BMW/BMWの車種情報・試乗レビュー

新時代の到来を告げる唯一無比のi8(3ページ目)

CO2排出ゼロを最終目標とした新しいモビリティの提案である、BMWの新サブブランド“ i ”。そのエモーショナルでダイナミックな新しいプラグインハイブリッド・スポーツカーがi8です。お披露目を前に、生産型プロトタイプで新時代の走りを体感してきました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド


新しいプラグインハイブリッド・スポーツカーの提案

BMWi8

ボディサイズは全長4689mm×全幅1942mm×全高1293mm。ホイールベースは2800mmとなる

BMWの新サブブランド、“ i ”。CO2排出ゼロを最終目標とした新しいモビリティの提案である。

要するに、今あるビジネスを守りながら、EVを核とする次世代の移動手段や社会構造を積極的に提案し、未来においてもパーソナルモビリティナンバー1の地位を確保したい、というBMWの強い意志のあらわれ、と言っていい。

BMWi3

アーバン・モビリティ・コンセプトのEVモデル、i3。7月にニューヨーク/ロンドン/北京で同時公開された

すでにグリーンエネルギー100%のライプチヒ工場において、iブランド1号車、EVのi3がラインオフされた。こちらが、都市内個人移動の核となるコミューター的電気自動車だとすれば、i8の方はというと、エモーショナルでダイナミックな新しいプラグインハイブリッド・スポーツカーの提案である。

i3と同様に、車体構造を上下(人用の空間=ライフモジュールと、メカニズム用の場所=ドライブモジュール)に分割して成り立っている。それを可能としたのは、生産性を増したカーボン繊維強化樹脂(CFRP)で、いずれのモデルにおいても、ライフモジュールはCFRP製だ。

BMWは樹脂成型にRTM(レジン・トランスファー・モールディング)と呼ばれる方法を採用している。これは、マクラーレンがMP4-12Cで、ランボルギーニがアヴェンタドールで、モノコック用として採用した方法と原理的には同一のもの。オートクレーブを使うプリプレグ方式よりも強度面でやや劣るものの、メタル素材よりも圧倒的に軽くできる。そのうえ、成型時間は、準備段階も含めて短くてすみ、メタル素材ほどではないにせよ、生産性も高い。

最終的にはいくつかの成型部品を接着して、複雑な形状のi8用ライフモジュールは完成する。できあがったパッセンジャーセルそのものの剛性は、同じカタチをスチールで作ったときとほぼ同等というが、重量を大幅に減らすことができた。

ドライブモジュールでは、シャシーとモーター、場合によってはエンジン、そして最大の重量物であるバッテリーといった“メカもの”をアルミニウムストラクチャーで支える。だから、必然的に重くなる。そのぶん、上屋を軽くする必要があったというわけで、CFRPの活用は、iブランド成立の生命線でもあった。

このシステムをいろいろと換え、組み合わせることで、シティコミューターからスポーツカーまで、幅広いニーズに応えようという目論見である。つまり、i3とi8は、全く違うクルマであるように見えて、実は兄弟車、と言っていい。

BMWi8

ドライブモジュールはシャシーとモーター、エンジンやバッテリーといった“メカもの”をアルミニウムストラクチャーで支える

それが証拠に、i8のフロントアクスルには、i3と同じモーターライズド2段変速パワートレイン(131hp&250Nm)が置かれた。ただし、i8のリアアクスル前には新開発の直噴1.5リッターツインパワーターボ+6速ATパワートレーン(231hp&320Nm)+小モーターが積まれている。エンジンに置かれたモーターは、スターターとして機能するとともに、前輪の駆動に“追いつく”ためのブースター機能も果たす。

2種類の駆動装置を効率的、効果的に協調運用することで、FF・EVのシティコミューターと、エンジンミドシップAWDで0→100km/h加速4.5秒以内というスポーツカーを、両立してしまおうという魂胆、である。システム出力は2つのパワーソースを足しあわせた数字、即ち362hp&570Nm。
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