性感染症・STD/尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ、その症状と治療、薬

日本で初めて尖圭コンジローマ治療薬のベセルナクリームが発売されました。尖圭コンジロームは、10代後半~30代の若い人に多い性感染症です。治療の知識も合わせてご理解いただければと思います。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

性病の一つ! 尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ
イボの数が増えたと感じたら要注意!尖圭コンジローマの可能性があります
Q:パートナーからうつってしまったようで、医師に“尖圭コンジローマ”といわれました。この病気は治るのでしょうか? また薬があると聞きましたが、どのようなものなのでしょうか。

A:はい。お答えします。
尖圭コンジローマは、性行為により感染する性感染症の一つです。性感染症の中でも、クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペスウイルス感染症に続いて報告が多く、全国で3.9万人の患者がいるといわれています(2002年日本における性感染症サーベイランスより)。他の性感染症と同様に、10代後半から30代、特に20代に多く見られます。

ウイルスに感染してからすぐにイボができるわけではなく(平均3ヶ月程度)、感染源を特定することが困難な場合もあるようです。

尖圭コンジローマとは?

尖圭コンジローマは、HPV(Human PapillomaVirus:ヒトパピローマウイルス(※))というウイルスに皮膚の細胞が感染して、イボとなる疾患です(良性のウイルス性疣贅(ゆうぜい))。

HPVに感染してすぐにイボができるわけでなく、感染してからおおよそ3週間~8ヶ月ぐらいとウイルスの潜伏期間の後、イボができてきます。このイボは、性器や肛門のまわりにでき、かゆかったり痛むこともありますが、自覚がほとんど無くあまり何も感じないことが多いようです。

※男性性器にできる1ミリぐらいのイボの中には、脂線がイボのようになったものの場合があります。これは尖圭コンジローマではありません。(区別が難しいようでしたら医師にご相談ください。)

また、尖圭コンジローマのイボの色は白やピンク、茶褐色、黒っぽいこともあります。多くは、1~3mm程度の小さなものですが、大きくなることもあります。そして、形は、乳頭状のものや鶏のトサカ、カリフラワーのような形のものと様々です。

コンドームで予防することは可能ですが、性器の周辺や肛門付近に疾患が見られる場合など、予防できないことがあります。

参考:尖圭コンジローマ情報サイト(持田製薬)

尖圭コンジローマの治療法

尖圭コンジローマの治療は、薬または、外科的治療が主になります。外科治療は、尖圭コンジローマを物理的に取り除く手術による治療で、液体窒素による凍結手術、電気焼灼手術、レーザー光線蒸散手術などがあります。

これらの外科手術は保険適応にもなっておりますが、患部が広いと特に痛みや再発の懸念がありました。そこで、薬での治療も併用されることがあります。

薬での治療は、DNAの生成を阻害する抗がん剤で使われる塗り薬を使うことがあります(5-FU軟膏(協和発酵)、ブレオS軟膏(日本化薬))。また、抗ウイルス剤などを使うこともあります(これらは保険適応外)。

また、2007年12月10日には、保険適応の尖圭コンジローマ治療薬としてベセルナクリーム5%(一般名:イミキモド(持田製薬)が発売されました。

なお、患部の範囲や重症度、治療方法、薬によっても異なりますが、治療費の目安は、保険適応の自己負担額として5,000円から8,000円ぐらいだと思います。

>>次のページでは、尖圭コンジローマ治療薬についてご紹介しています>>
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