籐家具の傑作「トリイスツール」1956年 [テーブル・椅子] All About

石川尚の「気になるデザイン」

『原点』こころのデザイン　日本の傑作椅子　写真集06

(引用：別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p56,商店建築社発行)

藤家具と言えばアジアのイメージが強い。
よくリゾート地でみかける藤の椅子は大振りであまり好きではないが、このトリイスツールは端正で軽く、時間が経つほどに程良いやけ具合になってくる藤の表情をみごとに引き出したスツールである。

1957年、日本が初めてイタリア、ミラノ・トリエンナーレ展で金賞を受賞したトリイスツール。
デザインは渡辺力氏……デザイン事務所：Qデザイナーズを設立し、1958年に一般公開された国産初の旅客機YS11の原寸モックアップ（模型）、この旅客機のインテリアデザインを手がけ、1964年東京ヒルトンホテル（キャピトル東急ホテル）、京王プラザホテル、プリンスホテルなど、プロダクトから空間まで幅広い領域のデザインを手がけたデザイナーである。
鳥居をモチーフにしたようなこの椅子は、藤の柔らかい曲線と三次元の局面とで構成され、特に正面からのフォルムは安定感があり、軽やかで美しい。座を支える6パーツの受け、脚は細い藤をジョイント材に使用し機能的かつ構造美をもつ。
欧米の人々に高く評価された籐家具、傑作の椅子である。

■トリイスツール（1956年）
・デザイン：渡辺力（1911-　）
・製造/販売：（株）ワイ・エム・ケー
・サイズ　：W480　D350　H460　SH430
・素材　　：藤
・仕上　　：クリアー塗装仕上げ

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