歌舞伎/親子で見る歌舞伎

こども歌舞伎スクール「寺子屋」今春開校!

松竹株式会社が平成26年4月より、歌舞伎座にて こども歌舞伎スクール「寺子屋」を開校します。その趣旨から募集要項まで、入校希望者向け説明会に行って聞いてきました。

宗像 陽子

執筆者:宗像 陽子

歌舞伎ガイド

歌舞伎の歴史の中でも初めての試みがスタート

2013年4月、第5期となる歌舞伎座が新開場し、歌舞伎はまた新たな歴史を刻み始めました。

その伝統を未来につなぐ新たな取り組みとして、松竹株式会社がこども歌舞伎スクール「寺子屋」を2014年4月に開校するという話を聞き、1月18日(土)松竹の稽古場にて行われた入校希望者向け説明会に行ってきました。

歌舞伎というと、世襲制で一般家庭の人はなかなか舞台に上がれないというイメージがありますが、子役さんに関しては児童劇団などから縁のあった子どもが歌舞伎の舞台を踏むことはよくあることだそうです。
けれども今回のスクールのように、実際に歌舞伎に携わる講師陣が、専門的なカリキュラムのもと歌舞伎子役に必要な技術を1年間指導するという試みは歌舞伎界でも初めてのこと。

和文化を継承し、歌舞伎のすそ野を広げたい

まず、松竹株式会社の専務取締役安孫子正さん、演技指導部門統括講師の中村梅玉さんより、今回のスクール開校にあたり趣旨についての説明がありました。
趣旨としてひとつめは、「日本文化の基本は礼に始まり、礼に終わる。『寺子屋』では、稽古着の着付けや礼儀作法から始まり、日本舞踊、歌舞伎の演技の基礎的なおけいこなどを学んでいきます。幼いころから礼儀を身に着ける素晴らしさを、歌舞伎を通して知ってほしい」ということです。着物を着る、畳の上に正座するといった生活になじみが薄くなっている昨今ですが、日本古来の文化は見直されつつあります。グローバル化が進む今こそ、自国の文化「和」の心を知ることが他国の文化の理解につながると言えるかもしれません。

もう一つは「歌舞伎座新開場以来の歌舞伎の盛況をブームで終わらせることなく、歌舞伎のすそ野を広げ、盛んにして日本の伝統文化を未来につなげたい」という使命感です。一人でも多くの方に歌舞伎に対して興味を持っていただきたいという、今回の企画に対する歌舞伎界の強い思いを感じました。

同じく統括講師である片岡秀太郎さんは、挨拶の中で、
「私は、5歳の時に初舞台を踏みました。子どものとき身についたものはしっかりと覚えているものです。厳しさと楽しさを兼ね備えた学校にしたいと考えておりますので、ぜひ一緒に歌舞伎を育てていきましょう」と保護者の方たちに語りかけていました。
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中村梅玉さんの説明に聞き入る参加者たち

さっそく体験!見得に挑戦!

説明会では、60組約120人の親子が会場を埋め、熱心な様子で説明に聞き入っていました。
趣旨説明のあとは「一谷嫩軍記・組討の場」の子役の演技がスクリーンに映し出されました。
この場面は、舞台という奥行きのない条件の中で遠い海原での熊谷直実と平敦盛の戦いぶりを表現するために、体の小さい子役たちが波間で戦いを演じて遠さを表現するという手法が使われています。
映像を観た後は、歌舞伎役者の指導のもと、子どもたちが見得をしてみたり、敦盛と熊谷に扮して立ち回りをしてみるなどして、歌舞伎ならではの演技に挑戦しました。
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「右足を踏み出して万歳をして、ひらがなの「の」の字を首でまわして書いてね」 やさしい指導で、みんな見得をすることができました。

親子で歌舞伎を楽しみたい!

さて、説明会に参加した保護者の方に今回の説明会への参加理由を聞いてみました。「片岡愛之助さんにあこがれて」という応募者もいましたが、多くは必ずしも歌舞伎役者にさせたいということではなく「自分がお琴を習っているので、子どもにも日本文化に触れさせたい」「自分が歌舞伎を好きなので、将来歌舞伎をいっしょに行けるよう、子どもにも歌舞伎好きになってほしい」といった理由や、「小学校に入る前に、いろいろ体験させてみたい」といったおけいこ感覚の意見も聞かれました。
中には「歌舞伎を観たことはなかったけれど、子どもがたまたまテレビで歌舞伎を観ていて『この舞台に立ちたい』と言ったので」という方もいました。まさに歌舞伎のすそ野が広がるチャンスになるのかもしれませんね。

主に世襲制の歌舞伎の世界ですが、中には「半沢直樹」で話題になった片岡愛之助さんのように一般家庭から才能を見出された方もいます。才能如何によっては、歌舞伎の世界のみならず、音楽や映像、俳優、女優への道が開けるかもしれません。

「歌舞伎役者になりたい」もよし。「ちょっとおけいこ気分で」もよし。「和の文化に触れてみたい」もよし。「親が歌舞伎が好きだから」もまたよし。
気軽な気持ちで「寺子屋」に応募してみてはいかがでしょうか。応募締め切りは2月14日(金)。応募者多数の場合は、書類選考の上、面接で受講生が決まります。
ここから、未来の片岡愛之助さんが誕生するかもしれませんね。

募集
基礎コース4歳~10歳 男女計40名 1年間の指導後、修了者は発展コースで実践的な授業を受けることができる

主なカリキュラム:
・着付け おけいこの際に着る浴衣を自分で着る
・レクリエーション 日本文化、歌舞伎の魅力を知る
・礼儀作法 挨拶、立ち居振る舞いなど、日本ならではの礼儀作法を身につける
・日本舞踊基礎 浴衣での所作、日本舞踊を学ぶ
・演技基礎 基本の発声、表現、動作を学ぶ
・歌舞伎実技 歌舞伎の客の演技を学ぶ
・発表会 おけいこでの成果を発表する
1年間の流れ
4月入校、2月修了。8月、年末年始、修了後の3月は休校

開講:月3回(年間30回)

受講料
・入会金 5万円(税別)
・会費 基礎コース月々1万1000円(税込)(年額11万円)
その他別途経費あり。

問い合わせ先
こども歌舞伎スクール「寺子屋」事務局
電話番号 03-5550-1678

応募締切
ネット…2月14日(金)9:30 
郵送…2月14日(金)必着。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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