今回は「電気ショック療法」という精神医学的療法について紹介します。この治療の対象になる症状は、うつ病や統合失調症などです。
電気ショック療法って、一体どんなことをするの?そんな疑問をもたれている方も多いことでしょう。実際に病院で行われている治療では、うつ病や、統合失調症などの患者さんに全身麻酔をかけて、その後、電極を頭部に当て、電流を流し、筋肉を数十秒間痙攣させるということが行われています。この、電気ショック療法によって、多くの患者さんに症状の改善が見られています。
では、どうしてこの治療法が始まったのでしょう?
●電気ショック療法の始まり
昔、精神病の患者さんが、突然、治療薬を中断した際に、体に拒否反応が起こって、全身痙攣(けいれん)を起こしたところ、症状が改善されたというような事が、しばしば報告され、痙攣を起こす事が、治療に役立つのでは、と示唆されました。それで、実際、電気ショックを与えたら、病状の改善が見られたというのが発端です。その後、いろいろと改良が加えられ、現在では、安全で治療効果の高い治療法として、確立されています。
●電気痙攣療法のメリット
初期の方法では、麻酔を使用しなかったため、患者さんは大変苦痛を感じ、また痙攣を起こした際に、舌を噛んでしまったり、骨折したりという事が良くあり、大変危険でした。しかし現在では、全身麻酔を使いますので、体に感じる痛みは無く、骨折などの事故も起こらず、大変安全になりました。治療による死亡の危険は、全身麻酔に伴う危険とほぼ同じであり、10万回に3~4の死亡という統計があります。
この治療は、薬物療法の副作用の出易い高齢者に対しては、薬物療法の代換として、特に薦められます。また、治療効果の発現が早いので、速やかな病状の改善が必要な場合にも有効です。
●電気痙攣療法のデメリット
電気、痙攣、または電気ショックという言葉に対して、悪いイメージがあり、患者さんやその家族から同意を得るのが難しい事があります。主な副作用としては記憶の一部が無くなる事がしばしばありますが、大抵、数ヶ月で回復します。
このように、電気ショック療法は、その言葉の持つイメージとは、うらはらに安全で効果の高い治療法です。全身麻酔や電極などの設備の整った大学病院などの大規模な施設で行われています。うつ病や統合失調症などでお悩みの方がいらっしゃいましたら、是非一度、病院で話を聞いてみてはいかがでしょうか?
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