骨・筋肉・関節の病気/関節痛・膝痛・膝の痛み

膝の痛みや違和感…膝が痛いとき考えられる9つの原因

【カイロプラクティック理学士が解説】年齢に関わらず、突然起きる膝の痛みや違和感。その原因には膝の関節などが関係しています。どんな時にどのような症状として起きるのか、なぜ膝痛と膝の違和感が生じるのかを、様々な角度から解説します。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

膝の痛み(膝痛)・膝の違和感は多くの人が経験する症状

膝の痛みの原因は

膝の痛みの原因は


ほとんどの人が人生で一度は経験する膝の痛みや違和感。スポーツの種類に関連して起こりやすい膝の問題や好発年齢により疑われる膝の疾患もありますが、膝の違和感の症状と感じ方は人それぞれです。

ものすごく痛みが強かったり、日常動作に支障をきたす場合は、すぐに医師の診察を受ける人が多いかと思いますが、やはり何らかの症状を感じたら早めの対処が最善です。多少の痛みをそのまま放っておき、仮に症状が軽快したとしても、何かのきっかけで、同じ症状が再び表れることは珍しいことではありません。軽症のうちに、膝をいたわるべく対処をしましょう。

<目次>  

膝痛・膝の違和感は膝関節に原因が

赤の筋肉・腱の硬さにより黄の関節軟骨が悪影響を受けることがあります

赤の筋肉・腱の硬さにより黄の関節軟骨が悪影響を受けることがあります

膝の痛みや違和感の原因はさまざま。長期間、ふくらはぎやフトモモの筋肉を酷使するような仕事やスポーツを続け、あまりケアをせずに膝を酷使してきた人は、膝の動きや膝関節の安定性に関わる構造に問題が生じる場合があります。

気付かないうちに膝へしわ寄せがいくケースでは、普段の「姿勢」が関わることもあります。片方の足へ重心を移動させたまま立ち話をしたり、赤ちゃんの抱っこの際に腰へ乗せるような体勢をとったり、何げない姿勢の癖によって、慢性的に体重のかかる部位が偏り、膝に余計な負担をかけてしまうことがあります。

長期間の負荷で起きやすいのが右図のように関節軟骨の磨耗が激しく、結果的に痛みの発生につながるという人もいます。病気や生活習慣の中に潜む、膝痛、違和感の原因は以下の通りです。  
 
赤色部分が関節軟骨がすり減り、間が狭くなりがちな箇所

赤色部分が関節軟骨がすり減り、間が狭くなりがちな箇所

1. 変形性膝関節症などの関節軟骨がすり減る疾患

変形性膝関節症は、膝への衝撃を吸収するクッション材である関節軟骨がすり減って傷んでしまい、日常生活でも膝に痛みを感じるようになる疾患です。

多くみられる膝関節の疾患の一つで、慢性関節リウマチなどの病気を除くと、膝の痛みの原因として説明を受けることが少なくありません。軟骨の代謝異常など体質の問題があると発症しやすいとも言われています。40代以降の女性に目立ちますが、スポーツで膝に負荷をかけてきた人にも見られ、年齢を問わず発症する可能性があります。

膝の関節は、太もも部分にある骨(大腿骨)と膝下部分の骨(脛骨)が繋がるように位置しますが、膝への衝撃吸収力の低下が続き悪化すると、関節の変形へもつながり、膝を支える筋肉の働きもさらに低下していく恐れがあります。
 

2. スポーツなどによる膝の酷使

膝の痛みを予防するためには、下半身の筋力強化は大切です。しかし、注意をしなくてはならないことがあります。スポーツをしていると膝を動かす働きをする筋肉も発達していきますが、筋肉疲労を溜めたまま運動を継続した場合や、過度に体を動かし続けた場合などは、膝への負荷が増してしまい、膝痛のリスクが高まることもあります。

競技によっては、特定の筋肉が反復して酷使され、膝への負荷がかかることがあります。試合前で練習頻度が多かったり、トレーニングの時間が長引いたりして疲労回復の時間が足りない、といったケースもあります。その疲労が解消されずに再び運動を始めると、膝を支える筋肉や靭帯への負荷が増し、関節軟骨の磨耗を早めることになりかねません。(効果的な運動トラブルの予防法は、「ウオーキング&ランニングでの膝トラブル予防法」をご覧下さい。)
 

3. イベント的なジョギング、自転車、山登り

趣味でジョギングを長年続けている人で、膝に痛みを感じると「長い間のジョギングで、膝に負担が生じたのかな?」と想像するかもしれませんが、期間が長くなくても、膝へ負担のかかる条件が揃えば、短時間のうちに膝に症状が表れることがあります。

