いですが、ここまで骨を感じさせない見事な調理は初めてでした。富山(庄川)の鮎のポテンシャルと、それを活かしきったシェフの快作! プロローグの料理に続いて、富山の魅力全開の感動作が続きます。
・ボタン海老 / 西洋ワサビ
ボタン海老 / 西洋ワサビ
・フォアグラ / 摘み草
フォアグラ / 摘み草
・有精卵 / 新玉葱
有精卵 / 新玉葱
・穴子 / Shinminato
穴子 / Shinminato
穴子にミントと豆、こんな新感覚の穴子料理は初めて食べましたし、穴子という食材に新たな可能性を与えているような、そんな気がした一皿でした。
ガストロノミーに「前衛」という言葉を使うことがありますが、真の「前衛」とは、既存の「伝統」や「組み合わせ」をアップデートし続ける過程で、美味しさに新たな可能性を見出し、表現することだと思うのです。しっかりとした(ヌーベル)キュイジーヌの基礎力を持つ谷口シェフだからこそ、この「前衛」の領域にたどり着けるのでしょうね。
次ページからは、コース料理の後半を御紹介します