株式戦略マル秘レポート/西村剛の「統計で勝つトレード」

「1%ルール」を利用したトレードとは?(2ページ目)

震災以来、日本の株式市場は下落傾向にあったものの昨年末からは株式市場が上昇トレンドに転換しました。しかし、現在は欧州の財政問題への不安が再燃していることで6月4日に日経平均株価は年初来安値を更新し、TOPIXもバブル後最安値を更新しました。このような下落トレンドのなかで有効な売買ルールとはどのようなものか考えて見ましょう。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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日銀のETF買い入れ先取り

前置きが長くなってしまいましたが、本題のトレードについてお話しましょう。
今回は、TOPIXの下落を予測することで日銀のETF買い入れを先読みしようというトレードを考えてみました。

株価に影響を与える要因はさまざまありますが、日銀のETF買い付けは前場での株式市場の動向が重要になることを考え、前日のNYダウ株価を使ってTOPIXの下落を予測します。

ご存じの通り、NYダウとTOPIXは相関が強く、似た値動きをします。そこで、前日のNYダウが1%以上下落した場合に、前場でTOPIXが1%下落するだろうと考え、寄り付きで買って引けで売るデイトレ型の売買ルールで検証してみました。

日銀ETF買い入れ先取りの検証方法

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
対象銘柄:東証1部

買いルール:
・株価が100円以上かつNYダウ指数が前日終値と比較して1.5%以上小さい場合、翌日に成行で買い

売りルール:
・当日の引けに決済
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

上記の売買ルールは、
「前夜のNYダウ指数が1.5%以上下落した場合に、おそらくTOPIXもNYダウの影響を受け前場で下落することと考え、そこで後場に日銀のETF買いが行われれば引けにかけて株価が戻るだろう」と考えが正しいかどうかを確かめるために検証しました。では検証結果を確認してみましょう。

日銀ETF買い入れ先取り結果

システムトレードの達人

出典:システムトレードの達人

勝率: 65.99 %
勝ち数: 5,006 回
負け数: 2,580 回
引き分け数: 654 回

平均損益(円): 1,614 円  平均損益(率): 0.54 %
平均利益(円): 4,333 円  平均利益(率): 1.44 %
平均損失(円): -3,252 円  平均損失(率): -1.08 %

合計損益(円): 13,300,871 円  合計損益(率): 4,434.01 %
合計利益(円): 21,689,953 円  合計利益(率): 7,230.79 %
合計損失(円): -8,389,082 円  合計損失(率): -2,796.77 %

総利益÷総損失: 2.585
平均保持日数: 0.00 日

検証結果をみてみると勝率は約66%と高く、平均損益もプラスとなっています。この結果から日銀のETF買いを先取りする売買ルールは有効な売買ルールと言えるのではないでしょうか。

このようなデイトレ型の売買ルールであれば、保有期間が短いために大きな含み損を抱えてしまう可能性も少なくなります。そのため、現在のような下落時であっても良い成績を残すことが比較的可能ではないでしょうか。

日銀の買い入れのために設立された基金の買い入れ上限額に対して6月2日時点での累計買い入れ額は約30%であり、今後も買い入れが実施されると想定されるのでETF買い入れを利用したトレードを考えてみるのも有効ではないでしょうか。みなさんもぜひ前場に大きく値下がりした日の後場の相場に注目してください。

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(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします。)
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