例えば、ジョギングやウォーキングを始めたばかりという人、久しぶりの山登りをしたという人などは、少ない運動回数・短時間でも膝に不具合に見舞われることがあります。このような運動によって、普段、あまり使われていない筋肉がいつも以上に働くことで、筋疲労を起こすと、太ももやふくらはぎ、お尻の筋肉などが一時的に硬く緊張し、膝を支える複数の筋肉の機能バランスが崩れて痛みを起こすことがあります。
 

4. O脚・X脚の影響

O脚では赤い部分に負荷がかかりやすくなります

O脚では赤い部分に負荷がかかりやすくなります

腰や骨盤、股関節周りの筋肉バランスが悪く、後天的にO脚やX脚になってしまった場合、O脚では膝の内側へ、X脚では膝の外側へ負荷がかかりやすくなり、膝痛へ発展することがあります。
 
X脚では赤色の部分に負荷がかかりやすいです

X脚では赤色の部分に負荷がかかりやすいです

先述した「変形性膝関節症」になってしまうと膝関節の変形が進み、O脚・X脚が目立ってくることも。ひどい場合は、膝が伸びにくくなるなどの支障も出てくるリスクもあります。

この場合は関節軟骨のすり減りも進んでいるため、骨と骨の間はさらに狭くなっていきます。

 

5.生活での合わない靴の使用

サイズの合わない靴や、ハイヒールを無理して履き続けていると、足指の関節に徐々に負荷がかかり、外反母趾や土踏まずのアーチが下がる偏平足になることがあります。靴底のすり減りで、左右差が大きい場合、その靴を履き続けることで、足元の不安定性につながり、膝へのしわ寄せがいくこともあります。

靴の中で足の指が靴に当たり、足指が痛い場合や、靴底のクッション性が悪く、足部痛を感じる場合、足の痛みをかばいながら歩くと、歩行時の体重分散にも影響を及ぼします。体重のかかる部位が変化すると、太ももやふくらはぎの筋肉が疲労し、膝への負荷が強まる恐れがあります。
 

6. 足元が不安定な土地

砂利道など足元の不安定な状態の場所を歩いていると、不意に足を滑らせて転びそうになることがあると思います。この時に、膝の関節へ捻るような方向の負荷がかかると、膝を痛めてしまうことがあります。

スポーツのトレーニングメニューや競技の中で、横に動いたり急に立ち止まったりするような動作でも、捻りの負荷がかかり痛めることがあります。また、あぐら姿勢や横座りをする時も要注意です。
 

7. 肥満・体重増加

体を支えるための筋力アップと姿勢バランスを安定させるケアをしましょう

体を支えるための筋力アップと姿勢バランスを安定させるケアをしましょう


「減量したら膝の痛みも改善された」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、肥満や急激な体重増加は、膝の痛みを引起すリスクが高くなります。

歩くだけでも、自分の体重の約3倍の重みが膝へかかるのですが、もし10キログラム体重が増えてしまった場合、膝への荷重は約30キログラム増加ということになってしまいます。肥満により運動が億劫になると、膝を支える筋力も衰え、膝にとっても良くない状態が続くことになりかねません。

ダイエットを考えたい方は、「肥満解消・メタボ対策の生活習慣」「メタボ予防・ダイエット目的のトレーニング」などで紹介されている方法を参考にされるとよいでしょう。
 

8. 太ももの筋肉の衰え

膝の曲げ伸ばしをスムーズに行い、あらゆる活動において膝への負荷を和らげるためには、太ももの前・後面にある複数の筋肉の正常な働きが必要になります。

運動不足により筋力不足になったり、日頃の癖や姿勢、疲労などの影響で太ももの筋肉の働きが低下したりと、太ももの筋肉がベストな状態を維持できなくなる要素は、日常生活習慣の中にも沢山あります。また、怪我や病気などで寝たきりの状態が続いた後も膝を支える筋力が低下することがあります。
 

9. 過去の怪我の影響

膝の怪我のみならず、足首の怪我から膝へ負担がかかるようになってしまうことがあります

膝の怪我のみならず、足首の怪我から膝へ負担がかかるようになってしまうことがあります


過去にスポーツによる怪我や交通事故などで膝の靭帯を損傷したり、膝付近の骨折で関節軟骨が傷ついてしまった場合は、後々に変形性膝関節症になったりと、膝の不調を誘発しやすい状態になることがあります。

怪我自体は治っていても、関節軟骨の修復は不十分で本来の機能まで回復しない場合もあり、膝関節が不安定になる要素が残るかもしれません。

整形外科など病院を受診しても異常がない場合、膝の痛みを和らげる方法として「膝痛対策の体操・ストレッチ」「膝痛の治療法と便利なグッズ・アイテム」などを試してみるのも良いかと思います。より本格的なリハビリを試したい方には「膝の痛みを和らげるリハビリテーション」で膝の痛みを和らげる大腿四頭筋の強化法を紹介しています。あわせてご参考になさってください。

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