金色・銀色の歯のかぶせもの:金属系クラウン
■ゴールドクラウン色は黄色~薄黄色。保険適応外。金属の硬さが歯と同じくらいで、噛み合わせによって適度に摩耗をするため、歯に優しいかぶせものと言えます。口の中の温度変化に対しても歯と同じような熱膨張係数を持ちます。さらに生体親和性も高く、金属アレルギーを起こしにくいといわれています。このため物理的には最高のかぶせものです。シルバークラウンよりも金の配合を増やすため、保険適応外。ここ数年の金の流通価格の上昇で、以前よりも高額(4~14万円)になっていることもあります。
■シルバークラウン
色は銀色。保険適応。一般的に良く使われている銀色の金属は「12%金銀パラジウム合金」と呼ばれています。これは金12%でその他に銀やパラジウムを配合した合金です。健康保険が適応されることが多いため安価です。
白色の歯のかぶせもの:樹脂系クラウン
■ハイブリッドクラウンレジン樹脂より高耐久性だがセラミックほどの耐久性はないハイブリッド素材。
セラミックより柔らかいため耐摩耗性が低いのですが、それを利用して、歯ぎしりが激しい歯や、衝撃が加わりやすい歯のかぶせものに積極的に利用するケースもあります。樹脂の強度不足を補うために、金属冠を作りその周囲にハイブリッドで形を整えることもできます。ただし審美的にはセラミックほどは望めず、審美的耐久性も数年で表面の艶が無くなることがあります。
ハイブリッド樹脂単体では、衝撃で割れてしまうこともあるため、歯を多めに削ってかぶせものの厚さと増して強度不足を補う場合もあります。なお平成26年の4月より、小臼歯限定でハイブリッドセラミックの削りだしが保険適応されるようになりました。実感としてまだまだそれほど普及していませんが、コストと審美性のバランスを考えるとこれから期待の素材です。
■硬質レジンクラウン
色は白。保険適応。ハイブリットのようにセラミックが配合されていないため、強度、耐摩耗性は低くなります。奥歯にも利用することはできますが、摩耗が早いため噛み合わせている歯が、少しづつ移動して噛み合わせのバランスが狂ってしまう場合や、表面性状の劣化による艶の消失や着色、変色の問題や強度不足による破折などのリスクがあります。強度が必要な場合は、それだけ歯を小さく削り込む必要があります。
■硬質レジン前装冠
前方のみ白、裏側は銀色。前歯のみ保険適応。一般的に前歯の保険治療で行なわれるかぶせものです。強度を確保するため硬質レジン単体ではなく、金属冠を一度作りその表面に硬質レジンを張り付けて作ります。金属冠の強度がありながら、前から見ると白い歯に見えます。金属の裏打ちがあるため、透明度がなく本物の歯とは違う色合いになります。また表面の劣化や着色、変色が数年後に起こってくることがあります。
白色の歯のかぶせもの:セラミック系クラウン
■ジルコニアクラウン金属の色のみ変更したい場合には有効
■ポーセレンメタルボンド
色は白。保険適応外。前歯でも奥歯でも自由に使用することができます。まず金属冠を作り、その金属表面にセラミックで色と形を再現していきます。この時のセラミックは真空状態で焼き付けます。このため高度な技工操作が行なわれています。セラミックが持つ、硬いが脆い性質を金属で補っています。色も豊富で透明感や深みを再現できるため、より自然な色合いとなります。表面的な強度が高いため10年以上経過しても艶が無くならない、変色しないなどのメリットがあります。ただし過度な衝撃によっては白い部分が破折する可能性があるため、シビアな噛み合わせの調整が必要です。
■オールセラミック
色は白。保険適応外。まずジルコニアで小さな冠を作り強度を出し、その周囲を色の再現性に優れるセラミックを焼き付けて作るタイプと、色の再現性が優れるセラミック単体のみで作るタイプがあります。内部にジルコニアを使用するものは、強度が高いため数歯をつなげてブリッジを作ることも可能。金属を使用するものよりもさらに審美性が高いものになります。セラミック単体で作るものは、主に前歯で強度が必要ない部分に利用されます。最も審美的再現性に優れていて、本物の歯と区別がつかないような歯を作ることも可能です。オールセラミックはかセラミックのかぶせものの中で最も高価(8~18万円)になります。