毎月、先月発表されたニュースの中から今後の動向が気になるトピックスを厳選してお届け。今回は2014年1月分です。
【今回注目したニュースはこれ!】
政府が創設を目指す「原発廃炉」の専門家資格とは?
1月5日付の産経新聞によれば、政府・与党は原子力発電所の廃炉や、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染作業従事者が対象となる国家資格「放射線関連業務士」(仮称)を新設する方針を固めたとのこと。新資格は、廃炉作業時の安全確保と除染の徹底を図るのが狙いで、現在行われている通常国会中にも、議員立法で法案を提出するといいます。
報道によれば、新資格は
(1)原子炉の修理や廃炉作業
(2)作業員の被曝線量管理や汚染検査に関する放射線管理業務
(3)除染作業
の3分野から成り、それぞれに1~3級の等級を設ける予定だそうです。
現在進められている福島第1原発事故に伴う除染作業では、放射線関連業務の人材強化の必要性が指摘されていますが、今のところ廃炉や除染作業に特化した資格はなく、除染作業を行う事業者に6~7時間の講習受講が義務付けられている程度。それすら実際には講習を受けずに作業するケースもあるのだとか。そこで新資格の創設となったわけですが……。
実は原発関連の国家資格としては、核燃料物質取り扱いの保安・監督をする「核燃料取扱主任者」(原子力規制委員会が所管)や原子炉運転の保安・監督をする「原子炉主任技術者」、放射線の安全管理を統括する「放射線取扱主任者」と既に複数存在するのも確か。
わざわざ新資格を創設しなくても、現行資格の試験科目の増加や、資格ホルダーに向けて新たに講習時間を設けたりすることで、十分対応できるのでは?との声もあります。
また、恐らく現在の科学技術のすいを結集しているであろう福島第1原発の事故後の対応が、未だ汚染水漏れの管理すらおぼつかない状況であるのを見るにつけ、いったい誰が、どうやって新資格の基準を作成し、認定するのかと素朴な疑問を感じないではありません。
原案では、請負業者が「放射線取扱業務士」を雇用する割合に応じて、公共工事の受注の機会を増やすような規定も設けるとか。
そうなれば、ゼネコン中心に積極的な取得の動きが起こることになるとは思うのですが、果たして……。