睡眠/理想の睡眠時間・睡眠不足対処法

日本の子どもは夜更かし傾向? 子どもが眠る11の魔法

早寝早起きの大切さは知っていても、なかなか眠ってくれない子ども。寝かしつけに手を焼いているご家庭も多いことでしょう。良い生活習慣も、楽しみながらやらなければ身につきません。今回は、子どもが自然に眠りたくなるような11のアイデアをご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

5年前よりは改善? 日本の子どもの夜更かし傾向

眠る子ども

子どもが健やかに育つためには、きちんとした睡眠習慣を身につける必要があります

大人の睡眠時間が短くなるのとともに、子どもの睡眠時間もだんだん短くなってきています。

2000年の日本小児保健協会の調査によると、3歳児の半分以上が午後10時を過ぎても起きています。同じころのオーストラリアでの調査では、96%の子どもが午後10時には眠っていますから、いかに日本の子どもが夜更かしなのかが分かります。

子どもの睡眠が危機的状況にあるとはいえ、この悪い傾向にも良い兆しが見えてきています。2005年に Benesse 教育研究開発センターが1歳半~6歳児の保護者に行った調査によると、午後10時以降に眠る子どもの割合は、2000年の39%が2005年には28.5%となり、夜更かしの子どもが5年前よりも大きく減少しました。

また、幼児の平日の起床時刻も、最近は早まる傾向にあります。午前7時以前に起きる子どもの割合は、1995年の33%が2005年には43%と10ポイントも増えています。これらの好ましい傾向は、早寝早起きの重要性が幼児をもつ保護者に理解されてきたためと考えられます。

とはいえ、子どもを寝かしつけるのに苦労している家庭が多いことも事実です。子どもをうまく寝かしつけるためのポイントには、どのようなことがあるのでしょうか?

子どもが眠る11の魔法

家族で早寝早起き

これを機会に、大人も早寝早起きになってはいかがでしょう

睡眠文化研究所が編集した『子どもを伸ばす眠りの力』には、「子どもがイキイキする眠りの魔法」が書かれています。ここではその各項目を、五七調に替えてご紹介します。親子ともども、楽しみながら健康的な睡眠ライフを楽しんでください。

 

1. 父母(ちちはは)も家族一緒に早起き→早寝
親が遅くまで起きて楽しんでいるのに、子どもだけ早く寝るように言っても聞くわけがありません。子どもの就寝時刻や睡眠時間は、両親のそれらに強く影響されます。また、生体リズムから見て、「早寝→早起き」よりも「早起き→早寝」の順に取り組むほうが習慣化しやすくなります。

2. 朝の光は必ず浴びる! 夜はコロンと眠くなる
脳の松果体というところから、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが分泌されます。メラトニンの分泌量は、周りの明るさによって増えたり減ったりします。朝、目覚めて明るい光を浴びてから14~16時間たつとメラトニンの分泌が始まりまります。そして2時間後くらいに、眠気が強くなります。

3. 簡単な睡眠日誌を1週間
自分の行動は、分かっているようでよく分かっていないものです。寝ついた時刻と目覚めた時刻、昼寝をした時間帯などを、1週間記録してみましょう。それを親子で眺めて睡眠のパターンに気づけば、対策が立てられます。

4. 朝食で目覚めも気分もグンと良く
胃腸にも、「腹時計」という体内時計があります。朝、食べ物が胃腸に入ると腹時計が動き始めて、目もしっかりと覚めてきます。朝食にトリプトファンを多くとると、目覚めや寝つきが良い子になります。トリプトファンは豆類や豆製品、肉類、牛乳、バナナ、アボカドなどに豊富です。

5. 遊びに遊んで夜はグッスリ 心も体も大元気
睡眠の目的の一つが、心身の疲労回復です。そのため、日中を活動的に過ごすと夜はぐっすり眠れますが、日中にダラダラしていると良い睡眠がとれません。

6.  お昼寝も3時半には起きましょう
午後の遅い時間に昼寝をすると、夜の睡眠を先取りしてしまい、就寝時刻が遅くなりがちです。昼寝は夜の睡眠を補う効果があるのでとても大切ですが、午後3時半ころには起きるようにしましょう。

7. 夕食とお風呂の時間は子ども次第
食べたものがある程度消化されないと、グッスリ眠れません。お風呂に入った直後で体温が高いときにも、寝つきがよくありません。親の都合より子どもの生体リズムを優先して、食事は寝床につく1~2時間くらい前に終わり、お風呂には就寝の1時間くらい前に入りましょう。

8. 止めましょう、夜遅くまでのテレビやゲーム
寝床につく前の1時間は、眠る準備として少しずつ心を落ち着けていきましょう。テレビやゲームの画面が発するチカチカした光は、脳を興奮させて眠気を減らしてしまいます。静かな音楽を聴いたり読み聞かせをしたり、あるいは親子でお話をしてみてください。

9. 決まった時間に寝ることは、親子の大事なお約束
子どもはほっておいても眠くなれば眠る、という考えは間違いです。子どもは楽しいことをしていると眠気を感じなくなり、いつまでたっても布団に入りません。就寝時刻や起床時刻を守ることは、親がしなければいけない大事なしつけの一つです。

10.寝る前の儀式はわが家のオリジナル
パジャマに着替えて歯を磨き、トイレに行ってから家族に「おやすみなさい」のあいさつを言う。毎晩、眠る前に繰り返される行動が、子どもの寝つきをよくします。子どもと一緒に家じゅうの部屋を回って、いろいろなものに「おやすみなさい」と言ってから眠る家庭もあります。

11.眠るとき眠ったあとは暗くする
光には、睡眠や覚醒をコントロールする働きがあります。子どもの寝室もなるべく暗くすると、グッスリ眠ってくれます。夜中に目覚めた時に怖がらないために、豆電球のフットライトくらいは点けておきましょう。

全ての項目を一度にやろうとは、思わないでください。1つで良いですから、できそうなことから試してみて、ご家庭にあった睡眠習慣を築き上げてください。


【関連サイト】
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夜更かしは子にも大敵! 「寝る子は育つ」は本当
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