2009年のインテリアライフスタイル展では、真鍮を使ったシリーズを発表し、
注目を集めたデザイナー・大治将典さん。
大治さんのものづくりの視点を伺いに、アトリエへおじゃましました。
普段の暮らしに使いたいもの

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真鍮で作られた、鍋敷き、栓抜き、フックなど
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大治さんのアトリエ兼ご自宅は、ビルの4階にあります。昭和モダンな佇まいの、
ややレトロな木の扉を開けると、大治さんがにこにこと出迎えてくれました。
そして、あれ?同時にもう一人、笑顔の男性が出てきました。
なんとここはシェアハウス。親しい後輩夫妻と部屋を分け合って、
2つの家族が一緒に暮らしているのだそうです。
広々としたダイニングキッチンを囲むように部屋があり、
プライベートを確保しつつ、みんなが集まりやすい間取り。
ダイニングの前には程よい広さのベランダもあり、
夕涼みに気持ち良さそうです。
そんな気さくで大らかな大治さんの人柄と暮らしぶりは、デザインにも反映されているように思いました。
普段の暮らしの中から生まれた、穏やかで親しみやすい道具を幅広くデサインされています。
作り手と使い手が交流できるような、バランスのよいものづくり

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初めてのプロダクト作品。エンピツがぴったり収まるノート。
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大治さんは広島県出身。大学では建築を学び、東京の建築事務所で働いた後、
地元広島へ戻って、今度はグラフィックデザイン事務所に務めます。
1999年に独立して、当時は3人で会社を立ち上げました。
しかし、大治さんが独立した頃は、超就職氷河期といわれた時代。
とにかく仕事がなく、自分たちで作るしかなかった、といいます。
最初はグラフィックを中心に仕事をしていましたが、
それだけではパンチが弱い、とプロダクトにも手を広げることに。
試しにノートやメモ帳を作ってみたところ、そちらが面白くなってしまい、
地元の雑貨屋さんに卸したりしていたそうです。
そのとき、当時著名だったスタイリスト、岩立通子さん(今は故人)の目に止まり、
ノートを東京の店に置いてもらえたことがきっかけで、
プロダクトデザインの道へ本格的に進むことになりました。
左は江戸箒のの老舗、白木屋傳兵衛商店とのコラボで作った「掃印(そうじるし)」。
右は東京に来て初めての仕事、能作と作った置き型風鈴。綿毛をふうっと吹いて鳴らす。
「空間、平面とやってきて、結局自分に一番しっくりくる分野だったんですね。
ただ、特別にプロダクトデサインの勉強をしたことはなかったので、何か名刺代わりになるものが欲しかったのもあり、一時期はコンペに出しまくってたこともありました。
でもそのうち何のために誰のためにデザインしているのか分からなくなって、2年くらいで止めてしまいました。
製品化を前提としたコンペでも主催者の持っているマーケットに合わなければ商品化されることはないし、アイディアだけが先行して実際に使う側には無理が出てしまうように感じたんです。
元々、表現するためのデザインは苦手で、
デザインが主張しすぎないよう、かといってモノの風合いにも逃げないよう、バランスに気をつけています。
デザインとは、作り手と使い手の気持ちがぴたりと合って交流できるような、
仲良くなるための手段だと思っています」。
次ページでは、新作の真鍮シリーズについてお話を伺います。アトリエの様子もご紹介。