誰もウィルス「には」感染をさせないWindows 8
Windows 8以前のWindowsには、市販のウィルス対策ソフトのような機能はついていません。Windows ファイアウォールによるコンピューターへの不正アクセスを防止するような機能はありましたが、これはあくまでもウィルス対策ソフトを補佐するためのものであり、これだけでウィルスを防げるものではありませんでした。Windowsを販売しているマイクロソフトは、Macを販売しているApple社と異なり、OS(Windows)を動かすパソコンや、OSの中で動くソフトをできる限り自社以外に開放しています。そのためか、ウィルス対策ソフトもMicrosoft Security Essentialsという無料のウィルス対策ソフトを提供しているにもかかわらず、Windows 7までは決して組み込んだ形での販売はしていなかったのです。
しかしウィルスに感染したと持ち込まれるパソコンには、その多くの場合でウィルス対策ソフトが正しく機能していないように思われます。私のところにウィルスに感染したのではないかと持ち込まれるパソコンは、そのほとんどがウィルス対策ソフトを入れていない、もしくは有効期限が切れて機能していないものしかありません。
実はメーカーが販売するパソコンに付属しているウィルス対策ソフトは、30日限定など日数制限をされているものが多く、その後は利用料金を払う必要があります。もし支払いをしないと新しいウィルスに対応できなくなり、結果として感染してしまうのです。
たとえば、Microsoft Security Essentialsをインストールすれば、無料で最低限のウィルス対策がされますので、パソコンをちょっと使う程度の方ならウィルスにかかる心配はほとんどなくなります。しかし専用のホームページからダウンロードして自分でインストールする必要があるため、ここで挫折してしまう人もいるのです。
ウィルスは人間の病気の原因となるウィルスと同じで、感染する端末がいる限り無くなりません。
今回のWindows 8には、従来から標準装備していたスパイウェア対策ソフトであるWindows DefenderにMicrosoft Security Essentialsのウィルス対策ソフトが組み込まれました。
ウィルス対策ソフトの更新をし忘れた人や、そもそもウィルス対策ソフトをインストールしていないパソコンでも、最低限の対策ができるようになりました。もしインストールされている市販のウィルス対策ソフトの期限が切れても、Windows Updateさえしていれば最低限の対策は実行できるようになったのです。
これは非常に画期的な出来事です。
ウィルス対策ソフトは不要になったのか?
このようにウィルス対策ソフトが組み込まれたWindows 8には、ウィルス対策ソフトは不要なのでしょうか。答えはNoです。というのも、Microsoft Security Essentialsが提供してくれるのはウィルス対策であり、セキュリティ対策ではないからです。近年のパソコンへの攻撃は、コンピュータウィルスによるものだけでなく、フィッシングと呼ばれる方法で疑似サイトからパスワードを盗むなど、ユーザーの操作を誘導することで被害を加えるものが増えてきています。
それらからパソコンを守るためにはウィルス対策ソフトではなく、統合セキュリティ対策ソフトが必要になります。特にAndroidを採用しているスマートフォンやタブレットと、クラウドやWebサービスでデータ連携をする場合それらすべてをカバーするセキュリティ対策が求められています。
ウィルス対策ソフトを販売していた各社の多くはこれに対応するため、現在はWindowsだけではなくMacやAndroid用のセキュリティソフトも含んだ、複数本分のライセンスをまとめた統合セキュリティ対策ソフトを販売しています。
仕事で大事なデータを扱う方や、インターネットで様々な情報を収集するような方はこのような統合セキュリティ対策ソフトでパソコンを守ることが必要となるでしょう。また、先に書いたようにスマートフォンや複数のパソコン、特にWindows 7以前のパソコンともデータの連携をする場合にはそのすべてに対してウィルス対策をする必要があり、このようなマルチプラットフォーム、マルチインストールのセキュリティ対策ソフトを使うことを強くお勧めしておきます。
もちろん、ウィルス対策「だけ」のソフトは不要になったことは間違いありません。様々な検証結果を見る限り、このWindows 8に組み込まれたウィルス対策ソフトは検出率、動作の軽快性ともに高い水準にあるようなのでウィルスに感染するパソコンは今後ぐっと少なくなっていくでしょう。