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グッスリ眠って元の体調に戻そう!9月病の予防と対策

やっと快適な季節になったのに、なぜだか気持ちが落ち込んでいる。そんな人は、9月病にかかっているのかもしれません。9月病では、よく眠れなかったり、逆に眠気が強くなったりします。ここでは、9月病の予防と対処の仕方をご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

 増えている9月病

9月病

夏バテが長引いている人は、9月病になっているのかもしれません

新入社員や新入生などが環境の変化についていけなくなる「5月病」は、すでに一般的な言葉です。さらに最近では、「9月病」という言葉を聞く機会も増えています。9月病はもともと、夏休みが長いヨーロッパなどで、休みが終わってもなかなか仕事モードに戻れない人が陥る状態を指していました。

日本では、春からのストレスがたまった上に、蒸し暑い夏に体力を消耗して心身に不調が出ることを、9月病と呼んでいます。また、まとまった時間がある夏休みに、今の環境や将来の姿を考えて不安になることも、9月病の1つのタイプでしょう。

9月病の症状としては、5月病と同じく抑うつや無気力、疲労感、不安感、焦りなどがあります。睡眠に関しては、うつ状態からくる不眠や過眠が現れます。秋の初めに寝つきが悪くなったり、朝早くから目覚めてしまったりするのは、9月病の前触れかもしれません。早めに対処して、うつ病や適応障害といった本当の病気になる前に、なんとかしたいものです。

眠る前にはリラックスを

紅葉

紅葉狩りなど、楽しい旅行の計画を立てるのも良いでしょう

9月病での不眠の原因は、主にストレスです。その日にたまったストレスは、眠る前に解消するのが原則。布団に入る前の1時間は、心から楽しめる趣味や軽めの読書、静かな音楽の鑑賞などをしましょう。

ただし、いくら好きなこととはいえ、興奮したり集中し過ぎたりすることは逆効果なので、注意が必要です。また、38~40度のぬるめのお風呂に20~30分入ると、心身ともにリラックスして寝つきが良くなります。

寝床についてもまだストレスを感じるようなら、世界保健機関(WHO)が勧めるリラックスするための呼吸法をしましょう。まず、3秒間カウントしながらゆっくり鼻から息を吸い、おなかを膨らませます。次に、3秒間カウントしながらゆっくり鼻から息を吐きます。息を吐き終わったら、そこで3秒間、呼吸を止めましょう。この呼吸を5分間、繰り返して、最後に息を吐きながら「リラックス」と自分に言い聞かせてください。

悩むより考えて問題を解決

考える

頭の使い方を少し変えてみましょう

悩むというのは、答えが出ないことを堂々巡りで思いわずらうことです。それよりも、問題の枠組みを考えて、目覚めたときに答えが出ている追想法(レミニセンス)を試してみませんか? 発明王のエジソンやノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も、追想法を行って多くの問題を解決していました。

追想法のやり方は簡単です。まず、枕元にメモ帳を用意します。寝床に入ったら、今、問題になっていることの枠組みを考えて、どのように解決したいかをはっきりさせます。それだけで、眠っている間に記憶が整理され、新しいアイデアが浮かびやすくなります。目覚めたときに浮かんだアイデアは、忘れないうちにメモしておきましょう。

休日は寝過ぎない・夜更かししない

朝の目覚め

太陽の光を浴びると、目覚めやすくなります

本当は毎日、睡眠不足にならないように睡眠時間を確保できればよいのですが、難しいのが現実です。そのため、1週間単位で睡眠時間を調整する必要があります。平日には仕事や勉強があるので、睡眠時間は短くなりがちです。かわりに休日は長めに眠って、睡眠不足を解消しましょう。

とはいえ、休日に眠りすぎると逆効果です。平日の睡眠不足をとり戻そうとして、いつまでも布団の中にいても、質の悪い睡眠が続くだけで疲労が回復しません。睡眠と覚醒は振り子のようなものなので、ダラダラ眠っていては目覚めてからも頭がスキッとせず、充実した休日を過ごせないのです。

休日でも、平日の起床時刻+2時間以内に寝床を出ましょう。いったん起きて活動しても眠気が強ければ、仮眠や昼寝をとり、夜は平日よりも少し早めに眠ると、次の1週間をがんばれます。睡眠のリズムは早い時間へはずらしにくいので、休日に夜更かしや朝寝坊をしていると、月曜日の朝がとてもつらくなります。

トリプトファンでうつ気分を追い払う

牛乳

朝食をとれないときは、牛乳だけでも飲みましょう

最近、もっとも使われている抗うつ薬には、脳内のセロトニンという物質を増やす働きがあります。脳のセロトニン神経は気持ちを穏やかに保ち、うつ気分に落ち込んだり、逆にキレたりしないようにしてくれます。9月病ではセロトニンが不足するため、セロトニンの原料となるトリプトファンをなるべくとりましょう。

トリプトファンは、ヒトの体内で作れない必須アミノ酸の一つです。サプリメントでとると健康被害が起こることがあるので、要注意です。トリプトファンは牛乳や乳製品、豆・豆製品、バナナ、アボカド、肉類、スジコ、タラコに比較的多く含まれているので、これらからとってください。朝食をとる習慣がない人は、バナナと牛乳から始めるのがお勧めです。

面白いことに目を覚ましてくれるセロトニンは、夕方から夜になると睡眠ホルモン・メラトニンに変わります。朝食にトリプトファンを多くとると、グッスリ眠れて目覚めが良くなり、日中の気分も落ち着くので、一石二鳥といえます。


【関連サイト】
秋の睡眠週間! 「睡眠の日」に自分の睡眠を見直そう
快眠のための生活習慣
3つのアミノ酸で夫の実家でもグッスリ眠る
睡眠ガイド Facebook ページ
脳も体も冴えわたる 1分仮眠法
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