介護/介護の基礎知識・原因となる病気・怪我

要介護の原因となる身体の病気

脳血管疾患や関節疾患、心疾患など、要介護の原因となるさまざまな身体の病気について、なぜ介護が必要となるか、どんな介護が必要になるかをご紹介します。

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

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介護の原因となる身体の病気とは?
介護の原因となりやすい身体の病気には、どんなものがあるでしょうか?
「介護が必要となる病気・ケガ」で厚生労働省の統計を掲載しましたが、要介護となる原因の約半分が身体的な病気です。そのなかでも多くの人が発病しており、注意が必要なものについて一つひとつ見ていきましょう。

脳血管疾患(脳卒中)

脳血管疾患(脳卒中)になると、重篤な状態を脱した後も、手足や身体が思うように動かせなくなったり、平衡感覚を失ったり、言語障害を起こしたりと、さまざまな後遺症が残る場合が多々あります。また、この病気をもとに脳血管性認知症となる人も大勢おられます。

こうした後遺症が残った場合、食事や入浴、トイレ、移動といった日常生活についての介助や、見守りや声かけなど安全を確保するための介護が必要となります。

「脳血管疾患(脳卒中)」というのは、脳の血の流れが突然悪くなって、意識障害や手足のしびれ、言語障害などの症状が出る病気の総称です。大きく分けて脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」の二つがあり、日本人の脳血管疾患の約7割は、脳梗塞だと言われています。

この病気は女性と比較すると男性に多く見られます。これは、高血圧、高脂血症、糖尿病といった脳血管疾患になりやすい生活習慣病を持つ人が男性に多いためだと考えられています。日頃から適切な睡眠や食生活、適度な運動、禁煙を心がけることによって、発病のリスクを抑えることが可能です。

関節疾患

この病気になると、関節が思うように動かなくなったり、動かす際に痛みが伴うようになり、最終的には車いすや寝たきり状態になってしまうことがあります。

こうなると、自分の思うとおりに移動することができなくなるので、移動についての介助が必要です。また、入浴やトイレなどについても介助が必要になることがあります。

関節疾患にはさまざまな種類がありますが、高齢者に多く見られるものとしては、変形性膝関節症、変形性股関節症、関節リウマチが挙げられます。これらは男性よりも女性に多く発症するのが特徴です。男性よりも関節が柔らかくて筋肉が弱いうえ、閉経後に太りやすいので肥満のために関節にかかる負担が多くなることや女性ホルモンと妊娠・出産の影響などがその原因と言われています。

この病気にかかると、関節を動かした際に痛みを伴うようになります。だからといって関節を動かさないと、今度は周辺の筋肉が弱まり、関節がさらに動きにくくなるといった悪循環が起きてしまいます。なるべく痛みが軽いうちに医師の診断を受けて、適切な対処をすることが重要です。

関節疾患について詳しい情報は、下記のホームページからご覧いただけます。
慢性関節リウマチ(e治験ドットコム)
変形性膝関節症(e治験ドットコム)

心疾患(心臓病)

心臓が悪くなると、ちょっとしたことで動悸が激しくなったり、息切れが起きるようになり、身体を動かすのが苦痛になってきます。また、心筋梗塞などの重い心臓病になると手術が必要な場合が多く、退院後も運動などには大きな制限がかかることになります。身のまわりのことがある程度自分でできるようになる人もいれば、寝たきりになってしまう人もいるので、一括りにするのは難しいのですが、いずれにせよ長期間の治療によって、筋力の衰えや精神的なストレスが発生します。

こうした場合、本人が難しいと感じる日常生活の動作などを介助したり、声かけなどによってストレスを解消することが必要です。

心疾患(心臓病)とは、血液の流れが悪くなることにより、心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を運ぶための冠動脈がふさがることで起きる心臓の病気の総称です。なかでも前述した心筋梗塞は、激しい胸の痛みや呼吸困難、冷や汗、嘔吐などの症状を伴い、発症者の3~4割が死亡すると言われています。

動悸や胸の痛みなど、少しでも心疾患と関係のありそうな症状を感じたら、積極的に医師の診察と検査を受けることが大切です。また、日頃から適切な睡眠や食生活、適度な運動、禁煙など、生活習慣の改善を行うことも重要です。

パーキンソン病

パーキンソン病になると、手足の震え、筋肉のこわばり、動作緩慢、姿勢障害(体のバランスが悪くなること)などの症状が現れます。また、物事への関心がなくなったり、気分がふさぎこむなど、うつのような症状が出ることもあります。

症状が重くなるにつれて日常生活が困難になるので、食事や入浴、トイレ、移動といった場面での介助が必要となります。

パーキンソン病は、脳からの運動指令がうまく伝わらず、スムーズに動けなくなる病気です。神経伝達物質ドーパミンを作る「黒質」の細胞減少が原因と言われており、厚生労働省の特定疾病(難病)に指定されています。

「手足がふるえる」「歩行が遅くなる」など、少しでも気になることがあったら、早めに受診することをおすすめします。

パーキンソン病について詳しい情報は、下記のホームページからご覧いただけます。
Parkinsons.co.jp

糖尿病

糖尿病になると、糖尿神経症、糖尿病網膜症、糖尿病腎症という三大合併症を招き、一人で行動するのが難しくなってしまいます。

こうなると、食事や入浴、トイレ、移動といった場面での介助が必要になります。また糖尿病の治療には、カロリーを抑えた食事を摂取する食事療法が欠かせないため、毎食、その用意も必要です。

この病気は、体内のインスリンが不足して、血糖値を下げることができなくなるというものです。発症して間もない段階では痛みなどの自覚症状がないため、糖尿病と診断されたあとも放置している人が多く、平成19年10月の厚生労働省の調査によると、「糖尿病が強く疑われる人」は全国で約890万人、そのうち4割近くが治療を受けていません。

糖尿病をそのままにしておくと、脳疾患や心疾患の原因にもなるので、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。


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