誰しも、時には、足がすくむ状況があるものですが、もしも、他人からの拒絶、批判に敏感になり過ぎていたら、回避性パーソナリティ障害には、ご注意を!
人は成長するにつれ、自分の短所を受け入れ、それなりに対処していくことができるようになるもの。もし自分が周りから受け入れられていると感じられれば、自信が出てくるものです。
しかし反対に、自分は周りから受け入れられていないと感じてしまえば、いよいよ自信を失い、積極的には人の輪に入っていけなくなってしまいます。もし消極的で人と関われず、日常生活に支障が出るほど不本意なライフスタイルを送っている場合、「回避性パーソナリティ障害」の可能性もあります。
回避性パーソナリティ障害の特徴、症状、治療法について、詳しく解説します。
回避性パーソナリティ障害の特徴
回避性パーソナリティ障害の特徴は、他人から拒絶される可能性に過剰に敏感になってしまうこと。そのため他人との交流を回避してしまい、親しい友人が一人もいないような、孤独なライフスタイルを余儀なくされてしまうことが多いです。ビジネス面でも、人を避けるあまり自分の能力に向いた仕事に就く機会を逃しやすくなり、社会生活上で不都合が生じやすくなります。回避性パーソナリティ障害の頻度は、人口の約10%。回避性パーソナリティ障害の原因自体は不明です。
回避性パーソナリティ障害の症状
回避性パーソナリティ障害では以下のような症状が、通常20代までに、顕著になります。- 人と交わることの多い仕事を避けてしまう
- 好感を持たれていると確信が持てない相手には、近寄れない
- 相手からの拒絶を恐れるあまり、親密な関係に踏み込めない
- 社会的状況で、恥をかくことや、相手から拒絶される可能性を常に意識してしまう
- 対人状況で、普段の自分らしく振舞えない
- 劣等感が強い
- 恥をかくのを恐れて、新しいことにチャレンジできない
回避性パーソナリティ障害の治療法
回避性パーソナリティ障害の治療では、自己イメージを改善し、他人からの拒絶に対する過剰意識を減少させるために、心理療法が行います。ただ、回避性パーソナリティ障害では、相手からの拒絶に敏感になる症状が強くなるため、治療中も医師から自分は拒絶されていると感じてしまい、その後の治療関係を継続できなくなってしまうこともあります。医師やカウンセラーと、患者との間に強固な信頼関係を築いていくことが、治療の重要なカギになります。
薬物療法が必要かは個々人の病状によりますが、自分は受け入れられていると感じられるような快適な環境がなくなってしまうと、気分が大きく落ち込んだり、不安が強くなってしまい、薬物療法が望ましくなるケースが少なくありません。具体的な治療薬に関しては、気分の落ち込みに対しては、抗うつ薬。強い不安感には、抗不安薬……など、状況に応じて選択されます。
回避性パーソナリティー障害になると、日常生活を送る中でも、他人からの拒絶や批判がないかどうかを絶えず意識してしまいます。相手の何でもない仕草でもネガティブに受け止めてしまい、心の苦しみを大きくしてしまう場合が少なくありません。心の苦しみを軽減させ、不本意なライフスタイルを改善させるために、精神科(神経科)受診という選択肢があることを、ぜひ覚えておいてください。