再生不良性貧血とは
血液には、白血球、赤血球、血小板という細胞が含まれています。それぞれの元は「多能性造血幹細胞」という1つの細胞で、ここから分化して、白血球、赤血球、血小板になっていきます。この大元の多能性造血幹細胞が少なくなる、または、無くなってしまうことで、白血球、赤血球、血小板全体の数が少なくなってしまうのが「再生不良性貧血」です。
100万人あたり6人の発症が見られます。
文字通り、常に再生している多能性造血幹細胞が、再生不良状態になってしまうわけです。再生不良性貧血の特殊なタイプとして、赤血球になるための幹細胞で赤芽球が少なくなる「Diamond-Blackfan症候群」というものもありますが、多くは、白血球、赤血球、血小板が減少します。
再生不良性貧血の原因
原因としては、大きく先天性と後天性に分けられます。先天性のものの多くは、子どもの頃に発症します。体の奇形を伴うFanconi貧血、体の奇形の無いEstren-Dameshek貧血、膵臓の酵素の異常に伴う発育障害のあるShwachman症候群、爪の萎縮・口腔内白斑・皮膚の色素沈着を特徴とする先天性角化不全症に伴う再生不良性貧血、免疫不全に伴う貧血があります。それぞれ、発見者の名前が付いています。
後天性では、原因不明である場合を「特発性」と呼び、原因の80%占めています。何らかの免疫異常が原因と考えられています。
さらに後天性には、薬物(抗菌薬、抗けいれん薬、鎮痛薬、抗癌薬など)、化学物質(ベンゼンなど)、放射線、感染による続発性があります。後天性は、子どもでも大人でも見られます。
再生不良性貧血の症状
貧血の症状はもちろん、血小板と白血球の減少に伴う症状が見られます。貧血の症状としては、顔色が悪さ、めまい、疲れやすさなどが挙げられます。
…子どもの貧血に気づくポイント
血小板減少に伴う症状としては、出血しやすい傾向が挙げられます。出血した斑や鼻血が止まらないなどの症状がみられます。詳しくは「血小板減少性紫斑病の症状・検査・治療」をご覧ください。
白血球減少に伴う症状としては、感染症になりやすい易感染性が挙げられます。
次のページで検査と治療について説明します。