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更新日:2011年01月07日

手仕事をたずねる旅・岩手編 岩谷堂箪笥

日本には、良いものを作る産地がたくさんあります。長い時間をかけて受け継がれてきた日本の手仕事。私たちが手に取る雑貨や食器、家具などがどうやって作られているのかを見るために、旅に出ました。最初の目的地は、岩谷堂箪笥の産地、岩手県奥州市。

岩谷堂箪笥ができるまで 木取り~組み立て

ケヤキ、鉄、漆で作られる岩谷堂箪笥。ケヤキは硬くて丈夫で家具には最適。藤里木工所では、丸太の状態でケヤキを仕入れ、数年をかけてゆっくり乾燥させます。乾燥が終わったら、無駄なく部材を切り出し。これを「木取り」と言って、機械が使われるのはこのときだけ。その後の工程はすべて手作業です。

岩谷堂箪笥ができるまで

工房の裏手には、たくさんのケヤキが。家具に適するケヤキを丸太のまま数年野ざらしにすることで、狂いや割れが減少するのだそう。製材工場では、みなさんてきぱきと作業されていました。これまで幾つかの家具工房を見学してきましたが、美しい家具を作る工房にはゴミがほとんどない(散らかる前に片付ける)というのは共通しています


木取りした部材の組み立ては、熟練の技が必要な工程。鉄の釘は使わず、「組接ぎ」「仕口」と呼ばれる加工によって部材を噛み合わせます。引き出しが本体にぴったりと寸分違わず収まるように何度もカンナで調整をするので、この工程だけで数週間を要することもあるのだとか。

岩谷堂箪笥ができるまで

左:引き出しを支える板の一部が切り取られているのは、箪笥の中の空気の通り道。空気の逃げ場がないほどに、丁寧にきっちり作られる高級家具には欠かせない加工です。中央:工房には様々な種類のかんなが並んでいました。右:組み立てられた引き出しが積み重なっているところ。5つ重ねられているのですが、全く歪みのない加工に感動


さて、工房を見ているとき、箪笥本体の引き出しを入れる段の背中の側に、小さな切り欠きを発見。これは、引き出しが本体にぴったりと入る精巧な作りゆえに必要となる加工です。これがないと、空気の逃げ場がないので、引き出しが閉まりません。いい箪笥は、一段閉めると他が開く、と聞いたことがありませんか。それは、一段分の空気が別の段に逃げるためです。

大量生産のチェストは、丁寧に作られた箪笥とは違って一段ごとの気密性はありません。家具を組み立てた経験のある人ならわかりますが、後ろにけっこうな空間が空いているんですよね。ゆえに、虫も入りやすい。岩谷堂箪笥は内部に無駄な空間を作らず、虫が入らないようにしているので、衣服を大切にする人にはおすすめです。

次の工程は、漆塗りと金具の取りつけ。次のページで作業風景をご覧ください。
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くろだ あきこ

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