2013年度は「見直し」の1年
今年3月末には消費税増税に伴う駆け込み需要が大変な話題となりましたが、実は資産運用の世界でも、昨年末の証券優遇税制の終了前には株式や投資信託の「駆け込み売却」が殺到しました。株価の上昇も手伝って、昨年2013年の相場上昇で含み益を拡大した投資家が利益確定に走ったものとみられます。こうして振り返ってみると、2013年度は相場環境の改善とそれに伴う利益確定、さらにはポートフォリオ全体の見直し等、これまで塩漬け状態だった保有ファンドを見直す良い機会となった方も多かったのではないでしょうか。毎月分配型は人気が二分
こうした中、売れ筋の「ベスト10」は全て毎月分配型が独占しました。今年1月にNISA(少額投資非課税制度)の運用が始まり、シンプル且つ低コストのインデックスファンドや、複数の資産を組み合わせたバランス型ファンドにも注目が集まりましたが、それでもなお、毎月分配型は根強い人気を誇っています。しかし、この毎月分配型も人気は二分しています。月々250円(1万口あたり。2014年3月末時点。以下同。)の分配を行う2位の「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型」と、5位の「アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)」は、通貨選択型の中でも特に分配金の水準が高い「超高分配」タイプです。
他方、1位の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」、4位の「ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)」、8位の「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」、9位の「フィデリティ・ストラテジック・インカム・ファンドAコース(為替ヘッジ付き)」は、全て設定から10年超の年数が経過している「長寿ファンド」です。通貨選択型のような分配金を捻出するための仕組みは用いておらず、月々の分配水準は全て100円を下回っています。
「グロソブ」、流出に歯止めかからず
一方、資金流出額の多かったワースト10のランキングでは、毎月分配型のパイオニア的存在である「グロソブ」こと「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」が首位につけました。同ファンドは2010年ごろから資金流出に苦しんでおり、今年4月、遂に12年間維持し続けてきた純資産残高トップの座を明け渡しました。その他、豪ドル債券に投資するタイプも恒常的な資金流出に見舞われています。なお、毎月分配型では、資金流入の大小も分配可能原資に影響を与えるので、注視する必要があります。また、米国株式に投資する「日興グラビティ・アメリカズ・ファンド」と「日興UBS米国成長株式リスク・コントロール・ファンド」は、いずれも運用成績が良かったにも関わらず、ワーストで2位と5位につけています。これは、当初募集時、あるいは設定後間もない時期に購入した投資家が既に利益確定を行ったためとみられます。