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誰でも“実現可能なスーパーカー”アルファロメオ4C(3ページ目)

徹底的な軽量化によりスーパーカー級の高性能を得るべくCFRP製モノコックボディ構造を用いたミドシップ2シータースポーツカー。スタイル、パフォーマンス、プライス、開発陣の「誰でも実現可能なスーパーカーである」というアピールは本当でした。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド


すべては軽量化のために

アルファロメオ4C

ティーポ33など往年の名車からインスパイアされた流麗なデザイン

そう、すべては軽量化のために。アルファロメオがより多くのスポーツカー好きのための“実現のスーパーカー”を作るべく、最も注力したのが、それだった。軽量化は、それ自体、経済性、効率性、環境性への貢献であって、しかも、高性能化にも結びつく。

現代のクルマが抱える主要命題のひとつが軽量化であることを考えれば、なるほど、スポーツカーは昔から、自動車開発の先端に位置すべき存在だった。スポーツカーなくして、自動車の発展なし。欧米メーカーには、そんなはっきりとした意志がある。

いたずらにエンジンパフォーマンスを上げる(=コストに跳ね返る)、のではなく、馬力あたり重量(=パワーウェイトレシオ)を下げることで、スーパーカー級の高性能を得たい。アルファロメオは、そう決断した。

それはストイックなまでに徹底されており、インテリアのチープさやいまどきダンパーのないエンジンフード、極力飾りを廃したSMC成型樹脂のボディパネル(前後バンパーと前フェンダー以外)などによく現れている。もっとも、そのストイックさがイギリス車のように“削ぎ落としのスパルタンさ”へとは転化しないあたりが、イタリアンセンスというべきか。

そして、軽量化に貢献した最大のポイントが、炭素繊維樹脂(CFRP)で作られたモノコックボディ構造である。しかも、オートクレーブを使った“プリプレグ”方式という、CFRP界においては最強の成型方法を採っている。

プリプレグのモノコックボディといえばF1を筆頭とするレーシングカーの技術であり、市販車で採用したモデルといえば、一連のフェラーリスペチアーレ(F50やエンツォ、ラフェラーリ)にパガーニゾンダ&ウアイラ、ポルシェカレラGT&918スパイダー、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン、ブガッティEB110&ヴェイロン、そして伝説のマクラーレンF1やその他レーシングコンバージョンモデル(ジャガーXJR15など)、と数えるほどしかない。

ちなみに、マクラーレンMP4-12Cや、ランボルギーニアヴェンタドールもCFRP製モノコックボディを擁するが、最新式だがプリプレグ方式よりやや性能に劣り、安価と言われるRTM方式を採用している。そのことを思い出せば、4Cにおけるプリプレグ式CFRPモノコックボディ採用というニュースのインパクトの強さを理解してもらえることだろう。

CFRPモノコックボディの年産個数は最大3500個と言われており、アルファロメオ4Cは間違いなく、世界初の“量産”プリプレグ成型CFRPモノコックボディ車となる!

モノコックボディ単体で、わずかに65kg。車両重量は、なんと895kgで、肝心のパワーウェイトレシオはといえば、4kg以下(最小重量仕様で3.85)。エアコンなしのイタリアンドライだと考えても、驚異的な数字であることは、間違いない。
アルファロメオ4C

最高出力240ps/最大トルク350Nmを発生する直4DOHCターボを搭載

ミドに置かれるのは、1750ccのオールアルミニウム製直4直噴ターボエンジンで、基本設計こそジュリエッタ用と同一ながら、ブロックやシリンダーライナー、吸排気系、フルカウンターのクランクシャフトなど、各所に専用設計を施し、重量も22kg軽い。ちなみに、車両重心高は400mm。

組み合わされるミッションは、これまた全く新たな専用プログラムでアップデートされた乾式6速TCT(2ペダルダブルクラッチシステム)で、ローンチコントロールも備わっている。フルスロットル時のシフトアップタイムは、130ms。

アルファロメオ4Cのパフォーマンススペックは、間違いなくスーパーカーレベルに達しようとしている。エンジン排気量の利く最高速度こそ256km/hと平凡な数値だが、0→100km/h加速は4.5秒と、2000万円超級の8Cに迫るものだ。
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