時には1人で過ごす事はオツなものですが、その傾向が極端な場合は、統合失調質パーソナリティ障害の可能性もあります
とは言え、1人でいることの原因はさまざまです。1人で過ごしている人がみんな、周りに溶け込みたくても溶け込めず、結果的に1人になってしまった人とは限りません。もともと他人と関わるのが嫌いで、1人の方が快適に過ごせる人もいます。
ただ、他人との関わりを避け過ぎてしまうと、自分の望む仕事ではなくても、「人との関わりがほとんどない仕事」という視点でしか仕事を選べなくなるなど、社会生活上で感じる不利益が顕著に出てしまうこともあります。このような場合、統合失調質パーソナリティ障害の可能性があります。
今回は統合失調質パーソナリティ障害の特徴、症状、治療法について、詳しく解説しましょう。
統合失調質パーソナリティ障害の特徴・原因
統合失調質パーソナリティ障害の特徴は、他人との関わりを求めない、あるいは、必要としないほど、強い内向性にあります。「統合失調質パーソナリティ障害」という病名は、「統合失調症」と似ていますが、実際に症状に類似性がある病気です。統合失調質パーソナリティ障害の人は、周囲の人の目には、感情の起伏に乏しく、周囲のことに何の関心もないと映ってしまいます。これはあたかも、統合失調症の陰性症状のように見られるでしょう。しかし、統合失調質パーソナリティ障害の場合は、現実認識に問題はありません。統合失調症の陽性症状である、現実と非現実の境が曖昧になってしまい、幻覚、妄想が現われるといった症状はないのです。
統合失調質パーソナリティ障害の原因自体はよく分かっておらず、また、統合失調質パーソナリティ障害の頻度も、本人が自ら進んで精神科を受診しにくいこともあり、正確な見積もりは困難です。しかし決して稀な疾患ではなく、研究報告によっては、人口の7.5%前後に見られ、男性患者は女性患者の約3倍とも言われています。
統合失調質パーソナリティ障害の症状
統合失調質パーソナリティ障害では以下のような症状が見られます。- 他人と親密な関係になりたいと思わない
- 1人でできる活動を好む
- 性交渉を、わざわざしたいとは思わない
- 親しい友人はいない
- 皆が楽しいと思うような活動に興味がない
- 他人にどう思われているかに無関心
- 感情の起伏に乏しい、冷たい印象を与えやすい
統合失調質パーソナリティ障害の治療法
統合失調質パーソナリティ障害では、他人との関わりを望まないため、自分から進んで精神科を受診することは少ないですが、治療としては、生活上、耐え難くなっているストレスなどの問題に対処するため、心理療法を行います。もしも、うつ病など薬物療法が必要な問題点があれば、抗うつ薬などの薬物療法も行われます。もしも、他人との関わりを避ける余り、日常生活で多くの不利益を感じている場合は、精神科(神経科)を受診することが、問題解決の重要な選択肢になることを頭に置いておきましょう。自分の心の苦しみの正体は、他人との関わりを通じて、見えてくる場合もあります。また、精神科で相談することは決して、自分のパーソナル・スペースを侵害することではありません。不要なストレスを軽減したいと考えるなら、精神科を受診することを検討してみるのがよいでしょう。