住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

地震時に危ない場所は見えている

地震の発生自体は止めることも、完全に予測することもできません。しかし、地震から派生する危険の中には、街を観察することで回避できるものがあります。ここでは、危険回避のための観察術を紹介しましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

地震による危険は揺れだけではありません。火災が発生したり、倒壊した家屋や崖などに逃げ道を奪われたりなど、危ないことは他にもいろいろ。その他の見えている危険にどのようなものがあるかをチェックしていきましょう。

細い道、古い家屋……
火災発生、家屋倒壊の危険

古い木造住宅
古くから開発された街では周辺の住宅街のチェックが欠かせない
自分の住まいが耐火性の高い、新しいマンションだったとしても、周囲に古い家屋や建物が密集していた場合、建物が崩壊、火災が発生して延焼したり、逃げ道をふさがれる可能性があります。そのため、自分の建物の周囲がどうなっているかは確実に見ておきたいポイントです。

山手通り
主要幹線道路は延焼を防ぐものと位置づけられ、沿道では不燃化が進められている
その場合、自分の建物の敷地と接している、建物がある一画を見るだけではなく、もう少し広域をチェックしましょう。具体的に言えば、最寄りの幹線道路に囲まれたブロック内です。

住まいの周辺でチェックすべきエリアは?

チェックすべきエリアの概念図
住まいの周辺では幹線道路で囲まれてエリアをチェックしよう
自治体は防災計画を策定する際、道路や公園などを延焼を遮断するものとして考え、それによって地域をブロック分けしながら、防災対策を考えます。たとえば、東京都の場合、都市計画道路等を主要な骨格防災軸、それ以下の幹線道路を主要延焼遮断帯などと位置づけ、約800m四方のブロック単位で、安全度を考え、防災計画を立案するという具合です。つまり、ブロック内で火災が起こらなければ、地域を囲む幹線道路が延焼を防いでくれるため、安全と考えられるわけです。

古い建物
築年数を見れば、倒壊の危険性も予測できる
そのブロック内で見ておきたい点のひとつは、どんな建物があるか。築年の目安で言えば築26年以上、1981年(昭和56年)6月1日から施行された新耐震基準で建てられた建物かどうか。単純に計算すると築26年以上の建物は×ですし、規模の大きなマンションであれば、法の施行前に建築確認を受けていた可能性もあるので、慎重を期するのであれば、築25年、24年などという建物も避けたほうが無難かもしれません。

1階が駐車場になっているマンション
1階が駐車場になっているなど、壁が少ない物件は要注意
また、築年に関わらず、1階が駐車場になっているなど、壁の少ない建物は他の建物より弱くなりますから、注意が必要。L字型など、変型な建物も同様です。

古い木造住宅
空き家になっている建物にも要注意。火災が起こっても消火活動が行われない可能性が高いからだ
木造住宅も基本的には同じ法規制の下で建築されていますが、マンションよりも耐火性が低いため、火災の危険は高くなります。特に、建物同士が接して建てられている、高齢者が多いなどの場合には、消火活動に支障が出る可能性が高くなります。

細い路地
車が入れない幅の道はもちろん、一方通行の細い道も危険
前面道路の道幅は4m以上が目安。2階建て家屋が倒壊した場合、4m道路では道が完全にふさがれてしまうためで、道幅は広ければ広い分、安心というわけです。また、いわゆる旗地の場合には、周囲で火災が起きた場合、あるいは建物が倒壊した場合、逃げ道がなくなってしまう可能性があります。

避難所
最寄りの避難所がどこか、建物の強度が十分かなどは住まいの下見時に見ておきたい点
もうひとつ、築年数、耐震性をチェックしておきたいのは、最寄の避難場所。小中学校などが指定されていることが多いのですが、中越沖地震でも避難所となっている2校が耐震強度が不足だったと報道されたように、意外に耐震化は進んでいません。東京でも避難所の3割が強度不足とも言われていますから、確認はしておくべきでしょう。

では、次ページでは逃げる際に危ない場所を見ていきましょう。
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