落ち込みだけではない? 性格の変化と心の病気の意外な関係
人が変わってしまったように見える事は心の病気の重要なサインの一つ
今までと人が変わってしまったように見える事は時にある事です。仕事はほどほどで、外での活動が生きがいだった人が突然、夜遅くまでバリバリ働くようになった場合もあれば、反対に、仕事一筋だった人がある日を境に急におしゃれになって、定時になると帰ってしまう事もあるかもしれません。その原因としては単にモチベーションの問題だったり、新しい興味の対象が見つかっただけの事かもしれませんが、場合によっては心の病気が関係している事もあります。
今回は、どのような人の変わり方に心の病気を疑う事ができるかを詳しく述べます。
「人が変わったよう」「別人のよう」と言われたら、社会的機能をチェック
そもそも人が変わったように見えるのは他人から見ての話で、本人は別に、何かが変わった覚えはないかもしれませんが、その人の雰囲気や言動、ライフスタイルが以前と比べて大きく変わったはずです。何か目標が出来て、別人のように仕事に取り込むようになるといった変わり方はもちろん良いことだと思いますが、心の病気が疑われるような場合は、一般に、その人の社会的機能が大きく低下した時です。例えば、勉学に熱心だった子供が急に家族と口をきかなくなり、自分の部屋に閉じこもりがちで、成績も急降下してしまった場合には心の病気が関係している可能性もあります。
もっとも、人が変わってしまう事は体の病気が原因の可能性もあります。例えば、頭部の外傷や脳腫瘍など脳の病気は人が変わってしまう原因になり得る事で、こうした病気の可能性を否定する事は心の病気が原因であると言う為には不可欠です。
「性格が変わる」「人が変わる」は心の病気の初期症状のことも
人が変わったように見える事は多くの心の病気で見られますし、実際、心の病気を疑わせる重要なサインの一つです。例えば、統合失調症は現実と非現実の境が低下してしまい、妄想や幻覚が特徴的な心の病気ですが、こうした症状が顕著になる前の前駆段階として、身なりに構わない、独り言が増えるなど、人が変わってしまったように見える事があります。また、妄想が、その特徴的な問題であるゆえ、妄想性障害と名の付く心の病気では非合理な程、猜疑心が強くなってしまう場合があります。例えば、息子の嫁が自分に対して害意を抱いているといった意識が不合理な程、心の中に強く根付いてしまうと、2人の関係が結婚当初のようにうまくいっていると思い込んでいた息子は母親の話に大変、驚いてしまうでしょう。
気分の問題も人が変わってしまった印象を他人に与える原因になります。気分が落ち込むと口数も少なく、人付き合いも悪くなりやすく、反対に、気分が高揚すると口数も多く、対人関係も積極的になります。躁うつ病のように気分の振幅が大き過ぎる場合、急に別人になったような印象を他人に与える事があります。
また、日中、ボーっとしていて、他人から肩を叩かれて初めて我に返るような時を心理学の用語で心が解離していると言いますが、心の解離が進み過ぎてしまう解離性障害では、本来の自分が知らない間に自分以外の人格が出現してしまう、所謂、多重人格が生じる場合があります。
このように人が変わったように見える事は多くの心の病気の重要な症状ですが、他人は気付きやすくても、本人はなかなか気付き難いものです。もしも、自分の身近な人が以前と変わってしまったように見える場合は病院の受診を薦めた方が良い場合もありますので、軽く受け止めないでそれとなく、その必要性をチェックしてみた方が良いと思います。
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