メンタルヘルス/心の病気の治療法・セルフケア

ちょっとした出来事も辛い…心の弱さは鍛えられる?

この厳しい時勢を生き抜く為には、精神面の強さは肝要です。心を強くする為のポイントを詳しく解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

メンタルを鍛える事は、この厳しい時代を生き抜く為に必須!

メンタルを鍛える事は、この厳しい時代を生き抜く為に必須!

朝起きてから、夜床に入るまで、実に様々な事が私たちの心の平安を脅かします。

例えば、朝の通勤中に道を歩けば、誰かに足を踏まれて、思わず、カチンッ! そのもやもやを吐き出せぬまま職場に行くと、誰かがあいさつをせず、自分に気付かぬようにさっとを通り過ぎて行き、カチン度はさらに増し、そのせいか仕事でミス。自己嫌悪に陥って、家に帰れば飼い犬に吼えられ、ガクッ。そのあとベッドに横になると、体がぐったり動かず、その日はお仕舞い……と、少々スランプの日があるかも知れません。

それでも、翌朝目が覚めれば、「よし、今日も一日頑張るぞ!」と、なりたいもの。それにはメンタル面の強さが不可欠です。今回は、この厳しい時勢を生き抜く為に、心を強靭にするポイントを詳しく解説します。

まずは、目指すゴールをはっきりさせて!

「よし、心を鍛えよう!」と思い立った時、一体、どういう自分を目指しているのか、はっきりしているでしょうか?以下に例を挙げてみます。

  • 少々の事で心が動揺しない
  • プレッシャーが掛っても、自分本来の力が出せる
  • 物事を途中で投げ出さず、最後までやり抜ける
  • 周囲の人から悪口を言われても、平静な心を保って、頑張れる
  • 少々のショックからは、速やかに立ち直れる
  • 些細な事でイライラしない
  • 悪い誘惑に負けない
     

心身のコンディショニングを意識してみて!

なりたい自分が見えたあとは、心身のコンディショニングを意識してみましょう。普段は笑顔の絶えない温和な人であっても、寝不足で食事抜きのまま働き続けたりすれば、脳内環境は普段通りでは無くなり、ささいな事に腹を立て、怒鳴ってしまう事もあると思います。

睡眠時間の確保、栄養のバランスの取れた食事は心身が円滑に機能する上での基礎条件。そして、定期的に休養を取り、心身が疲れ過ぎてしまう事を防ぎましょう。

食事に関しては、心身が円滑に機能する為の、栄養確保が基本目的ですが、食べ物のなかには、メンタルを強化するものがあります。例えば、アジやサバなどの青魚類には、DHAなど、抗うつ効果のある物質が含まれています。

冬季に日照時間が顕著に短くなる北欧諸国などでは、冬季うつ病の発症率は高率ですが、例外はアイスランド。その秘密は、アイスランド人の魚中心の食で、青魚類の摂取が多い事が、冬季うつ病の発症率が低い要因と考えられています。もしも、冬季に気持ちが冴えなくなる傾向のある人は、ぜひ食事のラインナップに加えてみませんか。

心の敵はストレス! 

心を強靭にする事は、精神医学的には脳内環境を常に正常に保つ事だと思います。脳内環境を悪化させる最大の要因はストレス。ストレス対策には、ぜひ磨きをかけましょう。ガイドがお勧めのストレス対策は、「気の会う仲間同士で愚痴をこぼし合う」「週に数回、15~20分程度、体に無理がないレベルでの有酸素運動」の2点。

悩み事は自分だけで抱え込んでしまうと、不合理な程、苦悩が心の中で強まる傾向があります。時々、仲間同士で愚痴をこぼすなどして、苦悩のガス抜きは、お忘れなく!

また、有酸素運動には、脳内にエンドルフィンと呼ばれる快楽物質が分泌され、気持ちが楽になる効果があります。いわゆる、ランナーズ・ハイですが、ガイド自身、週4回の有酸素運動で気分がすっきりする事を実感しており、有酸素運動は充分試す価値があると思います。

苦難を乗り切れば、メンタルはより強くなる 

人生は、たとえどんなに順調な時でも、思いがけず辛く悲しい事が起き、苦難の時を迎えてしまう事があるもの。

精神的なタフさが売りの人でも、苦難の程度によっては、自分に自信を失い、ライフスタイルがネガティブになってしまい、それがより一層、状況への対処能力を低下させてしまうネガティブ・スパイラルに陥る危険があります。

苦難の時は大いなる試練ですが、何とか苦難を乗り切った事で、これを転機に後の人生をより充実したものにした人は少なくありません。ぜひそうなりたいものですが、こればかりは普段からメンタル強化への意識を高めておき、いざそういう事態に直面した時には、「よし、絶対乗り切ってやる!」と、前向きに行くしかないと思います。

最後に、もしも日常生活上で深刻な問題が生じている場合、例えば、2週間以上気持ちが冴えず、日常の能率が顕著に低下してしまっている場合には、心の病気に近くなっている可能性があります。ぜひ、精神科(神経科)を受診してみる事もご考慮ください。

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