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寒さが増した時期に、犬との暮らしで気を付けたいこと

冬本番。「犬は よろこび 庭 駆け回り……」という雪と戯れる犬の姿を表した童謡がありますが、寒さが増す時期には犬たちにも、実は気をつけたいこともあるのです。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

寒さが増す冬の時期に、犬との暮らしで考えておくべきことは?

寒さが増した時期に、犬との暮らしで気を付けたいこと

猫と違って、寒さに強いイメージのある犬ですが、いくつか気をつけるべきポイントはあります


冬本番、「犬は よろこび 庭 駆け回り……」という雪と戯れる犬の姿を表した童謡がありますが、寒い時期には強そうに思える犬たちにも、実は気をつけたいこともあるのです。どうやら寒い時期にもあれこれ気を配ったほうがいいことがありそうです。

<目次>  

ストーブやコタツ、ホットカーペットなど、低温火傷に注意

ウィルス

寒い時期には暖房器具による低温火傷に注意する他、活発化するウィルスや細菌類にも注意

犬は賢い動物ですから、心地よい場所や暖かい場所はよく知っています。ガイドの愛犬も、冬場にはコタツに寄りかかって寝ていたものです。気持ちよさそうに寝ている姿を見ると、そのままにしてあげたくなりますが、時に低温火傷の事故につながることがありますので注意しましょう。

犬の被毛は外からの熱をある程度遮断しますので、実際はかなり熱くなっていても犬の皮膚はそれを感じ取りにくいのです。そのために、気がついた時にはすでに被毛が焼けていた、皮膚がただれていたということがあります。ストーブの周りには安全柵を設置する、同じ姿勢で長時間寝かせない、温度設定を低めにする、ホットカーペットの場合は上にバスタオルなどを敷く、人間用の暖房器具ではなく犬用のペットヒーターを使用する、などの気配りが必要でしょう。特に、子犬やシニア犬では体温調節がうまくできませんから、より注意が必要です。
 

水分不足から尿路結石になることも

一般的には、犬も寒くなると水を飲む回数や量が減りがちになります。水分摂取量が減るとどうなるか? オシッコが濃くなり、ミネラル成分の濃度が上がることから尿路結石ができやすい環境となってしまいます。

いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくとともに、飲水量が減っているようなら、普段の食事に肉汁や野菜の茹で汁などスープ分を足してあげる、缶詰やレトルトのウェットタイプのフードをトッピングしてあげるなど、水分を増やした食事を与えるというのも一つの手。

中型犬や大型犬に比べて水を飲む意識が低い傾向にあるとされる小型犬、そしてシニア犬に対しては特に気をつけてあげたいものです。シニア犬の場合は飲みたくても飲めない、水飲み場まで行くこと自体が面倒ということもありますので、愛犬の様子を観察するようにしましょう。

また、オシッコを我慢することから、結果的にミネラル成分濃度が上がってしまったり、膀胱炎になったりすることもありますので、室内トイレを使用しているならともかく、散歩時にしかトイレをしないというようなコの場合は、寒いから散歩は怠けるということを繰り返していると、その危険性を呼んでしまうことがあります。寒くても適度な散歩は心がけるようにしましょう。

オシッコの回数や色をチェックすることもお忘れなく。痛がる、オシッコの色が濃過ぎる、濁っている、血が混じっている、回数が少な過ぎる、などは要注意です。
 

冷えて関節が痛むこともある

元から関節にトラブルを抱えているコやシニア犬などでは、体が冷えることから関節痛を起こすことがあります。

歩き方がおかしい、跛行している、歩きたがらない、脚の形がおかしい、触ると嫌がる、などの症状が見られた時には関節部分が痛いのかもしれません。軽度であればマッサージも有効ですが、気になる場合には動物病院で診察を受けることをお勧めします。その他、寝場所を暖かくしてあげる、関節系のサプリメントを使うというのもいいでしょう。
 

咳が出るのは心臓病のサイン?

