ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソン最新コラム

小江戸川越マラソン、運営の実情と反省点

今年の注目ニューフェース大会として紹介してきた、小江戸川越マラソンと奈良マラソンが相次いで開催されました。予想通り、両大会コースの素晴らしさが高い評価を得たようですが、小江戸川越には大会運営に関して厳しい評価が。その要望は良い大会への指針でもあるようです。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

出遅れ、PR不足で、なかなか定員に達せず

太鼓の演奏やブラスバンドなど、応援演奏に対しての評価は高かった

太鼓の演奏やブラスバンドなど、応援演奏に対しての評価は高かった
 

ボランティアスタッフも声をからして応援していた

ボランティアスタッフも声をからして応援していた
 

重要文化財に指定されている「川越まつり」に曳き回される山車とお囃子も応援

重要文化財に指定されている「川越まつり」に曳き回される山車とお囃子も応援
 

川越市のゆるキャラ「ときも」くん。特産のサツマイモと名所の「時の鐘」から命名

川越市のゆるキャラ「ときも」くん。特産のサツマイモと名所の「時の鐘」から命名

11月28日(日)、東京への通勤圏でもあり江戸時代の面影を色濃く残して観光地としても人気がある川越市の中心部を縦断するコースを設定した「小江戸川越マラソン2010」が開催されました。

700~800mに及ぶ重要文化財にも指定されている蔵造りの街並みは、電線なしで建造物はほとんど2階建てまでというすっきりした空が広がる通り。私も他に例を知らない文化財コースです。
東京から近くてこのコースなら昨今の例からして募集開始(8月20日)から一週間あれば定員(ハーフ7000名、10km2500名、ファンラン500名)に達してしまうと思いましたが、意に反してファンラン、10kmは早く定員に達したものの、ハーフの部は締切の10月15日間際まで受けつけられる形となりました。

この理由は、募集に関する広報の遅れというしかないでしょう。公式ホームページに申し込みについての案内が掲載されたのが受け付け開始の二日前、ランニング専門誌には7月発売号はおろか8月発売号にも案内されていなかったのですから。
こんな際どいことになったのも、そもそも大会開催に向けて実行委員会が組織されたのが今春というタイトなスケジュールだったからというのが一番の原因のようです。6月の時点で、大会の種目が固まっていないという状況だったのです。
それでも初回から1万名を越す応募があるとは、かつては考えられないことでした。マラソンブームはすごいことになってます。

驚異的に動いた商工会議所青年部

当コーナーガイドの私が川越陸上競技協会の役員として招集を受けたのは、5月も末になってからでした。いろいろと提案したいアイデアがあったのですが、その時点ではグランドデザインが固まっていて、細部で私の経験を役立てていただくにとどまったのはちょっと残念でした。
しかし、基本プランはサンケイスポーツという運営会社から出たものですが、その運営の実働部隊となった川越商工会議所青年部の皆さんの熱意は驚嘆すべきものでした。ランナーでもない方々がランナーのためのイベント作りに献身的に奉仕されている姿を見ると、ランナーとして本当に頭が下がる思いでした。

私もこれまでさまざまな大会に役員やボランティアとして参加したり、取材を行ったり、もちろんランナーとして参加するなど、いろいろな角度からマラソン大会に関わってきましたが、今回は実行委員会の中に入り込んでの経験で、各部門のキャップに立つ人たちの熱気に触れ苦労を実感しました。
スタッフの苦労を一つ一つ紹介していくとキリがないのですが、とてもフツーの勤め人には当日だけのボランティアは手伝えても、実行委員に連なっての活動は困難でしょう。最後の一ヶ月ほどは皆さん、半ば家業をなげうっての活動だったようです。走路部会の責任者がスタッフに発進したメールは、ついに104号になったとか。

スタッフの熱意がランナーに伝わった!?

こうしたスタッフの熱意はランナーにも伝わったようで、参加者の方々の評価を見ると、コースの素晴らしさの次ぎに挙げていたのがボランティの方々への感謝の言葉でした。ボランティアスタッフ2800名を集め、ランナーを温かく迎えていただくように大会趣旨をよく徹底したのは実行委員会の方々でした。
川越市は観光客が多いと言っても、観光に携わる市民の数はほんの一部で、元来訪問者をもてなすことには慣れていないと思われるのですが、ボランティアの方も沿道で応援する方も、ランナーの一生懸命に走る姿を見て感動したのだと思います。お互いに元気をもらういい雰囲気が町全体に生まれたようです。
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