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墨田の新たな試み「配財プロジェクト」

墨田といえばスカイツリーで盛り上がっている地域!(注:スカイツリーがあるのは墨田区で、台東区・浅草ではありませんよ~)。どーんとそびえるタワーが間近に迫る春日通り沿いに、「配財プロジェクト」と書かれたオフィスを訪ねました。廃材って、実はお宝の山なんです。面白ユニークなものがいっぱい!!

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

配財プロジェクトオフィス入口

配財プロジェクトオフィス入口

建物の奥へどんどん進んだ突き当たりの扉にすっきりスマートなロゴマークで「配財プロジェクト」と看板があります。配財って一体何?あれ、廃材じゃないの?扉を開けるとなにやら沢山の素材のような部品のようなものがごちゃごちゃと棚に積み上がっていました。色とりどりの布の端切れや金属部品など、不思議なものがいっぱい。

混沌とした棚

混沌とした棚。カオス・・・

うーん、これなんだろう?とふと横に目をやると・・・

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イカ??

ゆるキャラオンパレード??

ゆるキャラオンパレード??


え?ゆるキャラ?
ここは確かオフィスのはずです。雑貨屋ではありません。

そこでこのオフィスの主、プランナー、デザイナーの三田大介さんが登場。
「夜になると小人がやってきて、次の日には色んなものができあがってるんですよ」。

はて??

「あ、それは嘘です。ではまずはこのオフィスの説明から。墨田は元々昔から中小のものづくり企業が多く、繊維、ゴム、プラスチック、金属、ガラス、紙等々、様々なものが日々作られています。そして、製品を作ったときに必ず生まれてしまう廃材に悩んでいました。廃材といっても、少しだけ印刷がずれていたり、廃番になってしまった色だったり、実際はまだまだ充分に使えるものも多いんです。各工場の人たちもみんな『なんかもったいないなぁ』と思いながら捨てていたそうです。そこで、もっと墨田らしい、楽しくて世の中のためになる再利用の方法を探るために立ち上げたプロジェクトがこの『配財プロジェクト』なんです」。

むむ?ということは、ここに並ぶオトボケなグッズたちはみんな廃材でできているんですね。

おとぼけだけではありません。

オトボケだけではありません。廃材で作ったアクセサリーも素敵!

「工場で捨てていた廃材は財産であり、新しく生まれ変わって世の中に配られる、という意味を込めて、『廃材→配財』と名付けました。既に配財で作った商品もいくつかあって、特に好評いただいているのが万華鏡。著名な万華鏡作家に監修に入ってもらい、覗くと本当にきれいなんですが、芯の部分はメリヤス工場の使い終わった糸巻きを使い、鉄部品や紙の端切れ、風船のカケラなど各工場から出た廃材を入れると、独特の模様が出来上がります。モノづくりの楽しさも味わっていただきたいのでワークショップ形式にして、各自が自由に素材を選び、オリジナルの万華鏡を楽しんで作ってもらっています。また、万華鏡を通して墨田のものづくり企業について知ってもらうことも目的のひとつ。工場見学ツアーなども実施しています」。

万華鏡の中を覗くと・・・。まさに廃材の神秘!

万華鏡の中を覗くと・・・。まさに廃材の神秘!


そして、万華鏡に続く新たな商品開発を模索中とのことですが、そのスーパーキーマンとなるのが、これらオトボケグッズの発明者、大須賀和美さん!手先が器用でセンス良く、あっと驚く作品を次々と生み出しているのですが、この方は一体何者??聞いてみると、どこかで勉強したことも、美大を出たことも一切ないそうです。

(大須賀さん)「子供の頃から、廃材みたいなのが好きだったんですよね。母が手作りが好きで、レザークラフトとかパッチワークとか七宝焼とかやってました。私は母の作った余りものをもらっては、何か作って遊んでいたんです」。

廃材で育った生粋の廃材マニア?!まさにこのプロジェクトとは運命的な出会いです!

