不妊症/代理出産・その他の不妊治療

向井亜紀さんと代理母出産(2ページ目)

今回の向井亜紀さんの代理母出産のための渡米がニュースでクローズアップされています。そこで今回は代理母出産についての解説を行ってまいります。

執筆者:池上 文尋

代理母と子供と法律

代理母で生まれた子供は日本の法律ではどのようになっているのでしょうか?

不妊夫婦が代理母に出産してもらった子供は、まず代理母の子供として出生証明書が書かれ、戸籍に登録されます。その後、養子縁組をすることになるわけです。
しかしながら、代理母が生まれた子に愛着を感じ、不妊夫婦に子供を渡すのを拒否したというアメリカでのケースがあります。それが有名な『ベビーM事件』です。この事件の概要は下記の通りです。

(下記関連リンクより抜粋)
Mary Beth Whitehead (28歳,無職,白人,子ども2人)が,スターン夫妻(夫は38歳の生化学者,妻は38歳の小児科医)と,ニューヨーク州の不妊センターを介して,契約を結ぶ。

契約:妊娠したら薬をいっさい飲んではいけない。羊水診断を受け,胎児に障害があれば中絶すること,その場合は報酬はなし。流産・死産には1000ドル,健康な子が生まれたら10000ドルを受け取る。出産後,ただちに養子契約にサインし,親権を放棄する。2年以内に妊娠しなかったら,報酬はなし。すぐ人工授精が始まり,全部で9回,人工授精を受けた結果,妊娠。(1985年2月)

人工受精で女子を出産(精子のみが夫のもの,卵子及び子宮は代理母)したが,出産後,子の引き取りを拒否。連れさる。夫婦が訴え裁判になった。(1986年3月)

ニュージャジー州上位裁判所Superior Court判決(ソーカウ Harvey R. Sorkow判事)代理母契約を合法とし,依頼者スターン夫妻に親権を認める。代理母メアリー・ベス・ホワイトヘッドには親権も養育権も認めないとした。(1987年3月)

Capron[1987=1990],Capron & Radin[1988=1990]の批判(前者は870219カリフォルニア大学での講演に基き,後者は871211カリフォルニア州議会の健康・福祉委員会で行われた「代理母についてのヒアリング」での証言を基にしており,上位裁判所判決を批判。これが最高裁判決に影響を及ぼしたとされる):契約法でなく家族法(養子法…)を用いるべきであると主張する。

ニュージャージー州最高裁判所が代理母契約を無効とする逆転判決。父親をスターンとし、母親をメアリー・ベスとするが、父親側に親としての適格性があるとし、メアリー・ベスには訪問権を認めた。(1988年2月)



この場合は代理母の卵子とおなかの両方の契約での代理母なので今回の向井亜紀さんの場合とは少し違いますが、産んでもらう事に変わりはないので、このような事が起きる可能性も否定できません。

しかし、このようなケースになったとしたらという問いに向井さんはこのように答えておられます。

出産後、もし、サンドラさんが引き渡しを拒否したら・・・
「その時はサンドラさんに譲ろうと思っている。赤ちゃんは大きな地球という船のあっち側にいるんだ、と思って」(サンケイスポーツより)




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