人間の場合、寒い時期に咳が出ると真っ先に風邪を疑いますが、犬では心臓疾患から咳が出ることがあります。人間のように「ゴホン、ゴホン」というものではなく、「ゲッ、ゲッ」「ガッ、ガッ」と喉の奥から何か吐き出しそうな感じなのが犬の咳。冬場の乾燥した冷たい空気を吸い込むことで呼吸器が刺激され、咳が出やすくなりますので、これまでそうした様子が見られなかったコでも冬場に咳が出ることがあります。

心臓疾患の咳の特徴は、明け方や夜間に咳が多いということ。愛犬にそのような様子が見られた時には、一度動物病院で診てもらったほうがいいでしょう。

その他、咳が出るものにはケンネルコフという感染症もあります。これも冬場にわりと見られるもの。ケンネルコフに限らず、ジステンパーやパルボウィルスなど、原因となる病原菌やウィルスにとっては乾燥した環境というのは絶好の活動チャンスとなります。特に、体力や抵抗力のない子犬やシニア犬は罹りやすい傾向にありますので注意が必要です。月齢や健康状態が許すなら、ワクチン接種をすることが一番の防護策ですが、加湿器を使うというのも咳の予防という意味も含めて少しは役に立つかもしれませんね。
 

犬も寒い時にはひび割れを起こすことがある

あまり過保護になると、犬本来の体の機能を弱めてしまうこともある

あまり過保護になると、犬本来の体の機能を弱めてしまうこともある


人間の場合、寒い時期には手が荒れたり、ヒビができたりすることがありますが、犬でも時にパッドがヒビ割れたりすることがあります。散歩から帰った後、足を洗う習慣があった場合、濡れる→ドライヤーで乾かす、といったことを繰り返すうちに乾燥が進んでしまうこともあるのでしょう。

また、病気など何らかの原因によってパッドが角化するケースもあります。今では犬用のパッドケアクリームも市販されていますし、アロマがお得意の方でしたら自作することも可能。愛犬のパッドの状態が気になる時には、そうしたケア用品をパッドに塗ってみてはいかがでしょうか。
 

なんとも厄介な静電気

冬には静電気がつきもの。愛犬を抱こうとした時、パチパチッときたことはありませんか? 

たとえば、2つの物をこすり合わせた時に静電気が発生することがありますが、それはそれぞれの物質の電子が移動することによって、本来電気バランスがとれていたものが崩れてしまい、片方がプラスに帯電し、もう片方はマイナスに帯電している状態となってしまうことによります。面白いことに物質には静電気が起きやすい組み合わせというものがあり、それを一つの指標にした「帯電列」というものがあります。

それは、以下のようなもの。上にいくほどプラスになりやすく、下にいくほどマイナスになりやすいことを示しています。

(+)
↑  アスベスト
↑  人の毛・毛皮
↑  ガラス
↑  羊毛
         ナイロン
         レーヨン
         絹
         木綿
         麻
         木材
         人の皮膚
         アルミ
         紙
         鉄
         銅
↓  ゴム
↓  ポリエステル
↓  アクリル
↓  塩化ビニール
(-)

これらお互い近い物同士をこすり合わせても静電気は起こらないか、起こりにくいですが、遠い物同士をこすり合わせた時には静電気が発生します。羊毛とポリエステルの組み合わせでは静電気が起こり、羊毛はプラスに帯電し、ポリエステルはマイナスに帯電するという具合です。これが羊毛とナイロンの組み合わせであった場合には静電気は起こりくいとなるわけです。(物質の並び順については資料によって多少違いがありますので、興味がある人は調べてみてください)

 

洋服を着せる前に考えておくべきこと

冬場、愛犬に洋服を着せる人も結構多いようですが、着せる洋服の素材に着目して服選びをするというのも一つの静電気対策になるのではないでしょうか。

洋服の話題が出たついでに一言。元来、犬の被毛には暑さ寒さから体を守る役目があります。それなりの寒さを感じれば、犬は自然と毛吹きもよくなるもの。洋服やストーブやコタツ、エアコンなどで、あまりにぬくぬく暖か過ぎる環境で過ごさせるということは、犬本来の被毛の成長を妨げてしまうという部分もあるのだということは、どうぞ頭の片隅に置いておいてください。

なお、人間では静電気が起こりやすい人と、そうでもない人というのがいますが、体内が酸性に傾くと静電気を起こしやすくなるという話もあります。体内を弱アルカリ性に保つには、カルシウムやカリウム、マグネシウム、ナトリウムが含まれる食材を摂取するのが有効とか。これがそのまま犬にもあてはまるかどうかはわかりませんが、静電気が起きやすいコの場合、それらの栄養素を含む野菜や芋類、豆類、海草類などを普段の食事に混ぜて試してみるというのも一策かもしれませんね。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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