(大須賀さん)「そう。墨田に暮らし始めてからも、廃材に興味がありました。この辺は工場が多く、その前を通ると、私にとってはキラキラしたお宝のような廃材がビニール袋に入っていっぱい捨ててあって、これ欲しいな、貰えないかな、と思ってたんです。あまりに気になって墨田区のリサイクル課に相談したこともありました。でもそんな時、配財プロジェクトの載った新聞記事を見て、これこれ!同じことを考えている人がいる!、とすぐさま会いに行きました」。

大須賀さんが最初に持ってきたというタペストリーの拡大(全体は上の写真)。金属部品の形に合わせた人や動物の表現に注目。ちゃんとスカイツリーもある!

大須賀さんが最初に持ってきたというタペストリーの拡大(全体は上の写真)。
金属部品の形に合わせた人や動物の表現に注目。ちゃんとスカイツリーもある!

(三田さん)「『すみだ もの処』というイベントスペースで、万華鏡の展示をしたとき、こういった金属部品の廃材などをただ袋に詰めて試験的に販売してみたんですが、そのときやけにいっぱい買っていった人がいたんです。正直こんなの買う人もいるんだ、物好きだなぁ、くらいに思っていました。その後、大須賀さんがこれらの廃材を使った作品を作って、見せに来てくれたのですが、あまりの完成度の高さにびっくりしました」。

さて、ここから驚きのミニチュア作品群が登場。これらが全部廃材とは!!信じられません!!驚異の4連発でお届けます。

ミニチュア作品 その1

ミニチュア作品 その1

まずは廃材によるミニチュアレストランバー。ずらっと並ぶお酒のボトル、ちょっと背の高いスツール等々手が込んでます。テーブルの上には、ピザにおつまみにグラスワイン!ワイングラスは底に穴のあいた透明のプラスチックの丸い部品に、ネジを通したものだそうです。中には赤白の樹脂の端材を入れて、ワインが入っていることを表現。これら全て曲げたり折ったり、という手はほとんど加えておらず、元々そのままの形を上手く組み合わせて見立てているのです。

ミニチュア作品 その2

ミニチュア作品 その2

こちらはオフィスバージョン。パソコンとマグカップが机の上に。オフィス用の机もそうそうこんな感じ。近くにはゴミ箱まで。すごい観察力!

ミニチュア作品 その3

ミニチュア作品 その3

お茶のテーブル。イタリアのモダンデザインのような、洒落た雰囲気のティーセットが並んでいます。本当にこういうものがありそうに見えてくるから不思議。

ミニチュア作品 その4

ミニチュア作品 その4

最後はパーティーテーブル。いやはや、もうブラボーとしか言いようがありません。
食器やら食べ物やら、いちいち芸が細かすぎます。これ本当に、全部廃材なんですか?見ているだけで、気持ちがウキウキしてきます。小さくなって、この中でパーティーしたい!!

廃材を触っていると、次々とアイディアが湧いてくるという大須賀さん。
「細々したものがわーっとあると、まずそれらを分類したくてウズウズしてくるんです。そして、分けた素材をあれこれ触っているうちに、その感触から指が無意識に理解しているみたいなんですね。実際作るときは何にも考えていないんですよ。触っているうちに自然と思いついてしまうというか。自分でも不思議です。でもこうやって毎日廃材を触っているだけで嬉しくて楽しくて仕方ないのですから、幸せな仕事ですよね」。

ここから作品が生まれる。大須賀さんの机の上。

大須賀さんの机の上。ここから続々と新しい可能性が生まれる。

今後は新たな商品開発はもちろん、各工場でどんな廃材がどのくらい出るのか、綿密なリサーチを行い、それらを役立てると共に、子供たちのための手軽にできるワークショップの仕組みづくりなどを考えていきたいそうです。廃材、いや配財の可能性、まだまだワクワクするような楽しいアイディアがたくさん見つかりそう。そしてこれからは全国展開も視野に。今年2月には非営利の一般社団法人として連合体を立ち上げるそうです。スカイツリーだけじゃなく、こういった墨田の熱い底力にもぜひ注目してみては。墨田のパワーおそるべし!です。

配財プロジェクト
http://www.haizai.jp/
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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