世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ブリュッセルのグランプラス/ベルギー

ブリュッセル旧市街に広がるグランプラスは、「世界でいちばん豪華な広場」「絢爛たる劇場」「小さなパリ」等の称賛を受ける美しい広場であると同時に、中世の商人や手工業者たちがその自治と伝統を守り抜いた誇り高い街でもある。今回はベルギーの世界遺産「ブリュッセルのグランプラス」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

世界でいちばん豪華な広場「ブリュッセルのグランプラス」

グランプラスと王の家

ブリュッセルのグランプラス。写真中央右がネオ・ゴシックの意匠が美しい「王の家」。といっても王が実際にここに住んだことはない ©牧哲雄

ヴィクトル・ユゴーが「世界でいちばん豪華な広場」とたたえ、ジャン・コクトーが「絢爛たる劇場」と賛美したブリュッセルのグランプラスは、商人や職人たちが独立を守るために造り上げた美しい都市広場。今回はベルギーの世界遺産「ブリュッセルのグランプラス」を紹介する。

なお、ブリュッセルには「建築家ヴィクトール・オルタによる主な邸宅群」「ストックレー邸」と合わせて3つの世界遺産があり、さらにグランプラスとその周辺で行われる夏の祭り・メイブームは世界無形文化遺産「ベルギーとフランスの巨人とドラゴンの行列(ベルギー、フランス)」に登録されている。これらも簡単に紹介しよう。

グランプラスの喧噪を歩いてみよう!

スペイン王の家

グランプラス北西側のギルドハウス。中央、緑のドームに金色の彫刻が美しい建物が「スペイン王の家」 ©牧哲雄

市庁舎

高さ96mの鐘楼が美しい市庁舎 ©牧哲雄

ブリュッセルはEUの欧州議会が置かれる「ヨーロッパの首都」(欧州議会はもう1か所、やはり世界遺産の街であるフランスのストラスブールに設置されている)。都市でありながら、グランプラス周辺は中世の建物と小さな商店やレストラン、バーが立ち並び、狭い路地が迷路のように絡み合った喧噪の街だ。

まずはグランプラス。とげとげしいゴシック建築と華麗なバロック建築に囲まれた美しい広場で、花屋が花を、小鳥売りが鳥かごを、画家が絵を並べ、音楽の演奏などがのんびりと行われている。広場に面したレストランやカフェでは人々が昼間から名物のエール・ビールを飲んで鼻を赤らめている。

 

ムール貝とフリッツとビールとイロ・サクレ地区

ムール貝とフリッツとスタウト・ビール。イロ・サクレ地区にて

広場もおもしろいが建物がまた楽しい。屋根や欄干のあちらこちらに彫刻が施され、銅像が立っている。「ブラバント公の家」にはいかめしい銅像が一列に並んで広場を見下ろしているし、「市庁舎」の頂上では守護天使ミシェル(大天使ミカエル。フランスの世界遺産であるモンサンミシェルのミシェルと同じ)がドラゴンを打ち倒している。

「王の家」の市立博物館には小便小僧のさまざまな衣装があり、ビール醸造所が造った「黄金の木」という建物はビール博物館になっていて、見学するとビールを一杯飲ませてくれる。グランプラスでは、こうした中世~近世のさまざまな施設を見学することができる。

 

小便小僧

世界的に有名な小便小僧・ジュリアン坊や。グランプラスから徒歩圏内にある

さて、グランプラスを離れて今度は食べ歩きだ。小さな通りを歩いていると、漂ってくるのはワッフルの甘い香り。ワッフルにはリエージュ風、ブリュッセル風などの種類があるので、ぜひ食べ比べてみよう。チョコレート屋さんもたくさんあって、大室御用達のゴディバ、ノイハウスといった大御所から個人店まで、数え切れないくらいの店がある。甘いものが苦手なら、ソースをたっぷりかけたフリッツ(フライドポテト)でも片手に散歩を続けよう。

レストランがひしめき合っているのがイロ・サクレ地区だ。まるでアジアのような客引き、そして喧噪だ。通りに突き出したテラス席で、誰も彼もがバケツのような器に入ったムール貝を食べている。

 

この辺りは通りごとに特色があり、ブティックが並ぶ通り、バーが並ぶ通りなど、それぞれ個性があっておもしろい。
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