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新型BMW5シリーズの先進メカニズムを解説 新型BMW5シリーズの先進性2

ヨーロッパで発表されたBMW新型5シリーズに現地試乗した。PART2では定評のあるエンジンフィーリングと新型5シリーズの優れたスタビリティコントロールについて解説する。

執筆者:河口 まなぶ



今回の5シリーズでは、直列6気筒系は従来のものをほぼそのまま使っている。新たになった部分といえば、組み合わせられるATが7シリーズでも採用されているZF製の6速となったことくらいだろう。

BMWは直列4気筒系、V型8気筒系、V型12気筒系といった具合に、順次バルブトロニックを採用してきたが、今回新たになった5シリーズでは、直列6気筒はそのままとされた。これはなぜだろうか?

あくまでも憶測なのだが、おそらく直列6気筒系は、さらに新たな考え方が盛り込まれたパワーユニットとなるのではないだろうか。そしてそのために現在、開発途中のように思えるのである。

というのも新型5シリーズは、予定されたスケジュールよりも少し早く世に送り出された感がある。その意味では現在姿を現した5シリーズは、まだ本来目指したものではないように思えるのだ。

そこからすると、おそらく今後何らかのタイミングで、新たな直列6気筒エンジンが搭載され、そのときが本来目指した5シリーズになるように思えるのである。

もっともこの先BMWは、新型モデルのラッシュが続き、少し先にはとても重要なモデルである3シリーズのフルモデルチェンジを控えている。この3シリーズが登場する頃には、直列6気筒は21世紀においても十分存在意義のあるものへと変化しているに違いないと私は考えている。

エンジンに関しては、現状ですでに「BMWならでは」といえる定評があり、他のライバルたちがV6へとすっかり移行した今後は、その魅力というのは失われないどころかひときわ際だつだろうから、この部分におけるブランド性に関してはこれからもアドバンテージを持ち続けるに違いない。

さて話をシャシーの方に戻そう。アクティブフロントステアリングとダイナミックドライブの組み合わせは、さらに車両制御安定装置であるDSCとも組み合わせられており、協調制御がなされるところがポイントである。

ステアリングフィールのために「あえて残したシャフト」が存在するものの、アクティブフロントステアリングとはつまり、ステア・バイ・ワイヤを示唆するシステムである。低速でクイックに、高速でスローに、といった具合に可変するギア比を実現しているが、同時に路面からのキックバックや振動などの不快なものを伝えないことで洗練された感触を与える他、操作から反応までの間に制御を入れることでセーフティをも実現している。

例えばアクティブフロントステアリングは、アンダーステアやオーバーステアを軽減する役割も備えており、US/OS時にはシャフトの先に備わるモーターが作動し、US/OSを打ち消す方向へとホイールを動かす。例えばオーバーステア時にもしドライバーからの操作がなければ、瞬間的にカウンター方向へとホイールアングルを向けるのである。これはBMWのエンジニアによれば、最大ホイールアングルで6度までカウンター方向への作動を行うのだという。もちろんその前に、ドライバーによるカウンター操作が入った場合は、それを優先する形をとるが、おそらくこのような状況ではこのドライバーによるカウンターも最適な角度に制御されているはずである。とにかく、アクティブフロントステアリングは、各種センサーからの情報を得て、ドライバーの意志以上の操舵を行うこともある、ということである。

この動作が入ったことで、これまでも採用されてきたDSCは、その作動領域を狭めることに成功したのだという。つまりこれまでDSCが介入していた初期の挙動変化領域に対しては、アクティブフロントステアリングが受け持つことになるらしい。実際に走らせてみても、確かにワインディングなどでちょっとガンバった時のわずかなUS/OSでは、DSCが介入してこないのである。

BMW5シリーズ PART1はコチラ
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