サイトメガロウイルスとは? 特徴・検査法
基本的に無症状ですが、何回も感染する重複感染する特徴jもあるサイトメガロウイルス。母体内の胎児感染はリスクが高いため、注意が必要です
ただし、サイトメガロウイルスは免疫学的には一種類ではないので、抗体があったとしても、別の種類のサイトメガロウイルスに感染する可能性はあります。また、抗体がある人は体液中にウイルスが潜んでいる可能性があるため、他の未感染者への感染源になってしまうこともあります。
また、早産ではない新生児の場合、母体からの抗体を胎盤経由で貰っているため、受動免疫ができている可能性が高いです。この場合は、血液検査を行って抗体があっても免疫記憶の有無はわかりません。
サイトメガロウイルス感染症の症状 (健康な人の場合)
大きな粒子が感染した証拠です
ただし母体内でウイルス感染した新生児や、成人の場合でもAIDSなどにかかっていて免疫機能が弱まっている場合は重症化しやすく、最悪の場合、命に関わることもあります。
妊婦・胎児・免疫弱者がサイトメガロウイルスに感染したら
サイトメガロウイルスは、胎盤にも感染します
通常は症状のないサイトメガロウイルスも、免疫系の働きが低い時に感染すると危険。また、母体内で胎児が感染すると、深刻な障害を引き起こす可能性もあります。
■妊婦のサイトメガロウイルス感染による症状と、胎児への影響
まず、妊娠中にサイトメガロウイルスに感染すると、流産、死産、新生児死亡のリスクが高まります。妊娠前から抗体を持っていれば、妊娠中に他の型のサイトメガロウイルスに感染しても、胎児への感染リスクは非常に低いことが判明しています。複数のサイトメガロウイルスに対する抗体がある可能性が高く、血中のウイルス量が少ないためだと考えられます。感染したことがない妊婦が妊娠の初期に感染した場合、抗体の上昇が不十分だと胎児への感染が成立する可能性が高くなります。残念ながら抗体陰性の妊婦が感染を避ける有効な手段がありません。
妊娠の早い時期に妊婦が感染すると、胎盤経由で胎児にウイルス感染する可能性があります。残念ながら胎児へウイルスが移行する時期の方が、妊婦の抗体が移行するよりも早いことが判明しています。胎児へウイルス移行する時期以降の妊婦の血中ウイルス量が、胎児への感染に関係します。妊婦の抗体産生と妊婦体内でのウイルス増殖の関係により、妊婦血中のウイルス量は変わります。妊婦の抗体が妊婦自身の血中にあるウイルスの感染力を下げます。
母体内で感染した場合、出生後に障害が現れることもあります。神経系、特に聴覚神経系の障害は、言葉を覚える時期まで判明しないこともあります。胎盤からの胎児への抗体の移行は妊娠の後期になってから。新生児の抗体検査結果から母体内での感染の影響の有無はわかりません。
■疾患治療時のサイトメガロウイルス感染
何らかの病気で、免疫を落としてしまう治療を行っている場合、すでに体内に潜んでいたサイトメガロウイルスが暴れることがあり、これを「再燃」と呼びます。別のサイトメガロウイルスに感染することもあります。恐いのはサイトメガロウイルスによる肺炎(間質性肺炎)。最悪の場合、呼吸不全で死亡することもあります。免疫を落とす治療の代表は、骨髄移植を含む臓器移植です。白血病などの血液疾患では元々免疫系が落ちているので骨髄移植後は特にサイトメガロウイルスに注意が必要です。
■AIDS患者のサイトメガロウイルス感染
AIDS患者の場合、免疫力がすでに低下しているために、再燃を含めて、サイトメガロウイルス感染による網膜症で、失明のリスクがあります。
次のページでは、サイトメガロウイルスの感染経路と、治療法についてご紹介します。なぜ免疫機能が働かないかも合わせて解説します。