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微笑みの国、タイの笑えない騒乱事情

先月3月以来、タイで元首相タクシン氏を支持する団体が、連日のように反政府デモ・抗議を繰り返しています。生血をまくなど、過激な手段もとるこの団体は何が目的なのでしょうか?

執筆者:All About 編集部

タクシン元首相の支持者がデモを展開

抗議活動は主に首都のバンコクで行われている

抗議活動は主に首都のバンコクで行われている

今回のデモの中心になっているのは、反独裁民主統一戦線(UDD)というタイの元首相タクシン氏の支持団体。この団体は活動時にメンバーが赤いシャツを着ているので、通称「赤シャツ隊」とも呼ばれます。

抗議活動は3月中旬から始まって、4月の現在でもまだ続いています。きっかけになったといわれるのは、2月末にあったタクシン元首相の資産を没収する、最高裁の判決です。その判決によると、タクシン元首相一族の資産約760億バーツ(約2200億円)のうち、約460億バーツ(約1340億円)を国家が没収することになりました。UDD側は抗議活動と判決の関連性を否定していますが、第三者から見たら、判決がきっかけと考えても全くおかしくはありません。

UDDのデモ・抗議はあらゆる方法で行われており、特に過激なのは、デモ参加者から採取した生血を首相府や与党の本部前にまいた抗議。UDDが政府に対して要求しているのは、アピシット首相の辞任と国外退去、加えて議会の解散・総選挙です。しかし、政府はそれを拒否しています。

政府側はUDDの抗議に対して治安部隊を派遣して対抗し、発砲によってすでに死傷者が多数発生。4月14日の時点では、すでに23人の死者が出ているといわれています。

巻き添えになった日本人カメラマンも

デモで犠牲になった人の中に、日本人が1名含まれています。ロイター通信の日本支局所属カメラマンである村本博之さんが、4月10日夜に取材中、デモ隊と治安部隊との衝突時に発砲された弾に当たり、そのまま死亡。村本さんの遺体は、13日に日本に移送されています。この射殺事件については、日本の警視庁組織犯罪対策2課が、犯人逮捕に向けて捜査に乗り出すと発表しました。
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